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「ネリー様!」
マーティがちょっと手を上げたのを見て、ネリーとイーディスは立ち上がった。
その間に、すかさず使用人の1人が椅子を取りに走って行った。
「突然押しかけてすみません。
お話したいことがありましたもので……」
「あ、いえいえ。
少し驚きましたけれど、構いませんよ」
使用人が、持ってきた椅子を並べたのを確認すると、ネリーは皆に椅子をすすめた。
一同が席に着くと、マーティが、さっとネリーの前に小さな花束を差し出した。
「もし良かったら、どうぞ。
来る途中の花屋で、綺麗に咲いていたものですから」
「あ、ありがとうございます」
ネリーは頭を下げて、花束を受け取った。
驚いたわ……。
男性から花をもらったことなんて、これが初めてである。
相手が婚約者であれば、これくらい、よくあることなのだろうと分かってはいたが、マーティが自分の機嫌を取るような真似をしてくれたことに、純粋に驚いたのだった。
マーティ様も少しは、私と上手くやろうと思って下さっているのかしら。
そんなことをネリーが考えていると、マーティが今度はイーディスに顔を向けると、頭を下げた。
「お2人の楽しい時間にお邪魔して、すみません。
えーと……」
「こんにちは、イーディス・ボーデンですわ」
「大変失礼致しました。
以前、ご挨拶をさせて頂きましたよね?」
そう言うマーティに、イーディスばかりでなくネリーも驚いた。
私のことは、覚えてなかったじゃないの!
とは言わなかったが、喉元まで飛び出しかけたのは事実である。
「ええ、そうです!
覚えていて下さったんですか」
「あ、はい……というか……」
マーティは頭をかきながら、ネリーを見た。
「ネリー様も、以前ご挨拶をさせて頂いたことがあったんですよね?
昨晩は、初対面のような事を言って、すみませんでした。
実はあの後、シェイマスに叱られましてね……。
いや、私はどうにも記憶力が悪くて……悪気はなかったんです。
本当にすみません」
そういうことか、とネリーは思った。
マーティは言葉の通り、悪気はなかったのだろうが、自分とイーディスに会ったことなど完全に忘れていたに違いない。
昨晩シェイマスに指摘されて、さぞ慌てたことだろう。
「いえ、気にしていませんよ」
ネリーは何でもないことのように言った。
こんな事、いちいち噛み付くほどのことでもない。
「イーディス様も、お名前を記憶しておりませんで、申し訳ございませんでした。
それに、いらっしゃると知っていれば、花束をもう一つ用意してきたのですが……」
「いえいえ、お気になさらず」
イーディスはにっこりと微笑むと、紅茶を飲み干して、立ち上がった。
「じゃあ、ネリー。今日はごちそうさま。
そろそろ帰るわね」
「え、もう?」
「ええ、ちょっと大切な用事を思い出しちゃって」
と言いながら、イーディスはネリーの隣に立つと
「マーティ様と仲良くなれるように、頑張ってね」
とニヤニヤ笑いを浮かべながら、囁いた。
それから、素早くマーティに向き直ると
「では、マーティ様。私はこれで失礼致します。
どうぞ、ごゆっくり」
とお辞儀をするなり、さっさと行ってしまったのだった。
マーティがちょっと手を上げたのを見て、ネリーとイーディスは立ち上がった。
その間に、すかさず使用人の1人が椅子を取りに走って行った。
「突然押しかけてすみません。
お話したいことがありましたもので……」
「あ、いえいえ。
少し驚きましたけれど、構いませんよ」
使用人が、持ってきた椅子を並べたのを確認すると、ネリーは皆に椅子をすすめた。
一同が席に着くと、マーティが、さっとネリーの前に小さな花束を差し出した。
「もし良かったら、どうぞ。
来る途中の花屋で、綺麗に咲いていたものですから」
「あ、ありがとうございます」
ネリーは頭を下げて、花束を受け取った。
驚いたわ……。
男性から花をもらったことなんて、これが初めてである。
相手が婚約者であれば、これくらい、よくあることなのだろうと分かってはいたが、マーティが自分の機嫌を取るような真似をしてくれたことに、純粋に驚いたのだった。
マーティ様も少しは、私と上手くやろうと思って下さっているのかしら。
そんなことをネリーが考えていると、マーティが今度はイーディスに顔を向けると、頭を下げた。
「お2人の楽しい時間にお邪魔して、すみません。
えーと……」
「こんにちは、イーディス・ボーデンですわ」
「大変失礼致しました。
以前、ご挨拶をさせて頂きましたよね?」
そう言うマーティに、イーディスばかりでなくネリーも驚いた。
私のことは、覚えてなかったじゃないの!
とは言わなかったが、喉元まで飛び出しかけたのは事実である。
「ええ、そうです!
覚えていて下さったんですか」
「あ、はい……というか……」
マーティは頭をかきながら、ネリーを見た。
「ネリー様も、以前ご挨拶をさせて頂いたことがあったんですよね?
昨晩は、初対面のような事を言って、すみませんでした。
実はあの後、シェイマスに叱られましてね……。
いや、私はどうにも記憶力が悪くて……悪気はなかったんです。
本当にすみません」
そういうことか、とネリーは思った。
マーティは言葉の通り、悪気はなかったのだろうが、自分とイーディスに会ったことなど完全に忘れていたに違いない。
昨晩シェイマスに指摘されて、さぞ慌てたことだろう。
「いえ、気にしていませんよ」
ネリーは何でもないことのように言った。
こんな事、いちいち噛み付くほどのことでもない。
「イーディス様も、お名前を記憶しておりませんで、申し訳ございませんでした。
それに、いらっしゃると知っていれば、花束をもう一つ用意してきたのですが……」
「いえいえ、お気になさらず」
イーディスはにっこりと微笑むと、紅茶を飲み干して、立ち上がった。
「じゃあ、ネリー。今日はごちそうさま。
そろそろ帰るわね」
「え、もう?」
「ええ、ちょっと大切な用事を思い出しちゃって」
と言いながら、イーディスはネリーの隣に立つと
「マーティ様と仲良くなれるように、頑張ってね」
とニヤニヤ笑いを浮かべながら、囁いた。
それから、素早くマーティに向き直ると
「では、マーティ様。私はこれで失礼致します。
どうぞ、ごゆっくり」
とお辞儀をするなり、さっさと行ってしまったのだった。
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