やっかいな幼なじみは御免です!

ゆきな

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「わあ!嬉しい!
ありがとうございます、ネリー様」

アリスがピョンピョンと跳ねるようにして言う。
マーティは申し訳なさそうに眉を下げてこちらを見ていたが、アリスが彼の腕に手を絡めて

「行きましょうよ」

と可愛らしく誘うと、いそいそと連れ立って行ってしまった。

一人取り残されたネリーは、ぼんやりしながら2人の背中を見送っていた。
彼らが向かい合って手を取り合うや否や、演奏が始まり、周りの男女と共に優雅に動き始める。

たくさんの人に囲まれているのだから、すぐに人混みに紛れてしまいそうなものだが、アリスとマーティは違った。
他の人の影に隠れてしまっても、チラッとでも姿が覗けば、すぐに目についてしまう。

とにかく目立つのである。
まるで光を纏ってでもいるように。

どの角度から見ても、絵に描いたようにお似合いな2人は、明らかに皆の注目を集めていた。
もちろんネリーも、壁際に突っ立ったまま。彼らから目が離せないままだった。

「なんだかこれじゃあ、婚約する前に戻ったみたいね……」

と自嘲気味に笑う。
それから、はっとして首を大きく左右に振った。

「いけない、いけない!
嫌だったら、いつまでも見ていなきゃ良いのよね!」

と自分を励ますように呟いて、マーティ達から目を離したところで、ふとテラスへの出入り口に気がついた。

「少し風にあたって来よう」

たくさんの人でごった返す中をなんとかすり抜けて、ようやくテラスに出ると、そこは誰もおらず、しんと静まり返っていた。

部屋の中は熱気で暑いくらいだというのに、外は思ったよりも冷える。
しかし今のネリーには、冷たい風が心地よかった。

「気持ち良いわ……。
このダンスが終わるまで、ここで涼んでいようっと」

と、手すりにもたれて庭園を見下ろしてみる。
しかし、どこもかしこも、ほとんど暗闇に包まれていた。

ポツリポツリと灯された明かりの中に、人影は見えない。
寒空の下を散歩する物好きは、今のところいないようだった。

暗いのは、月が雲に隠れているせいでもあった。
時折隙間から覗く月は、満月よりほんの少し欠けてはいるものの、眩しいほどの光を投げかけてくれる。
けれども今夜は、かなり分厚い雲が広がっているせいで、ほとんどその出番はないようだ。


そんなことを考えながら、ぼんやりと月を眺めていた時だった。

「ネリー様。こんな所で……寒くはないですか?」

と後ろから声をかけられて、驚いて振り返ると、こちらを見て微笑んでいたのはシェイマスだった。
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