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あざとさは天然モノであることが肝心 2

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(リリー視点)


「ほら、これあげるから」

 むくれたメラルド君の頭を撫でながらカイザー様が差し出したのは可愛らしい飴玉で。

「わーい!ありがとうございます」

 差し出されたそれを早速お口へと放り込むメラルド君。
 しかも二つ。結構大き目なアメちゃんを同時に。

「おひしいでふ」

 …口がいっぱい過ぎて滑舌廻ってないし。

 そして何でカイザー様飴玉持ってるの?
 好きなの?顔に似合わず常時甘い物がないとダメな甘党なの?
 それとも餌付け用?

「はいざーさまもさふぃあさまも今度てはわせしてくらはいねー!!」

 そしてブンブン手を振って去って行くメラルド君。

「喉につまらせないよう気を付けるんだよ」

「廊下は走っちゃ駄目ですよ」

 そして見送るカイザー様とサフィア様優しい。

 メラルド君が無邪気なワンコだからか、カイザー様やサフィア様も普段の貴公子然とした丁寧さが若干崩れた対応でこれはこれで美味しいとか。

 麗しい二人のツーショットが神々しすぎていっそ崇めたいとか。

 イケメンたちの遣り取りを眺めつつ、一緒に雑談を交わしてる女の子たちが可愛いとか。

 色々と思うことはあるけれど、取り敢えず一つだけ。

 どうしてこうなったッ………?!

 美形たちに囲まれて毎日が尊く、相も変わらず心臓は過剰労働中。

 …だけど、
 肝心のイベントが一つも発生してないってどういうことなのっ?!

 この前だって、顔が好みだし何より同じクラスメイトで接点も多いということでサフィア様を攻略しようと試みた。
 イベントは発生しないし、全然ストーリー通りに進まないし、これはもうこっちから仕掛けるしかないと思って授業でわからないところがあったふりをしてサフィア様へと話しかけた。

「あの、お聞きしたいところがあるんですがいいですか?」
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