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肉球、それは魅惑の癒し 1
しおりを挟む誰も居ないと思って思うがまま心の内を吐き出してちょっとスッキリ!と顔を上げたら……人がいたよ☆
しかもガッツリこっち見られてます☆彡
……こんな時、どんな表情をすればいいんでしょう…。
至急、正解求む!!
だけどそんな答えを俺にくれる人など此処には居なくて。
しゃがみ込んで頭を掻き乱してた体勢のまま俺は石化した。
………。
……………。
たらりと汗が背を流れる。
数秒の気まずい沈黙の後。
「えっ、無視っ?!無視なのっ?!」
何事もなかったかのように本へと視線を戻した相手に思わず俺は詰め寄った。
詰め寄った俺に仕方なさそうに視線を上げる少年。あからさまに面倒臭そう。
そしてその横に佇む虎。
そう虎。
何故これに気づかなかった!と思わないでもないが、だって視界に入らなかったのだ。
少年と虎は幾つもある椅子には腰かけておらず(虎は椅子使うわけないけど)、奥まった書架の隅、書架にもたれかかるようにカーペットの上に直接座っていた。
なので歩いているときは視界の高さ的にも位置的にも全く死角だった。
今はしゃがみ込んでるからバッチリ視界に入ってるけどね。
そして俺は彼らを知っている。
何よりも特徴的なのは顔を覆った鮮やかな青い髪。
長い前髪が表情を覆い隠し、顔立ちはおろか瞳の色すらわからない。
いっそ前が見えてるかさえ怪しいレベル。
まぁ、本読んでるんだし見えてるんだろうけどさ。
ただ僅かに伺える小作りな輪郭や雰囲気からして顔立ちは整ってそうな気がする。肌は白く、躰付きは華奢でひ弱そうな印象を受ける。
そして傍らに佇む虎。
白銀に近い白く美しい毛並みのホワイトタイガー。
獰猛な様子はなく、酷く大人しく少年の傍で体躯を休めている。ペリドットの瞳は好奇心旺盛に輝き、随分と人懐っこい印象だ。
そんな彼らは、ゲームのキャラクターである。
通称、図書室の妖精さん。
所謂サポートキャラで、攻略に行き詰った時、略対象者の居場所を知りたい時など様々な情報をくれるお役立ちキャラ。
一応制服着てるけど常に図書室にしか居ないから幽霊説とか妖精さん説が出てた…。
そもそも何で虎居るの?とか、何で図書室から出ないのに色々知ってるのか?とか謎が尽きない。
同じモブでも文章でさらっと一、二行登場のカイザーとは違い、結構な登場頻度を誇る。
けど名前は不明。
応援ありがとうございます!
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