Amor et Odium

３

05

私はこの村娘 

村の住民はそれ程多くはないが､若者が多く活気がある

私には長年交際している婚約者がいる
式まで数日だと言うのに…彼は他の女性と浮気をした

彼の住居を訪ねた時
ベッドで彼と見知らぬ女性が
裸で抱き合っているのを目撃してしまい
私は衝撃のあまりその場を走り去る

信じられない…彼が他の女性と…
彼は私の事を愛していると
何度も何度も愛を口にしてくれたのに…

もう彼には会いたくない…
家にも帰りたくない…彼が私の家に来る可能性がある

私は俯き､途方暮れ足の歩みを進めていると
知らずの間に深い森へいた
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「…え…？」

目の前の光景に呆然と立ち尽くしてしまう

状況把握が出来ない…私は何故森へいるの!?
と、取り敢えず､元にいた場所へ戻ろう!!

私は踵（かかと）を返し足の歩みを進めた
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一体どれほど歩いたのだろうか？
私は村へ戻れぬまま､まだ森の中にいる
村の近くに森はあるが､こんな森ではないはず…

あぁ…もう疲労困憊（ひろうこんぱい）…

「疲れたぁぁああ」

その場に座り込む
森など滅多に歩かない私の身体には辛過ぎる

「お腹空いたよぉ…喉乾いたよぉ…」

私…もしかして…このまま森で遭難して死ぬのかな？
【死】
この文字が脳裏をよぎる

「やだょおおお!!まだ死にたくない!!」

私は手を組み目を瞑り､必死に神様にお祈りをした

神様!!お助け下さい!!

その瞬間､暖かなそよ風が頬をかすめる
反射的に強く瞑っていた目を開けた

「!?」

驚いた
先程まで明るかった森が､日が沈み暗くなっている

「どうしよう…困ったな」

この場にいるわけにいかない
取り敢えず､この場から離れる事にする
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しばらく歩いていると
先の方に明かりが灯った屋敷が見えた

私は安堵する

「良かった…事情を説明して､今晩は泊まらせていただこう」
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屋敷の扉をノックする
…………………………

応答は無い
私は何度も扉をノックし続ける

屋敷は明かりが灯っているのだから､人は居るはず

「すみません!!道に迷ってしまい…  
今晩だけで良いので宿を貸していただけませんか!?」

…………………………

私の懇願（こんがん）にも
扉を開く様子はなく静まり返っている

「……っ……うぅ……」

私は悲しくなり瞳が涙で浮かぶ
踵を返し屋敷の前から離れようとした時

扉が開く音が聞こえた

「遅くなって申し訳ありません!!」

扉の方から女性の声が聞こえる
私は急いで振り返ると
そこにはメイド姿の綺麗な女性が
息を切らして立っている

「どうぞ､夜の森は危険なので
お泊まりになって下さい」

微笑む女性の顔が女神に見えた

その瞬間
私は緊張が切れたのか気を失い
その場に倒れてしまった