ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~ 

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放置して水分を抜いた後は薪として有効活用 3

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 そしてそんな疑問は廊下で偶然出会ったリリアによって解決された。

「カ、カイザー様っ?!」

 ギョっと瞳を見開き、瞳孔かっぴらいたまま俺を凝視するぼうメイド。

 何、何怖いっ!!

 ぐふぅっと何やらくぐもった声が聞こえたかと思うと、突然うずくり顔を抑えた彼女の手を伝う赤い色。

「リリアっ?!」

 思わず駆け寄ろうとするも、その前にリフに手を掴まれた。

「大丈夫です」

「いやっ、でも……っ!」

 冷静なリフの声音に言い募ろうとするも……。

「何ですかっ、カイザー様っ!!何のサービスショットですか?はっ、もしかして私へのご褒美ショット!! エッロい、水に濡れて張り付いた服もいつもは見えない鎖骨も!しかも髪!!降ろしてるしっ?! 濡れて艶やかさを増した黒髪と白い肌の対比が溜まらないっっ!!!」

『スチル!!これをスチルにして永久保存版に!!』

 鼻からタラリと赤い液体を垂れ流したまま興奮を隠しもせずに親指をグッジョブ!!と高らかに掲げる見かけだけは極上のメイドに俺は。

 ドン引いた。

 思わず一歩後ずされば、俺の姿を隠すようにリフが立ちはだかる。

「あっ、リフ様酷いっ!! 折角のカイザー様のセクシーショットが見えないじゃないですかっ!!退いて下さいっっ!!」

「……」

 リフに挑むなんてリリア、根性あるな。
 命知らずか。

 そして無言なリフの背中が超恐い。

 関わりたくない、正直むちゃくちゃ関わりたくはないのだけれど…、
 流石に鼻血を流して蹲ってる女性を放置するのもいかがなものかと俺が足を踏み出しかけたところで、廊下を一人のメイドがスカートを両手でたくし上げながら駆けてきた。

「御前をお騒がせして申し訳ありません。こちらは私が回収致しますのでどうぞお部屋へ」

 駆け寄った勢いのまま、リリアの頭に拳骨を落とした先輩メイドのエリーゼはくるりと振り返ると何事もなかったかのように優雅に礼をした。


「い、痛いっ!!」

「煩い、黙りなさい」

「エリーゼ、メイド長に報告を」

「なっ、リフ様酷いっ!!」


 悲痛なリリアの叫びを背に、俺はリフに促されるまま部屋へと向かった。

「全く、少しは自重しなさい。貴女に言っても無駄だろうけど」

「だってあんなセクシーなお姿してるカイザー様が悪くないですかっ?」

「もう少し落ち着きを覚えなさいな。いいこと?ああいう時は黙って眼に焼き付けるの。全力で網膜と記憶をフル稼働するものよ」

 そんなろくでもない会話を聞きながら……。

 ウチの使用人たち皆、キャラ濃くね?


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