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法律違反で捕まったりしないだろうか? 1

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 あれから。
 執務室に移動し、細かな数字とにらめっこしつつ仕事に励んだ俺は、気が抜けるとすぐに緩みそうになる表情を抑えるのに必死だった。

 だって可愛い。
 お兄ちゃんは1000のダメージです。

 もういっそこれが死因でも悔いはない。
 いや、嘘だ。可愛い妹の悪役令嬢フラグを阻止するまでは俺は死ねん!

 今も粗方の指示を出し終え、頭が一段落した途端に緩みはじめる口元。
 へらへらとにやけた口元は俺のイメージにはあわないので持ち上げた片手で口元を隠すも緩んだ表情は隠しきれず。


「とても嬉しそうですねカイザー様」

 微笑まし気にリフに指摘され、気恥ずかしさが込み上げた。

「ガーネストがね、私を“自慢だ”ってそう言ってくれたんだ」

「左様ですか」

「そうだ、ガーネストに公爵の仕事を手伝って貰うことにしたんだ。本当は一年後、高等部に入学してからと思っていたんだけどね。ガーネストも色々悩みがあるみたいだから早めに経験をしてみるのも良いかと思って」

「畏まりました。では手始めに簡単な資料等を用意しておきますね」

「頼む」

 すぐさま必要なものをメモに取り、算段をはじめるリフ。
 リフとの会話は話が早くて助かる。

「ガーネスト様ももう来年は高等部に入学なさるんですね。ベアトリクス様も二年生になられましたし本当に早いものです」

「本当にね。ついこの前まであんなにも小さかったのに」

「お寂しいですか?」

 この手に抱いていた時を思い出して無意識に胸の前に掲げた両手を眺めていれば悪戯っぽく問いかけられた。

「少しね」

 いつかあの子たちが俺の手を必要としなくなる日がくるのかと思えば切ない。

「寂しくて、だけどとても誇らしいよ」

 寂しくて、嬉しくて、哀しくて誇らしい。

 何かを欠いたように寂寥感が胸を襲うのに、同時に酷く満たされたような。
 矛盾する幾つもの感情。
 だけど、そのどれもが紛れもない本当の想いで。

「子の巣立ちを見守る親はこんな気分なのかな」

「その前にカイザー様は婚約者をお見つけしましょうね」

「……」

 にこやかなリフの一言に俺は撃沈した。

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