やっかいな幼なじみは御免です!

ゆきな

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「シェイマス様……」
「アリスを見ませんでしたか?
先程まで一緒にいたのに、少し目を離した隙にいなくなってしまって。
もしかしたらマーティとあなたの所にでも行ったんじゃないかと、慌てて探していたんです」

と、シェイマスは言ってから、辺りを見回した。

「あれ、そういえばマーティはどうしました?
一緒に来ているんじゃないんですか?」
「それが……」

ネリーはため息をつくと、開きっぱなしになっている扉の向こうをチラリと見た。

中からは、眩しいばかりの光が溢れ出してきていた。
ダンスを楽しむ男女が、現れては消えていく。
その中でも一際目立つマーティとアリスの姿は、すぐに目についた。

シェイマスも、ネリーが言わんとすることが分かったのだろう。
彼女の視線を追って、しばらく、ダンスを楽しむ人たちを目で追っていたが、やがて重々しく息を吐き出した。

「そういうことですか……」
「……ええ」
「せっかく、マーティに話をしたというのに。
無駄だったわけですね」
「あ、いえ。無駄というわけでは……」

ネリーは、シェイマスが彼に話をしてくれてからというもの、マーティの態度が変わってきていたことを話した。
先程アリスがダンスに誘ってきた時でさえ、一度は断ったことも。

「いつになく、頑張って抵抗してくれてはいたんです。
でも、やっぱりマーティは、アリス様には弱いんですね……」

ネリーは苦々しく笑いながら、マーティとアリスを見つめた。
2人は何やら楽しげに笑い合っている。
決して自分の前では見せない、心からのマーティの笑顔を見ていると、体がドンドン重くなっていくような気がしてきた。

「でも、仕方ないです。
どう考えても、アリス様は私より可愛らしいですもの」

とネリーは言って、乾いた笑い声を上げた。

「本当に、羨ましくなるほどお似合いの2人ですわ。
私でも思わず見とれてしまいますもの。
アリス様みたいに美しい方が羨ましいです。
特に、あの黄金の髪ときたら……」

ほうっとため息をついて、ネリーは自分の黒髪をつまみ上げた。

「私とは大違い」
「なにをおっしゃるんです。
あなたも充分魅力的ですよ。
その黒髪も、私はとても素敵だと思います」

どうせお世辞に決まっている。
自分の黒髪なんかより、金髪の方が美しいと、誰もが思っているに違いないのだから。

そう思いつつも、もちろんネリーは口には出さなかった。
ただ小声で

「……ありがとうございます」

と呟いただけだったのだが、ふと思い出した。


確か、シェイマス様とは同じような話を前にもしたような……。


しかし、それがいつ、どのような話だったのかは、全く思い出せなかった。
もしかしたら記憶違いかもしれない。


まあ、どっちでもいいわ。


ネリーは、半ばなげやりな気持ちになって、うつむいた。
ところが不意に、シェイマスが手を伸ばしてきたのに気がつくと、何をされているのか分からず、頭が真っ白になってしまった。

「え……?」
「私はマーティと違って、アリスよりあなたと踊りたいですね」

とシェイマスは微笑んで、差し出した手を軽く開いた。

「私と踊って頂けますか?」
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