あやかし居酒屋「酔」

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◆・◆ お品書き ◆・◆

しらすおろしに、焼き鳥缶でパパっと炊き込みご飯

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豚汁にも使用したゴボウを再びささがきにし、ニンジンを細かく切る。ちくわは縦半分に切ってから薄切りに。

笹女から受け取った米を土鍋に入れ、棚からゴソゴソと取り出したのは焼き鳥の缶詰だ。

缶詰の中身と汁を取り分け、まずは土鍋に汁とお水を投入。
そしてその上にゴボウ、ニンジン、ちくわに焼き鳥、そして根元を切り落としばらばらとほぐしたしめじを乗せる。あとは炊くだけだ。

ご家庭で作る時は炊飯器でOKですし、焼き鳥の缶詰は種類によって味付けなども異なるので汁気が少なそうだったり味が薄そうならめんつゆなど調味料でお好みに味を調整して下さい。

火をつけたところで剛鬼からためらいがちに声がかかった。

「あの……その……終わりました」

「ありがとうございます。あ、布巾ふきんどうぞ」

地味に面倒くさい大根おろしがあっという間に山盛りできた。
流石は鬼のあやかし。

「その、……店主、とお呼びすれば宜しいですか?」

ためらいの理由は羅刹に対する恐縮もあるが、綾への呼びかけを迷っていたためでもあるようだ。

「ああ、普通に名前でいいですよ」

「では、綾様。次はなにを?」

「様はいらないです」

……しかもいつの間にか敬語になってるし。

ちなみに、笹女にも同じことは伝えたのだが受け入れてはもらえなかった。

「あっ、じゃあお酒用意してもらっていいですか?若葉さんたちも食べて呑んで下さいよー」

ぴしりと正座したまま箸もお酒も進んでいない様子に綾はカウンター越しに声をかける。

「そんなお通夜じゃないんですから。ここは居酒屋ですよ?食べて呑んで楽しむ処です。反省してくださってるならその分、売り上げに貢献してください。さ、食べた食べた」

困り顔で綾や羅刹にチラチラと視線を向ける若葉たちに、「それとも……」と綾は再び腰に手を当て仁王立ちの構えを取った。

「私の酒が呑めないとでも?」

一度は言ってみたかった言葉を言ってみた。

もちろん、本気で凄んでいるわけではないし、ただのノリと……あと楽しんでもらいたいのは本心だ。

敵意があったのならともかく、誤解だったわけだし、お世話になっている羅刹の身内なら綾としても仲良くしたい。

「もし羅刹さんたちが気になるならそこのふすましめちゃってもいいですよ。ほら、どーせ皆さんもお酒好きなんでしょう?じゃんじゃん呑んで!」

「お前な……攫われた自覚はないのか?」

「あなた、怪我までさせられたのよ?」

羅刹の呆れきった視線も、雪音のツッコミも気にしません。

「とりあえず剛鬼さんお酒運んでください。場所は……」

「俺、案内する。適当にとってきて、いい?」

「わー、助かるタロくん。じゃあお願いしていい?お酒リクエストある人ー?」

重いお酒を運ぶのを何度か手伝ってくれてる太郎の申し出に有り難く甘える。

剛鬼がおろしてくれた大根おろしは釜揚げしらすとポン酢で和えて小鉢に盛り付ければ、しらすおろしの完成。

味付け的にはお醤油もとっても合いますが、大根おろしはしらすの栄養素の吸収を妨げてしまうのです。
だけどお酢と一緒に食べることで吸収を妨げる大根おろしの働きを相殺してくれます。
なので肝機能を助けるなどのしらすの栄養素による働きを期待するならポン酢や柑橘系をかけるのがおススメ!

でもお醤油も美味しい……。
味をとるか、栄養素をとるか……。
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