33 / 180
気分はヒーローショーのヒーローを前にした子供 3
しおりを挟む何でも……
負傷して役に立てるかわからない身で仕えるのは納得いかなかったらしい。
あと自分を狙ってる残党がウチに手を出すことを危惧して姿を消したとのこと。
今までは復帰がてら邪魔な奴らを全て粛清していたらしいです。
女子供と罪のない相手には優しくても敵には容赦ないんですね。
そして体調も万全となり憂いも全て果たした今、あの時の誘いが有効ならば是非この身を捧げたいと。
はい、採用ー!
「名前を決めなくてはね。何か希望はあるかい?」
何でも名がないそうですよ。
本人は必要を感じないらしいが必要だからね。
お世話期間中も皆困ってたから。
「宜しいでしょうか」
何故か聞いた本人でなく第三者から手が挙がった。
文字通り挙手をし、キリッとした顔のリリア。
「ハンゾーという名は如何でしょうか」
思わず真顔になった。
そんな俺には幸い誰も気づかず、俺は白々しくも首を傾げる。
「ハンゾー。変わった響きの名だね。何か意味があるのかな?」
知ってるけど。
確実に服部半蔵のハンゾーですよね。
「はい。とある異国の名で、闇に生き、影に生き、主に忠義を尽くす意味を持ちます。」
持たねーから!まるでハンゾーの言葉の意味がそれみたいに言わないで。
でもキミが言いたいことはわかるよ!!
「成程」
真面目な顔でそんな莫迦げた遣り取りをする俺たち二人。
「素晴らしい名です。正に俺の望む在り方を示したような名だ」
そしてそんな俺たちの内心を知らない当事者がその名を気に入った。
感動に肩を震わすハンゾーに若干の罪悪感を感じつつも俺もその名に異存はないのでそっとその感情には眼を瞑る。
「この名に恥じぬよう、我が君や姫君方の敵は全て俺が葬りましょう。
大恩ある我が君にこの命を捧げ、永遠に忠義を尽くすことを誓います」
片膝をついたまま此方を見上げるハンゾーの忍者っぷりに俺の心は沸き上がったままだ。
これだけ大興奮しつつそれを欠片も表に出さずに微笑んでいられるのだから俺の面の皮って相当厚いよな。
これぞ長年の成果。
「私はお前を暗殺の道具としてだけ使う気はないよ。ハンゾーはもう我が家の一員なのだから。早速ベアトリクスたちにも顔を見せてあげておくれ、きっと喜ぶ」
「有り難き倖せ」
「我が君」って呼称にも俺はテンション爆上がりです。
因みにベアトリクスは怪我してた時せっせとお世話してたこともあって「姫」って慕われてるし、ガーネストは「若」って敬われてるよ。
応援ありがとうございます!
34
お気に入りに追加
192
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる