Amor et Odium

佐野絹恵(サノキヌエ)

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陽は暮れ、村は暗闇に包まれていた
夜空に満月が輝いている 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
僕はこの村の神父
聖職者は神に仕える者

本来なら誰とも結婚しないまま
神にこの身を捧げ、生涯を終えるはずなのだ
近年、 聖職者でも結婚が許されるようになり
幼なじみの恋人エマと長年の交際を終え
僕達は夫婦になるはずだったのだが
3ヶ月前…エマの行方が分からなくなった

この村に彼女が戻って来た時には
既に悪魔に憑かれた後だった…
僕はエマの姿に愕然する  

彼女の瞳を見れば分かる…

この事態が起こってしまったのは僕のせい

首都の教会からの手紙に
きちんと目を通すべきだった

手紙には
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
近頃、町娘の行方不明、多数発生
不可解な街の大量虐殺事件、多数発生

悪魔の可能性 有

注意せよ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
と記されていた

聖職者の僕が
注意喚起の手紙を受け取っていたのにも関わら
この様な事態が起こってしまった

結果的に、エマは悪魔に魅入られ
憑かれしまう羽目に…

愛する人を救う為、僕は何でもする
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
教会には、普段は使用はされない地下室がある
そこは悪魔祓いをする時のみ使用される

もちろん関係者以外立ち入り禁止
儀式をしている時であるなら尚更

他の者に憑依する可能性があるので
村人に注意を換気し、教会には決して近付かせない




今夜の教会は物々しい

悪魔祓いをする為の地下室には
数人のエクソシストと祭司の姿がある

中央の祭壇にはエマの姿がある
手足をロープで縛られ眠っている

エクソシストが
祭壇の前で悪魔憑祓いの儀式を行っていた

手にはロザリオと聖書
付近のテーブルには聖水がある

エクソシストが聖水をエマにかけた

「ギャアアアアアア!!」
 
拘束さているエマは
獣の様な呻(うめ)き声を上げている

後ろで、その様子を見守っていた僕は苦い顔をした

エクソシストでない僕は手も口も出せない
無力な自分に絶望感を感じる
……悲しい事だが……祈りを捧げる事しか出来ない

僕の瞳から涙が零れた

その瞬間、暖かな風が僕の頬を掠(かす)める

「…………」

辺りが静寂に包まれる
無事に悪魔祓いが成功した合図だ

それから僕はエマとの
平穏を日々を取り戻し送っている

エマが村を飛び出した理由に
僕が他の女性と裸で抱き合っていた…
いゃ、浮気をしたと言う

僕がエマ以外の女性と行為をするなど、絶対にない
そもそも、婚姻関係を結んでもいないのに
行為をする事は神との契約違反だ

…エマの説明には矛盾がある…

エマが説明する
僕が浮気をしていたと言う日時は
僕は村長の家で村長と話しをしていた

住居である教会に僕ははいなかった
証人は村長がしてくれるだろう

では…エマが見た者は何だと言うのだ?

【悪魔がエマを狙っていた】

その言葉が脳裏に浮かんだ瞬間
背筋に冷たい物が走り、身震いがする

僕は椅子から立ち上がり、部屋の窓を閉めた

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