Amor et Odium

佐野絹恵(サノキヌエ)

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……私は……家族が………憎い……

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
私は物心着く頃から、家族からの接し方に差があった
兄様は、お父様からもお母様からも愛されている

私は…家族として扱われていない

お父様は私を遠ざけ、お兄様は私を見下している
特にお母様の私に対する扱いが酷い

私はお母様の傍に寄る事さえ許されない
同じ空間にいるだけで悪態をつかれ、小言を言われる

1度2人きりになった時があるのだけれど
お母様の機嫌が悪かった様子で
その時に酷い暴言と暴力を振るわれた…

お母様の怒号と 
私の悲鳴を聞きつけた使用人達が駆け付け
その場は何とか収まったのだけれども…

それ以降
私は決してお母様と2人きりにならないと決意した

使用人は私に哀れな目を向ける
または嘲(あざけ)り

………何故……?
皆、私をそんな目で見るの?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
屋敷の使用人が私の噂話をしていたの
耳にしてしまう

「奥様はサビーナお嬢様をどうするつもりなのでしょうね…もう良い年齢なのに」

「さぁ」

「そんな他人事な言い方して」

「他人事でしょ、私達はただの雇われの身」

「そうだけど…私はとても心配だわ
サビーナお嬢様は使用人の子なのでしょ?
令嬢として、このまま屋敷に居るのは…」

私は物陰に隠れて
2人の使用人の会話を聞いていたが、全ては聞かず
お父様の仕事場へ早足で向かった
・ 




普段なら決して寄り付くことがない場所

お父様の仕事部屋の前で
私は行動に移せないまま立ち尽くしていた

あんな話を耳にしてしまい
頭より先に身体が動いてしまったのだけれど
お父様の口から話を聞こうと、ここまで来てしまった
が、ドアをノックする勇気がない

「サビーナ様、どうなさいましたか?」

声が聞こえた方に顔を向けると 
そこには初老の男性紳士.…
執事のセバスチャンが私に不思議な顔を向けている

「旦那様は今、お仕事中ですが」

「………」

私はセバスチャンに返事を返す事が出来ぬまま、俯いていると

「宜しければ、私(わたくし)と一緒に旦那様の部屋に入りますか?」

それは思いがけないセバスチャンの
嬉しい誘いの言葉だった

「…お…お願い…します…」

私は頷きセバスチャンにお願いをした
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
私は仕事場で書類の仕事をしていると
部屋のドアにノック音がする

「入れ」

執事のセバスチャンだろうと思い入室の許可をした

ドアが開き、セバスチャンが姿を現す

!?

セバスチャンの後ろを付いてきた少女の姿に
驚きのあまり私の心臓は早まる

…これぐらいの事で取り乱してはいけない…

「…何の用だ…」

私は心の動揺を隠そうと
平常を装い口に出したつもりだったが
それはとても弱々しかった
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