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第一章:アナザーニューワールド
42 アズ……潜入!!
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突然どこからともなく毛布の中から声が聞こえてくる。
「泣ける話ニャア。」
「誰!?」
二人は突然した声の方を振り向くも、やはりそこには誰もいない。しかし、毛布の下が若干もっこりと膨らんでいるのに気付いた。すると、毛布の中から一匹の猫現われ、口元に肉球を立てて話し始める。
「シーーっニャ!」
「えっと……猫ちゃん? なんで猫ちゃんがしゃべってるの?」
マリリンはアズの様子を見て驚いた。なぜならば、彼女は人族の国にいた頃、1匹の黒猫を飼っていたが、当然しゃべったりしたことはない。可愛らしい見た目から、警戒感こそ薄れるものの、流石にこれにはビックリしたのだった。
しかしアズはその質問に答えることなく、現在の状況を単刀直入に説明し始める。
「助けに来たニャ。もうすぐこの駕籠の扉は壊されるニャ。そしたら一緒に逃げるニャ。」
当然マリリン達も突然現れた猫からそんな事を言われても、はい、そうですかとはならない。色々疑問が多すぎる状態だ。
「助けるってどうやって? それにここから逃げてどこに行くの? 私達が逃げたら村のみんなが危ないわ。」
マリリンは逃げたいのは山々であるが、当然自分達が逃げたら村が危険に冒される。それを心配すればこそ、逃げる事などできやしない。
だが一方、ヒヨリンは、アズを見た瞬間にその可愛らしさに目を奪われて話を聞いておらず、その状況下でも会話に入る事すらせずに、突然アズを抱っこした。
「可愛い! もふもふだよぉ……あったかぁい。」
「ニャ! やめるニャ! にゃあはペットじゃないニャ!!」
アズはヒヨリンの胸に埋もれながら必死に抵抗する。が、ブライアンの時とは違いひっかりたりはしなかった。しかし、その状況を見て、流石にマリリンが苛立ち始めてしまった。あまりに暢気すぎる……。
「ちょっとヒヨリン! そんな事言ってる場合じゃないでしょ。村が危険に晒されるのよ。そんなことされたら何の為に村を出たのかわからなくなるじゃない。」
「え? 何のこと?」
「だぁかぁら~、私達を助けてくれる人がいるらしいけど、そんな事されたら村がまた襲われちゃうでしょって話よ。」
「え、助けてくれるの? なんで? 誰が?」
「それをこれから聞くところよ、そもそも助けてくれなくていいわ、迷惑よ。」
「え……でも……えっと、助けてくれる人なら村も一緒に守ってもらえばいいんじゃ……。」
「そんな事できるわけないでしょ! 仮にできたとして、その人たちになんのメリットがあってそんなことするのよ。他人に期待なんてしないわ、それに助けてくれるのが人間ってきまったわけでもないし、人間だって悪い人多いんだから、よそ者の手は借りられないわよ。」
マリリンは捲し立てるようにして、ヒヨリンを説き伏せた。
「でも……うん。マリリンが言うならそうなのかもね。」
ヒヨリンは期待した分、完全に納得はできないけど、マリリンに従う。
「助けるのは同じ人族ニャ。シンはそんな悪いやつじゃないニャ。後、声がでかいニャ……少し落ち着くニャ。」
「ごめんなさい、気を付けるわ。外の鬼にバレたら猫ちゃん食べられちゃうもんね。でもそのシンって人がいくら優しくたって、そこまで面倒はみれないでしょ? 会ったこともない人にそんなに迷惑はかけられないわ。」
マリリンはアズに注意されて、少し冷静さを取り戻し、小さめの声で謝罪する。
「それに、シンって人がリーダーなのかもしれないけど、他の人までいい人かはわからないし、やっぱりそんなリスクは負えないわ。一時的に私達を助けてくれても、村まで助けてくれるとは思えないし……。」
「泣ける話ニャア。」
「誰!?」
二人は突然した声の方を振り向くも、やはりそこには誰もいない。しかし、毛布の下が若干もっこりと膨らんでいるのに気付いた。すると、毛布の中から一匹の猫現われ、口元に肉球を立てて話し始める。
「シーーっニャ!」
「えっと……猫ちゃん? なんで猫ちゃんがしゃべってるの?」
マリリンはアズの様子を見て驚いた。なぜならば、彼女は人族の国にいた頃、1匹の黒猫を飼っていたが、当然しゃべったりしたことはない。可愛らしい見た目から、警戒感こそ薄れるものの、流石にこれにはビックリしたのだった。
しかしアズはその質問に答えることなく、現在の状況を単刀直入に説明し始める。
「助けに来たニャ。もうすぐこの駕籠の扉は壊されるニャ。そしたら一緒に逃げるニャ。」
当然マリリン達も突然現れた猫からそんな事を言われても、はい、そうですかとはならない。色々疑問が多すぎる状態だ。
「助けるってどうやって? それにここから逃げてどこに行くの? 私達が逃げたら村のみんなが危ないわ。」
マリリンは逃げたいのは山々であるが、当然自分達が逃げたら村が危険に冒される。それを心配すればこそ、逃げる事などできやしない。
だが一方、ヒヨリンは、アズを見た瞬間にその可愛らしさに目を奪われて話を聞いておらず、その状況下でも会話に入る事すらせずに、突然アズを抱っこした。
「可愛い! もふもふだよぉ……あったかぁい。」
「ニャ! やめるニャ! にゃあはペットじゃないニャ!!」
アズはヒヨリンの胸に埋もれながら必死に抵抗する。が、ブライアンの時とは違いひっかりたりはしなかった。しかし、その状況を見て、流石にマリリンが苛立ち始めてしまった。あまりに暢気すぎる……。
「ちょっとヒヨリン! そんな事言ってる場合じゃないでしょ。村が危険に晒されるのよ。そんなことされたら何の為に村を出たのかわからなくなるじゃない。」
「え? 何のこと?」
「だぁかぁら~、私達を助けてくれる人がいるらしいけど、そんな事されたら村がまた襲われちゃうでしょって話よ。」
「え、助けてくれるの? なんで? 誰が?」
「それをこれから聞くところよ、そもそも助けてくれなくていいわ、迷惑よ。」
「え……でも……えっと、助けてくれる人なら村も一緒に守ってもらえばいいんじゃ……。」
「そんな事できるわけないでしょ! 仮にできたとして、その人たちになんのメリットがあってそんなことするのよ。他人に期待なんてしないわ、それに助けてくれるのが人間ってきまったわけでもないし、人間だって悪い人多いんだから、よそ者の手は借りられないわよ。」
マリリンは捲し立てるようにして、ヒヨリンを説き伏せた。
「でも……うん。マリリンが言うならそうなのかもね。」
ヒヨリンは期待した分、完全に納得はできないけど、マリリンに従う。
「助けるのは同じ人族ニャ。シンはそんな悪いやつじゃないニャ。後、声がでかいニャ……少し落ち着くニャ。」
「ごめんなさい、気を付けるわ。外の鬼にバレたら猫ちゃん食べられちゃうもんね。でもそのシンって人がいくら優しくたって、そこまで面倒はみれないでしょ? 会ったこともない人にそんなに迷惑はかけられないわ。」
マリリンはアズに注意されて、少し冷静さを取り戻し、小さめの声で謝罪する。
「それに、シンって人がリーダーなのかもしれないけど、他の人までいい人かはわからないし、やっぱりそんなリスクは負えないわ。一時的に私達を助けてくれても、村まで助けてくれるとは思えないし……。」
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