9 / 33
9話【ネックレスを踏む真紅のヒール ―― さよなら、私を愛した「偽物」のあなた】
しおりを挟む
理沙と共にバーを出た瞬間、心の奥にぽっかり穴が空いたような感覚だけが残った。
「彩花……大丈夫?」
「うん……でも、諦めない。 涼太さんの正体──絶対に突き止める」
理沙の温かい声に少し勇気づけられながら、私は深呼吸をした。 ここで終わらせるわけにはいかない。 むしろ──ここからが本当の始まりだ。
IT企業で働く私は、鍵アカウントでも“公開範囲外の活動”の痕跡を読み解く方法を知っている。 涼太のアカウントを再び洗い直すと、過去に江ノ島へ頻繁に行っていた形跡が浮かび上がった。
江ノ島──。
あの夕焼けの日、涼太が語った「天女と五頭龍の伝説」。 あれは本当にただのロマンチックな話だったのだろうか。
胸がざわつく。 彼は、私の最もロマンチックな幻想に合わせ、初デートの場所を綿密に設計していたのだ。 彼の優しさのすべてが、計算された嘘であることを裏付ける、動かぬデジタル証拠だった。
そして、ある日──私は決意する。
涼太の「家」へ行こう。
江ノ島の海は今日も静かで、夕日を反射して美しく輝いている。 あの日、彼と見たその景色は、今も私の心を離れない。
たとえ真実を知って、もう二度と「偽りの美しさ」に満ちた同じ景色を見られなくなるとしても──。
私は知りたい。
彼が「誰なのか」、そして──なぜ、私というターゲットに近づいたのか。
この答えは、彼のプライベートな空間、彼の「影武者」としての生活の根幹にしか存在しない。 私は、覚悟を決めて、彼の家へと向かう。 これが、ロマンスへの最後の別れになることを悟りながら。
彼の部屋には、影武者の生活の根幹、そして私とのロマンスの真の動機を解き明かす鍵が隠されているかもしれない。
期待と不安が胸を騒がせる中、私は涼太の住むマンションへと向かった。
涼太が暮らすマンションは、都心の高級住宅街の一角にあり、冷たく洗練された「箱庭」のような佇まいだった。
私たちは、理沙が事前に手配してくれた向かいの雑居ビルの屋上に車を停めた。 そこは、少し薄暗く、空き缶や鳩の羽根が散らばるほこりっぽい秘密の監視場所だった。
理沙が周りを見回しながら、わくわくと小声でつぶやく。 「この雰囲気、映画みたいだよね。 彩花、準備できた?」
私は軽くうなずき、理沙の言葉で気持ちが少しだけほぐれた。 けれども、理沙の隣で再び緊張がこみ上げ、私は双眼鏡を手に涼太の部屋に焦点を合わせた。
双眼鏡越しに見えるのは、オレンジ色の温かな光が漏れる閉ざされた空間。 しかしその光は、どこか虚ろで「誰かの設定した照明」のように冷たく見えた。
「涼太さん…」
無意識に彼の名前を呟くと、理沙が小さく私の肩を叩いた。 「彩花、大丈夫? すごく緊張してるみたいだけど…」
私は曖昧に答えた。ふと脳裏をよぎるのは、出張が多いと言っていた涼太の言葉。 もしかしたら、これまでの言葉もすべてがIT機密を奪うための嘘だったのかもしれない…。
「…あっ、彩花、見て!」
理沙の声で我に返り、再び双眼鏡を覗くと、カーテンが開き、窓際に人影が現れた。 それは、距離のために判別は難しいが、明らかに男性のシルエットだった。
私は息を詰め、さらにピントを合わせて観察した。
すると、窓辺に置かれた写真立てが目に入り、その中には男女が寄り添っているのが見える。 だが、その写真にはどこか不自然な影(監視者)が映り込んでいた。
さらに視線を落とすと、窓際のチェストの上に真っ赤なピンヒールと長い黒髪が無造作に置かれているのが見えた。
その瞬間、背筋を電流が走った。
この組み合わせは、以前、桐谷蓮のストーカー記事で見た、あの冷たい女のイメージと完全に一致していた。
その光景に息を呑み、思わず双眼鏡を落としそうになった瞬間、理沙が素早く私の手首を掴んで支えてくれた。
「彩花、何を見たの?」
私は震える声で答えた。 「…涼太さんの部屋に…女の人のものがあるみたい。 それも、私じゃない、あの黒幕と繋がる女の証拠が…」
