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50:ルイーズの虚ろな瞳
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「どういうことよ、修道院に入れなんて!」
ルイーズは声を荒げた。
目の前では父親のシャノン男爵が難しい顔で黙り込んでいる。
代わりに口を開いたのは、その隣に座る母親、シャノン男爵夫人だった。
「理由なんて分かりきってるじゃないの。
あなたが人前で、婚約者のいる男性に強引にキスをしたことは、すっかり噂になっているのよ。
こんな状態では、あなたの結婚相手なんて見つかるはずもないし……いつまでも未婚のままだなんて外聞が悪いもの。
だったら残された選択肢は、修道院くらいのものでしょう」
「そんなの、お父様とお母様がもっと真剣に結婚相手を探して下されば良いだけじゃない!
今までだって、ダニエルよりは身分が下でも、結婚の申し込みは頂いていたはずでしょう!?」
「そうね。
でもそれは、あなたのスキャンダルを知るや否や、全て白紙に戻されたわ。
あなたの事を後妻にと言ってきていた50歳の伯爵様でさえ、結婚の申込を撤回してきたのよ?
ここまできたらもう、若い男性どころか、選り好みしなくたって結婚は無理ね」
「そんな……まさか……」
ルイーズは憤慨して、両手をテーブルに叩きつけた。
弾みでティーカップが床に落ち、派手な音を立てて砕け散る。
熱い紅茶がスカートに染みを作るのを、ルイーズはぼんやりと眺めていた。
男爵も、男爵夫人も、口を開くこともなく冷ややかな目で娘を見ている。
夫人は大袈裟に息を吐いて、手にしていた扇を開くと、力無くヒラヒラと振った。
「さあ、もういいでしょう?
この話はこれでおしまい。
あなたは修道院に入るの。
そして家名を傷つけぬよう、せめて神様によく尽くしてちょうだい」
ルイーズは両手が震えるのを止められなかった。
まさかこんなことになるなんて。
自分をこんな目に合わせたダニエルも、ケインも、それからジュリアも、皆みんな許すものか。
ルイーズは目をぎらつかせて、思いつく限りの呪いの言葉を心の内で呟いた。
しかし両親はすでに娘には関心はないらしい。
もう話は終わったとばかりに安堵の表情さえ浮かべている。
その顔を見れば、ルイーズは悟らざるを得なかった。
両親はもう娘である自分を助ける気などないのだということを。
煌びやかな宝石にも、華やかなドレスにも、もう別れを告げるしかないのだということを。
「なんで……どうして私が……」
あまりにも強く両手を握り締めすぎたせいで、爪が食い込み、手のひらには血が滲み始めていた。
しかしルイーズは、もう痛みなど少しも感じていなかった。
ただ虚ろな瞳を、いつまでも宙に彷徨わせているばかりだった。
ルイーズは声を荒げた。
目の前では父親のシャノン男爵が難しい顔で黙り込んでいる。
代わりに口を開いたのは、その隣に座る母親、シャノン男爵夫人だった。
「理由なんて分かりきってるじゃないの。
あなたが人前で、婚約者のいる男性に強引にキスをしたことは、すっかり噂になっているのよ。
こんな状態では、あなたの結婚相手なんて見つかるはずもないし……いつまでも未婚のままだなんて外聞が悪いもの。
だったら残された選択肢は、修道院くらいのものでしょう」
「そんなの、お父様とお母様がもっと真剣に結婚相手を探して下されば良いだけじゃない!
今までだって、ダニエルよりは身分が下でも、結婚の申し込みは頂いていたはずでしょう!?」
「そうね。
でもそれは、あなたのスキャンダルを知るや否や、全て白紙に戻されたわ。
あなたの事を後妻にと言ってきていた50歳の伯爵様でさえ、結婚の申込を撤回してきたのよ?
ここまできたらもう、若い男性どころか、選り好みしなくたって結婚は無理ね」
「そんな……まさか……」
ルイーズは憤慨して、両手をテーブルに叩きつけた。
弾みでティーカップが床に落ち、派手な音を立てて砕け散る。
熱い紅茶がスカートに染みを作るのを、ルイーズはぼんやりと眺めていた。
男爵も、男爵夫人も、口を開くこともなく冷ややかな目で娘を見ている。
夫人は大袈裟に息を吐いて、手にしていた扇を開くと、力無くヒラヒラと振った。
「さあ、もういいでしょう?
この話はこれでおしまい。
あなたは修道院に入るの。
そして家名を傷つけぬよう、せめて神様によく尽くしてちょうだい」
ルイーズは両手が震えるのを止められなかった。
まさかこんなことになるなんて。
自分をこんな目に合わせたダニエルも、ケインも、それからジュリアも、皆みんな許すものか。
ルイーズは目をぎらつかせて、思いつく限りの呪いの言葉を心の内で呟いた。
しかし両親はすでに娘には関心はないらしい。
もう話は終わったとばかりに安堵の表情さえ浮かべている。
その顔を見れば、ルイーズは悟らざるを得なかった。
両親はもう娘である自分を助ける気などないのだということを。
煌びやかな宝石にも、華やかなドレスにも、もう別れを告げるしかないのだということを。
「なんで……どうして私が……」
あまりにも強く両手を握り締めすぎたせいで、爪が食い込み、手のひらには血が滲み始めていた。
しかしルイーズは、もう痛みなど少しも感じていなかった。
ただ虚ろな瞳を、いつまでも宙に彷徨わせているばかりだった。
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