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そういうわけでキャンディスは、夜会が始まるとタイミングを見計らい、ドミニクにセオドアの気持ちを伝えた。
しかしセオドアの名前を聞いただけで表情が固くなるドミニクのことだから、一筋縄ではいかないだろうとある程度は覚悟していたのだけれど。
その予想は見事に当たり、ドミニクが唇をへの字に曲げるのを見ると、キャンディスは思わずため息をついてしまった。
「あいつと話したのか?
2人きりで?」
「うん……でも何も危ないことなんてなかったわよ。
もちろん。
それにセオドア様、本当に悲しそうな顔をしていたんだもの。
なんだか可哀想で見ていられなかったのよ」
「まったく、なんてお人好しなんだ!」
高まる感情とともにドミニクの声が大きくなるものだから、辺りの人が興味津々でチラチラとこちらを見ている。
それに気がついてキャンディスが声をかけると、ドミニクはバツが悪そうに声を落とした。
「とにかく、もうあいつの話はこれでおしまいだ。
仲直りなんてするつもりはない。
セオドアだって、自分がしてきたことを思えば、今更仲直りなんて出来るはずがないと分かるはずだ。
……そもそも、あいつがそんなことを言い出すなんて怪しすぎる。
なにか企んでいるのかもしれない」
「まさか!
そんなに疑ってかかるのは良くないわ」
「いいや」
ドミニクは重々しく首を横に振ってから、じっとキャンディスの目を覗き込んできた。
「もう絶対にセオドアとは2人きりにはなるんじゃない」
「ええ?そんなの……」
キャンディスは笑って目を逸らした。
その時、ドミニクの肩越しに、こちらを見ているセオドアと目が合った。
彼はグレースもつれず、珍しく1人きりでポツンと壁際に立っている。
いつもならばグレースが席を外せば、すかさず他の女性達が群がってくると言うのに、不思議なこともあるものだ。
大きな柱に隠れるようにして立っているのは、もしかしたら人を避けているからかもしれない、とキャンディスは思った。
それくらい真剣にこちらに目をやり、話の成り行きを心配しているのかもしれない。
そう思うと、胸が痛んだ。
キャンディスはなんとかして説得しようと、ドミニクに向き直ると、意識して明るい笑顔を浮かべた。
そして
「で、でもね、ドミニク!
セオドア様は……」
と言いかけたが、すぐに口を閉ざした。
まっすぐに向けられたドミニクの視線は鋭く、心の底まで見通されていそうで、思わず言葉が喉に引っかかって出てこなくなってしまったのである。
仕方なくモゴモゴと意味のない言葉を呟いていると、ドミニクは低い声で囁いた。
「約束するんだ。
セオドアとは絶対に2人きりにはならないと。
そして絶対に……というのは無理だろうが、出来る限り関わらないでくれ」
キャンディスは再び抗議の声を上げようと口を開いた。
チラリと見れば、セオドアはまだ縋るような目をこちらに向けている。
なんとか彼の期待に応えたいキャンディスは、
「でも……でもね、ドミニク」
と彼の手を握りしめて言ったのだったが。
「キャンディス」
逆に、彼の大きな手に強く両手を握りしめられると、それ以上なにも言えなくなってしまった。
ドミニクにはドミニクの思うところがあるのは、キャンディスにも十分、分かっていたから。
「……分かった」
と独り言のように呟くことしか出来なかったのである。
しかしセオドアの名前を聞いただけで表情が固くなるドミニクのことだから、一筋縄ではいかないだろうとある程度は覚悟していたのだけれど。
その予想は見事に当たり、ドミニクが唇をへの字に曲げるのを見ると、キャンディスは思わずため息をついてしまった。
「あいつと話したのか?
2人きりで?」
「うん……でも何も危ないことなんてなかったわよ。
もちろん。
それにセオドア様、本当に悲しそうな顔をしていたんだもの。
なんだか可哀想で見ていられなかったのよ」
「まったく、なんてお人好しなんだ!」
高まる感情とともにドミニクの声が大きくなるものだから、辺りの人が興味津々でチラチラとこちらを見ている。
それに気がついてキャンディスが声をかけると、ドミニクはバツが悪そうに声を落とした。
「とにかく、もうあいつの話はこれでおしまいだ。
仲直りなんてするつもりはない。
セオドアだって、自分がしてきたことを思えば、今更仲直りなんて出来るはずがないと分かるはずだ。
……そもそも、あいつがそんなことを言い出すなんて怪しすぎる。
なにか企んでいるのかもしれない」
「まさか!
そんなに疑ってかかるのは良くないわ」
「いいや」
ドミニクは重々しく首を横に振ってから、じっとキャンディスの目を覗き込んできた。
「もう絶対にセオドアとは2人きりにはなるんじゃない」
「ええ?そんなの……」
キャンディスは笑って目を逸らした。
その時、ドミニクの肩越しに、こちらを見ているセオドアと目が合った。
彼はグレースもつれず、珍しく1人きりでポツンと壁際に立っている。
いつもならばグレースが席を外せば、すかさず他の女性達が群がってくると言うのに、不思議なこともあるものだ。
大きな柱に隠れるようにして立っているのは、もしかしたら人を避けているからかもしれない、とキャンディスは思った。
それくらい真剣にこちらに目をやり、話の成り行きを心配しているのかもしれない。
そう思うと、胸が痛んだ。
キャンディスはなんとかして説得しようと、ドミニクに向き直ると、意識して明るい笑顔を浮かべた。
そして
「で、でもね、ドミニク!
セオドア様は……」
と言いかけたが、すぐに口を閉ざした。
まっすぐに向けられたドミニクの視線は鋭く、心の底まで見通されていそうで、思わず言葉が喉に引っかかって出てこなくなってしまったのである。
仕方なくモゴモゴと意味のない言葉を呟いていると、ドミニクは低い声で囁いた。
「約束するんだ。
セオドアとは絶対に2人きりにはならないと。
そして絶対に……というのは無理だろうが、出来る限り関わらないでくれ」
キャンディスは再び抗議の声を上げようと口を開いた。
チラリと見れば、セオドアはまだ縋るような目をこちらに向けている。
なんとか彼の期待に応えたいキャンディスは、
「でも……でもね、ドミニク」
と彼の手を握りしめて言ったのだったが。
「キャンディス」
逆に、彼の大きな手に強く両手を握りしめられると、それ以上なにも言えなくなってしまった。
ドミニクにはドミニクの思うところがあるのは、キャンディスにも十分、分かっていたから。
「……分かった」
と独り言のように呟くことしか出来なかったのである。
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