理沙も驚いたように双眼鏡を覗き込み、すぐにその陰謀の異様さに気づいて息を呑んだ。 「本当だ…これは単なる浮気じゃない。 ヤバいよ、彩花…」
その場で二人は顔を見合わせ、互いに言葉を失った。
そして、理沙が落ち着いた声で聞いてくれた。 「彩花、これからどうする? 一旦戻る?」
私は、涼太からもらったネックレスをぎゅっと握りしめた。 その感触は、「偽りの愛」の鎖だった。
「いや、直接会って話を聞くよ。 このままじゃ、前に進めない」
その瞬間、体は不信感と、裏切られた怒りで震えていた。 もはや恐怖は消え、真実を叩きつける激情だけが残った。 「影武者」であることよりも、共犯者を家に引き入れていたという屈辱が、私の行動を決定づけたのだ。
そして、私たちは急いでビルを出て、涼太のマンションのエントランス前へと身を潜めた。
しばらく待っていると、涼太がエントランスから姿を現した。
隣には、すらりと伸びた黒髪、真紅のピンヒールを履いた女性が寄り添っている。 先ほど部屋で見た、オニヅカと繋がる共犯者だ。 彼女は涼太の腕に警戒するようにしがみつき、その瞳は彩花をターゲットとして捕らえていた。
「涼太さん!」
気づいた瞬間、私は思わず彼の名前を呼んでいた。
彼は驚愕した表情でこちらを見つめ、「影武者」としての冷静な仮面が一瞬で崩壊した。
「彩花さん…? どうしてここに?」
その言葉が聞こえた瞬間、我慢していた怒りが、裏切りの屈辱とともにこみ上げてきた。
「海外出張中じゃなかったんですか? 一緒にいるのは、まさかこの方と、私たちのロマンスを設計した共犯者ですか?」
言葉が刃のように鋭くなったのを感じたが、もう止められなかった。
一瞬、涼太の顔がこわばり、目を泳がせながら、次の指示を待つように沈黙した。
いつもは冷静な彼がこんなにも焦っている姿を見たのは初めてだったが、その態度に私は全てを悟った。
「…涼太さん、どうして…」
震える声で問いかけると、彼は黙り込み、目を伏せたままだった。 彼は「涼太」として私に話すことも、「影武者」として状況をコントロールすることも、できなくなっていた。
一瞬、涼太の指先が、わずかに私の方へ動いたように見えた。しかし、横に立つ共犯者が、涼太の腕に力を込めてそれを静かに制止した。
「私、信じてたのに…。 私のIT機密を盗むためだけに、こんな酷い嘘を演じきったんですね!」
止められない涙がこぼれ落ち、視界がぼやけた。
涼太は顔を上げないまま、わずかに声を絞り出すように言った。
「…ごめん」
その言葉は、任務失敗の報告のように冷たく、私の心に深く突き刺さった。
私は、首から涼太からもらったネックレスを引きちぎり、偽りの愛の鎖として、彼に向かって勢いよく投げつけた。
ネックレスは、二人の足元で乾いた音を立てて転がった。
涼太は、それを拾い上げることも、目を向けることもしなかった。 代わりに、隣にいた共犯者の女が、涼太の腕から離れ、真紅のピンヒールで無造作にそのネックレスを踏みつけた。
「あら、ゴミよ。そんな安っぽい演技に引っかかったあなたが滑稽だわ」
彼女は嘲るように鼻で笑った。
「涼太は、あなたなんかのために、余計な感情を持っちゃいけないの」
女は涼太の顎を指先で持ち上げ、まるで壊れた機械の動作チェックでもするかのように冷たい目を向けた。 「ねえ涼太、今の『ごめん』は、どのプログラムから出力された言葉? 次に同じバグを起こしたら、あなたの『核(コア)』を消去しなきゃいけなくなるわよ」
涼太は、ただの操り人形のように、生気のない瞳で私を……いや、私の背後にある闇を見つめていた。
「もう、いいです。 すべて分かりました。 あなたは、あのとき電話をかけてきたオニヅカと繋がっていたんですね? 影武者だとか、桐谷蓮だとか、もう何も信じられません!」
こみ上げる怒りと悲しみで涙があふれそうになり、必死にそれをこらえた。 私が怒りで震える中、理沙がそっと肩に手を置いてくれた。
「彩花、行こう」
その一言で我に返り、理沙に促されるまま、踵を返した。 私のロマンスは、たった今、この場で焼却された。
