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潰された箱の話1
しおりを挟む頭がぐらぐらする。それは、季節によるものではなく昨夜どころか朝方まで続いた交合のせいだろう
不安気に何度も挑んできた燕核は隣ですやすやと安らかな寝息をたてている
なんとなくむかついて頭をベシッと一回叩いておいた
全く桂林の言うことも聞かず、制止を振り切り燕核にやりたい放題されたので腹が立った
眠っている燕核は幸せそうにニマニマと笑っていて、また向かっ腹が立った
美しい硬い頬を撫で、燕核の髪を一房とり口付ける
二人このまま、というわけにはいかない
燕核の為にも、自分は離れなくては
夢に見たあれは、夢ではない
実際に燕核には、皇族の西上殿下から縁談がきている。父上も倒れて、皇族の縁談まで断れば、一族が路頭に迷う
一時の気の迷いや熱情に惑わさられれば幸せに、金持ちのボンボンである燕核には耐えられない暮らしになってしまうだろう
憂鬱な気持ちで燕核の肩や首筋を撫でる
俺のものだと、言えればいいのに
しかし、現実はそうはいかない
燕核への気持ちが深ければ深いほど、燕核を想うならば、この手を離さなければならない
「………愛してる。燕核だけだ……」
ぴくりと燕核の肩が動いて、口走ってしまった己の口元を塞ぐ
なんてことを、口走ってしまったのか
ゆっくりと開く鳶色の瞳が、喜びを滲ませながら開かれていくのを絶望を感じながら眺めているしかなかった
「…桂林、本当ですか?わかってはいましたが。やっぱり僕を、愛してくれてるんですね?」
子供のようにはしゃぐ燕核に、ふとんの端を握りしめながら、唇を噛み締める
そうだ、俺は燕核を愛している
今だって、幸せに溢れて抱き合えれば、どんなに幸せだろう
静かな薄暗い部屋で、はにかみながら笑う燕核に力無く笑いながら俺は手を握りしめた
俺は今から、燕核に酷いことをする
それが、燕核の幸せになるからだ
「え、燕核、話を聞いてくれるか?」
ごくりと息を飲みながら話し始めると、燕核は体を起こして密着するように抱きしめてくる
「なんでも聞きます。桂林の言うことなら、僕はなんでもします!僕も、愛しています。桂林、桂林…」
何度も髪に唇をつけながら、燕核は本当に幸せを噛み締めているように微笑みかけてくる
心が折れそうだ
抱き返して、幸せになるなんて夢のまた夢だ
義母の言葉が蘇る
お願いしますから、桂林
俺は手放さなければ、ならないのだろうか?この幸せを?
燕核は、美しい。ちょっと間抜けなところもあるし、激しい美しさとは裏腹にのんびりしている
優しくて、俺を大事にしてくれて、いつも味方でいてくれる燕核
俺なんかを愛してくれた燕核
俺も、とっくに燕核の事が好きなのに
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