へっぽこ勇者と色情狂いの王様

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山岳地帯の黄金郷

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パンの家は年契約で国境を守っているだけあって、国境の山岳地帯にある

城から半日かかる山岳地帯は、着いた時にはお昼過ぎになっていた

「おう、ウル公、電撃なんとかしてもらえたのか?!」

大きな木の家の広い庭で、ゴルディが肉を焼きながら叫んできた

なんかめっちゃ馴染んでんな?

ほくほく顔で肉を焼くゴルディは、すっかりパンの家が気に入っているようだ

カンナが庭にいるゴルディにお茶を運んでいて、小さくペコリと礼をされた

当たり前なんだけど、カンナには、めちゃくちゃ距離とられてるんだよな

「う…うん。」

「なんだあ?!歯切れ悪いな、駄目だったんか?」

「いや、解除してもらったよ」

そう言いながらも、尻とか下半身とか触られたらどうなることやら

まあ、誰も触らないから大丈夫だろう。こんなとこ触る物好きはヴァイスくらいのもの


「あ!ウール!帰ってきたの!?良かった!解除してもらえた!?」

パンが出てきて飛びついてきたので受け止める

電撃が走らないって素晴らしい


「うん。これで旅に出られるね」

ニコニコしながらパンのされるがままになっていたら、パンがくんくん匂いを嗅いでくるので顔をぐいっと遠ざける

あんま匂うな

「ええっ!?なんで?ウール!なんでこんなにアルファのにおいがすんの!?」

「……………………あんま、きくな」

嫌なことを思い出して顔を逸らすぼくに、パンは何故かぷりぷり怒っている

こいつはこいつでぼくが既婚者だということを忘れているな。伴侶のにおいくらいは付けられるだろ。外に出るのに

「……まあいいや。今、ミルディコとクインは、パパの手伝いで山岳地帯で戦闘してくれてるんだよ。でも遅いなあ…いつももうちょい早く帰ってくるんだけど」

不安そうなパンに、肉を頬張りながらゴルディは眉根を寄せる

「おめえのパパはA級冒険者だろ?ミルディコとクインもβ性といえども両親がα性だから、αに近いB級冒険者だぞ?攻防繰り返してるだけの山岳民族だろ?心配ねぇよ」

ゴルディの言葉に頷きながら、ゴルディと一緒にパンとカンナと肉を焼く事にした。燻製にしてしまって非常食にして旅に持って行くためだ

しかし、夕方になっても3人は帰って来ない

夕暮れになりだしてから、唯一大人のゴルディが山岳地帯を睨む

「こりゃあ、なんかあったな。ウル公達、留守番してろ。見に行ってくる」

「パパにどうにかならない相手にゴルディだけ行ってもしょうがないでしょ。俺たちも行くよ」

パンの言葉に、えっ!?て表情を浮かべてしまったのがまずかったらしい。パンが呆れている

「まあ、ぼくは役に立つと思えないけど、留守番も嫌だから一緒に行くよ」

「留守中なんかあったら困るからね。でも、カンナさんはお留守番してて。念のため、ウールの剣の封印、一個外しとこ」

カンナにウィンクしながら、パンがぼくの勇者の剣に手を伸ばす

「ええっ!?持ち運ぶの、ぼくなんですけど!誤作動でも起こしたら!?」

あの日の抜き身で持ち運びした恐怖が蘇る

「振らなきゃ大丈夫だから、一個だけだし。」

パンが慎重に一個だけ縛っていた、妙な文字が描かれた紐を剣から解く

「うーん、でも、スライムで苦戦するぼくが、山岳地帯なんか行けると思えないなあ。留守番じゃ駄目?」

食い下がったが、パンが半目でじとりと睨んでくる

いや、だって怖いじゃん!

「世界を救う勇者様の言葉とは思えないね。遅くなるから、行くよ!暗くなったら、捜索も困難になるんだから」

確かに勇者らしからぬ言葉だが、ぼくは昨日今日に勇者になったばっかりなのだが

「明るくなったらじゃ駄目なの?」

ぼくの言葉にゴルディが首を振る

「基本、魔物相手ならば夜に食われてしまう。民族相手の誘拐ならば24時間以内で生存率が変わるから急いで行かないと」

「わ、わかったよ。行こう!」

念のため松明を持って、3人で民族侵攻の山岳地帯、カルディナ山の探索に行くことになったのだった

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