【第9話:あとがき】
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
「さよなら、私を愛した『偽物』のあなた」 ちぎり捨てられたネックレスと、真紅のヒールに踏みにじられた思い出。第9話は、彩花が「愛した記憶」という甘い毒を振り払い、真実と対峙する覚悟を決める、痛切な決別の物語となりました。
理沙の支えを受けて訪れた探偵事務所。そこで突きつけられたのは、涼太が海外などには行っておらず、すぐそばのホテルから自分を監視し続けていたという、戦慄の「偽りのアリバイ」でした。
さらに、探偵の表情を一変させた「父のフォトフレーム」。 この小さな遺品が、涼太という駒を動かす巨大な『キング』の存在、そして彩花の家族に隠された禁断の過去へと繋がっていきます。
「彼は、ずっと私を『観て』いた……」
愛した人の温もりが、組織的な観察データに過ぎなかったとしたら。彩花が辿り着く真実の先には、光があるのか、それともさらなる絶望があるのか――。
次回、第10話『存在しない出国記録 ―― 偽りのアリバイと『キング』の影』。 偽名で潜伏し、彩花の隣で息を潜めていた涼太の「真の目的」が、ついに白日の下にさらされます!
物語の裏側に潜む『キング』の正体が気になる!彩花に負けないでほしい!という方は、 ぜひ【お気に入り登録】と【応援ポイント】をお願いいたします! 皆様の一票が、幾重にも重なる「偽りのアリバイ」を暴く力になります!
「彩花……大丈夫?」
「うん……でも、諦めない。 涼太さんの正体──絶対に突き止める」
理沙の温かい声に少し勇気づけられながら、私は深呼吸をした。 ここで終わらせるわけにはいかない。 むしろ──ここからが本当の始まりだ。
IT企業で働く私は、鍵アカウントでも“公開範囲外の活動”の痕跡を読み解く方法を知っている。 涼太のアカウントを再び洗い直すと、過去に江ノ島へ頻繁に行っていた形跡が浮かび上がった。
江ノ島──。
あの夕焼けの日、涼太が語った「天女と五頭龍の伝説」。 あれは本当にただのロマンチックな話だったのだろうか。
胸がざわつく。 彼は、私の最もロマンチックな幻想に合わせ、初デートの場所を綿密に設計していたのだ。 彼の優しさのすべてが、計算された嘘であることを裏付ける、動かぬデジタル証拠だった。
そして、ある日──私は決意する。
涼太の「家」へ行こう。
江ノ島の海は今日も静かで、夕日を反射して美しく輝いている。 あの日、彼と見たその景色は、今も私の心を離れない。
たとえ真実を知って、もう二度と「偽りの美しさ」に満ちた同じ景色を見られなくなるとしても──。
私は知りたい。
彼が「誰なのか」、そして──なぜ、私というターゲットに近づいたのか。
この答えは、彼のプライベートな空間、彼の「影武者」としての生活の根幹にしか存在しない。 私は、覚悟を決めて、彼の家へと向かう。 これが、ロマンスへの最後の別れになることを悟りながら。
彼の部屋には、影武者の生活の根幹、そして私とのロマンスの真の動機を解き明かす鍵が隠されているかもしれない。
期待と不安が胸を騒がせる中、私は涼太の住むマンションへと向かった。
涼太が暮らすマンションは、都心の高級住宅街の一角にあり、冷たく洗練された「箱庭」のような佇まいだった。
私たちは、理沙が事前に手配してくれた向かいの雑居ビルの屋上に車を停めた。 そこは、少し薄暗く、空き缶や鳩の羽根が散らばるほこりっぽい秘密の監視場所だった。
理沙が周りを見回しながら、わくわくと小声でつぶやく。 「この雰囲気、映画みたいだよね。 彩花、準備できた?」
私は軽くうなずき、理沙の言葉で気持ちが少しだけほぐれた。 けれども、理沙の隣で再び緊張がこみ上げ、私は双眼鏡を手に涼太の部屋に焦点を合わせた。
双眼鏡越しに見えるのは、オレンジ色の温かな光が漏れる閉ざされた空間。 しかしその光は、どこか虚ろで「誰かの設定した照明」のように冷たく見えた。
「涼太さん…」
