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第一章:アナザーニューワールド
43 説得と説明
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マリリンだって、できれば助けてほしい。
少なくとも鬼族に攫われている者を助け出そうとしている人たちが悪い人達とは思ってはいない。
しかし、もしも自分達の状況を聞いたらどうするかわからない。
それ以前に、自分達を助けようとして鬼族に殺されてしまったら申し訳がない。
それならいっそ自分達を見なかった事にしてくれた方が、自分にとっても嫌な思いをしないで済む。そしてヒヨリンには、人が殺されるところを見て欲しくはなかった。だからこそ、このまま自分達が鬼族の町へ行けば、自分達以外は誰も傷つかなくていいわけで、それが最善だと思えたのである。
「ニャア達はシンと馬面のバカと3人しかいないニャ。それにシンは、お人よしだから村も助けてくれると思うニャ。村の人は、一緒に馬族の村に連れて行けばいいニャ。」
「3人って! だって猫ちゃん抜かしたら2人ってことでしょ? なおさら無理よ!」
マリリンは興奮し、また少し声が大きくなる。
「お願いニャから静かにしてニャ。大丈夫ニャ。シンは強いし、バカも戦闘と移動だけならそれなりに使えるニャ。」
「強いって言ったって二人だけでしょ? 相手は鬼族よ? それに500人はいるわ。」
「それでも大丈夫ニャ、にゃあを信じるニャ。それにこれは運命ニャ。」
「信じろっていったって無理よ……。馬族の村に連れて行くっていうのもよく分からないわ。」
「今から逃げる事を拒否しても、もう遅いニャ。シンはもう既に行動を始めたニャ。」
「随分身勝手な事をするのね、確かに助けてくれようとしてくれることには感謝するわ、でもそんなの自己満じゃない。誰も助けてほしいなんて言ってないわ。」
「さっき言ったニャ、これは運命ニャ。二人が包まれている幸運の加護がシンを招いたニャ。つまりこれは必然だニャ。」
これにはマリリンもヒヨリンも動揺した。他人にそれがわかるはずないからだ。
「え? なんで猫ちゃんは私達に幸運の加護がかかっているのがわかったの?」
ずっと話を聞いているだけだったヒヨリンは初めてアズに質問した。
「当然わかるニャ、にゃあは神の使いみたいなもんニャ、もっとわかりやすく言えば、こう見えて精霊の主ニャ。それと名前はアズだニャ」
「うそぉ~。だって強そうに見えないよ? こんなにかわいいんだもん。」
「確かにいまのニャアはそんなに強くないし、力も制限されてるニャ。でもシンならある程度力を使えるニャ。少なくとも助ける事は余裕ニャ。」
「ねぇマリリン、もう信じてみようよ。どの道私達が村を出たって本当に村が助かる保証なんてないんだよ? だったら、猫ちゃんを信じて、ここから抜け出して村を助けに戻ったほうがいいと思うの。」
ヒヨリンはおっとりしている雰囲気からあまり深く考えているようには見えないが、実は芯が深く、そして頭も悪くないどころか、かなり優秀であった。
逆にしっかり者に見えるマリリンは、よく周りに気を使い、考えて行動するようにも見えたが、おっちょこちょいであり、想像力や地の頭ではヒヨリンより遥かに劣る。
「おばぁ様の加護……どの道信じてみるしかないようね。でも勘違いしないで、私はあなた達ではなくて、あくまでおばあ様の事を信じるのよ。」
遂にマリリンも助けられる事に納得をしたのだった。
少なくとも鬼族に攫われている者を助け出そうとしている人たちが悪い人達とは思ってはいない。
しかし、もしも自分達の状況を聞いたらどうするかわからない。
それ以前に、自分達を助けようとして鬼族に殺されてしまったら申し訳がない。
それならいっそ自分達を見なかった事にしてくれた方が、自分にとっても嫌な思いをしないで済む。そしてヒヨリンには、人が殺されるところを見て欲しくはなかった。だからこそ、このまま自分達が鬼族の町へ行けば、自分達以外は誰も傷つかなくていいわけで、それが最善だと思えたのである。
「ニャア達はシンと馬面のバカと3人しかいないニャ。それにシンは、お人よしだから村も助けてくれると思うニャ。村の人は、一緒に馬族の村に連れて行けばいいニャ。」
「3人って! だって猫ちゃん抜かしたら2人ってことでしょ? なおさら無理よ!」
マリリンは興奮し、また少し声が大きくなる。
「お願いニャから静かにしてニャ。大丈夫ニャ。シンは強いし、バカも戦闘と移動だけならそれなりに使えるニャ。」
「強いって言ったって二人だけでしょ? 相手は鬼族よ? それに500人はいるわ。」
「それでも大丈夫ニャ、にゃあを信じるニャ。それにこれは運命ニャ。」
「信じろっていったって無理よ……。馬族の村に連れて行くっていうのもよく分からないわ。」
「今から逃げる事を拒否しても、もう遅いニャ。シンはもう既に行動を始めたニャ。」
「随分身勝手な事をするのね、確かに助けてくれようとしてくれることには感謝するわ、でもそんなの自己満じゃない。誰も助けてほしいなんて言ってないわ。」
「さっき言ったニャ、これは運命ニャ。二人が包まれている幸運の加護がシンを招いたニャ。つまりこれは必然だニャ。」
これにはマリリンもヒヨリンも動揺した。他人にそれがわかるはずないからだ。
「え? なんで猫ちゃんは私達に幸運の加護がかかっているのがわかったの?」
ずっと話を聞いているだけだったヒヨリンは初めてアズに質問した。
「当然わかるニャ、にゃあは神の使いみたいなもんニャ、もっとわかりやすく言えば、こう見えて精霊の主ニャ。それと名前はアズだニャ」
「うそぉ~。だって強そうに見えないよ? こんなにかわいいんだもん。」
「確かにいまのニャアはそんなに強くないし、力も制限されてるニャ。でもシンならある程度力を使えるニャ。少なくとも助ける事は余裕ニャ。」
「ねぇマリリン、もう信じてみようよ。どの道私達が村を出たって本当に村が助かる保証なんてないんだよ? だったら、猫ちゃんを信じて、ここから抜け出して村を助けに戻ったほうがいいと思うの。」
ヒヨリンはおっとりしている雰囲気からあまり深く考えているようには見えないが、実は芯が深く、そして頭も悪くないどころか、かなり優秀であった。
逆にしっかり者に見えるマリリンは、よく周りに気を使い、考えて行動するようにも見えたが、おっちょこちょいであり、想像力や地の頭ではヒヨリンより遥かに劣る。
「おばぁ様の加護……どの道信じてみるしかないようね。でも勘違いしないで、私はあなた達ではなくて、あくまでおばあ様の事を信じるのよ。」
遂にマリリンも助けられる事に納得をしたのだった。
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