やっかいな幼なじみは御免です!

ゆきな

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「はあ……やっと、うるさいのがいなくなった」

扉が閉まると同時に、シェイマスは大きく息を吐き出した。

「お騒がせして、すみませんでした。
でも、おかげでスッキリしましたよ。
ようやくアリスに言いたい事が言えました」
「……それなら良かったです」

なんとなく2人は顔を見合わせると、笑い出してしまった。

まだ細かい話し合いはしなければならないものの、一応はこれで、ネリーもシェイマスも無事に婚約は破棄できたのだ。
ずっと胸の奥に立ち込めていたモヤモヤした霧が、やっとのことで晴れた気分だった。

ひとしきり笑い合ったところで、シェイマスは

「それで……」

と、おずおずと切り出した。

「僕との婚約の話についてなんですが」

ネリーは突然話の矛先を向けられて、ドキリとした。
しかしシェイマスは、目を見開いたネリーを見て、慌てて手を振ると

「あ、いえ!
やっぱりもう少し考える時間が必要ですよね。
違うんです。
返事が今すぐに欲しいとか、急かしているわけではなくて!」

と早口に言ってから、むっつりと数秒間黙り込んでしまう。
それから、小さな声で続けた。

「すみません……本当は待ちきれなくて。
もしかしたら今、返事が聞けるんじゃないかと、期待をしてしまいました」

チラリとこちらを見てくる彼の目は、男性に言うのは失礼かもしれないが、とても可愛らしく思えた。
ついつい目が離せなくなるほど、綺麗な瞳を見つめつつも、ネリーは上手く言葉が出てこなかった。

自分でも整理しきれない自分の気持ちを、言葉にして伝えることは、なんと難しいのだろう。

ネリーの気持ちを察してくれたのだろうか。
シェイマスは一つ頷くと

「そうですよね。気が早すぎました!
すみません。
ゆっくりでいいので、よく考えてみて下さい。
ダメだとしても、あなたが決めた事なら仕方ないですから」

と、弱々しく微笑んだ。

あまりに答えを渋るネリーに、断られるところを想像したのだろう。
悲しげに目を伏せる。

そして

「では、僕も今日はこの辺で失礼します」

と背を向けた。

その背中が、やけに寂しそうだ、と感じた時。
突然、ネリーの中で何かが弾けた。

ネリーは早足に数歩進むと、シェイマスのジャケットの袖を小さくつまんだ。

「ま、待って下さい……」

驚いて足を止めたシェイマスが、ゆっくりと振り向く。
彼の視線を感じつつも、顔が赤いのに気づかれると思うと、つまんだジャケットから目を上げられなかった。

「お返事を、今しますから……少し、待って下さい」

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