全知全能(笑)のゼウス、現代日本でコンビニ出禁になる

108

文字の大きさ
3 / 10

第3話「バズるか、滅びるか。神々のTikTok動画」

しおりを挟む
 居酒屋『大聖天(ムー)』。  またしても、俺――ゼウスの絶叫が店内に響き渡った。

「なんだこの『炎上』というのは! 俺の心境か!? それともプロメテウスがまた火を盗んだのか!?」

 俺が指さす画面には、昨夜の路上漫才の動画が映っていた。

 しかし、何かがおかしい。  スサノオの悪質な加工(月光フィルター)により、俺たちの顔は「不機嫌なジャガイモ」に変えられていたのだ。

 おまけにコメント欄は、ひどい有様だった。

『このポテト、喋るのかよww』 『物干し竿振ってる方のジャガイモ、動きがキモいww』

「……ゼウス、これは屈辱だ。知恵の神と天空の覇者が、根菜扱いされている」

 オーディンが物干し竿(偽グングニル)を握りしめ、静かに怒りに震える。

「こうなったら、正攻法では勝てん。ガネーシャ! 例の『若者に流行っている動画アプリ』の設定をしろ!」

「おっ、やる気になった? じゃあこれからはTikTok(ティックトック)でバズって徳ポイントを稼いでもらうよ」

 店長のガネーシャが、ゾウの鼻で器用に三脚を立てた。


 神々のTikTok撮影:カオス編
「いい? この音楽に合わせて、可愛く踊るんだよ。はい、ミュージック、スタート!」

♪~(軽快なK-POP風のメロディ)

 俺は必死に腰を振った。  だが、動きが神話すぎて、どうしても重厚になってしまう。

「これ、踊るたびに落雷のタイミングが合わないんだが! サビで雷雨になってもいいか!?」

「演出が派手すぎるんだよ! 背景を全焼させる気か!」

 オーディンはオーディンで、物干し竿をバトンのように高速回転させていた。

「見てくれ! これが北欧式の『いいね!』だ!」

 バキッ。

 勢い余った竿が折れ、カメラを直撃した。

『すみません、よくわかりません。修理費用を検索しますか?』

 Siriが空気を読まずにツッコむ。

「黙れ尻! 今のは『不可抗力』という神の意志だ!」


 路上漫才:SNS対策編
 動画は案の定、「シュールすぎる」として別の意味でバズり始めた。  勢いに乗った俺たちは、再び渋谷の路上へ立つ。

ゼウス: 「どうもー! ハッシュタグ・全能感、ゼウスです!」

オーディン: 「エフェクトをかけすぎて、実体が見えなくなっているオーディンです。お願いしますー」

ゼウス: 「いやー、最近はインフルエンサーを目指してるんだけどさ。この前、タピオカ屋に並んだんだよ」

オーディン: 「お前みたいな雷親父が並ぶなよ。……で、どうだった?」

ゼウス: 「店員さんに『甘さはどうしますか?』って聞かれてさ。つい癖で答えちゃったんだ」

オーディン: 「なんて?」

ゼウス: 「『全宇宙を統べる蜜のような甘美な愛を』って」

オーディン: 「『微糖』って言えよ! お前の注文、カロリーが高すぎるんだよ!」

ゼウス: 「そしたら出てきたタピオカがさ、全部『スレイプニルの鼻糞(はなくそ)』みたいな色してて……」

オーディン: 「俺の愛馬を汚い例えに使うな! あれはただの黒糖パールだ!」

ゼウス: 「怖くなってさ。飲む前にストローで『神託(お告げ)』を聞こうとしたんだ」

オーディン: 「……嫌な予感しかしないな」

ゼウス: 「ストローを思いっきり吸い込んだらさ。タピオカが喉に詰まって、俺の食道に新しい宇宙(ビッグバン)が誕生しそうなんだ」

オーディン: 「救急車呼べよ! 窒息死する前に吐き出せ! もういいよ!」

二人: 「ありがとうございましたー!」

 観客からは、かつてないほどの爆笑が巻き起こった。

「今のジャガイモ、進化してね?ww」 「タピオカの例えが最悪すぎて草」

【徳ポイント:+50】

 しかし、その様子をスマホで配信していたスサノオが、忌々しそうに画面を閉じた。

「チッ……ジャガイモの分際で、少しはマシな芸をするようになったじゃねえか」

「兄上、次は私たちが『神隠しダンス』で、こいつらのフォロワーを全員奪いましょう」

 神々の笑いバトルは、ついに「フォロワー争奪戦」という、泥仕合へと発展していく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...