無意識に彼の名前を呟くと、理沙が小さく私の肩を叩いた。 「彩花、大丈夫? すごく緊張してるみたいだけど…」
私は曖昧に答えた。ふと脳裏をよぎるのは、出張が多いと言っていた涼太の言葉。 もしかしたら、これまでの言葉もすべてがIT機密を奪うための嘘だったのかもしれない…。
「…あっ、彩花、見て!」
理沙の声で我に返り、再び双眼鏡を覗くと、カーテンが開き、窓際に人影が現れた。 それは、距離のために判別は難しいが、明らかに男性のシルエットだった。
私は息を詰め、さらにピントを合わせて観察した。
すると、窓辺に置かれた写真立てが目に入り、その中には男女が寄り添っているのが見える。 だが、その写真にはどこか不自然な影(監視者)が映り込んでいた。
さらに視線を落とすと、窓際のチェストの上に真っ赤なピンヒールと長い黒髪が無造作に置かれているのが見えた。
その瞬間、背筋を電流が走った。
この組み合わせは、以前、桐谷蓮のストーカー記事で見た、あの冷たい女のイメージと完全に一致していた。
その光景に息を呑み、思わず双眼鏡を落としそうになった瞬間、理沙が素早く私の手首を掴んで支えてくれた。
「彩花、何を見たの?」
私は震える声で答えた。 「…涼太さんの部屋に…女の人のものがあるみたい。 それも、私じゃない、あの黒幕と繋がる女の証拠が…」
理沙も驚いたように双眼鏡を覗き込み、すぐにその陰謀の異様さに気づいて息を呑んだ。 「本当だ…これは単なる浮気じゃない。 ヤバいよ、彩花…」
その場で二人は顔を見合わせ、互いに言葉を失った。
そして、理沙が落ち着いた声で聞いてくれた。 「彩花、これからどうする? 一旦戻る?」
私は、涼太からもらったネックレスをぎゅっと握りしめた。 その感触は、「偽りの愛」の鎖だった。
「いや、直接会って話を聞くよ。 このままじゃ、前に進めない」
その瞬間、体は不信感と、裏切られた怒りで震えていた。 もはや恐怖は消え、真実を叩きつける激情だけが残った。 「影武者」であることよりも、共犯者を家に引き入れていたという屈辱が、私の行動を決定づけたのだ。
そして、私たちは急いでビルを出て、涼太のマンションのエントランス前へと身を潜めた。
しばらく待っていると、涼太がエントランスから姿を現した。
隣には、すらりと伸びた黒髪、真紅のピンヒールを履いた女性が寄り添っている。 先ほど部屋で見た、オニヅカと繋がる共犯者だ。 彼女は涼太の腕に警戒するようにしがみつき、その瞳は彩花をターゲットとして捕らえていた。
「涼太さん!」
気づいた瞬間、私は思わず彼の名前を呼んでいた。
彼は驚愕した表情でこちらを見つめ、「影武者」としての冷静な仮面が一瞬で崩壊した。
「彩花さん…? どうしてここに?」
その言葉が聞こえた瞬間、我慢していた怒りが、裏切りの屈辱とともにこみ上げてきた。
「海外出張中じゃなかったんですか? 一緒にいるのは、まさかこの方と、私たちのロマンスを設計した共犯者ですか?」
言葉が刃のように鋭くなったのを感じたが、もう止められなかった。
一瞬、涼太の顔がこわばり、目を泳がせながら、次の指示を待つように沈黙した。
いつもは冷静な彼がこんなにも焦っている姿を見たのは初めてだったが、その態度に私は全てを悟った。
「…涼太さん、どうして…」
震える声で問いかけると、彼は黙り込み、目を伏せたままだった。 彼は「涼太」として私に話すことも、「影武者」として状況をコントロールすることも、できなくなっていた。
一瞬、涼太の指先が、わずかに私の方へ動いたように見えた。しかし、横に立つ共犯者が、涼太の腕に力を込めてそれを静かに制止した。
「私、信じてたのに…。 私のIT機密を盗むためだけに、こんな酷い嘘を演じきったんですね!」
止められない涙がこぼれ落ち、視界がぼやけた。
涼太は顔を上げないまま、わずかに声を絞り出すように言った。
「…ごめん」
その言葉は、任務失敗の報告のように冷たく、私の心に深く突き刺さった。
私は、首から涼太からもらったネックレスを引きちぎり、偽りの愛の鎖として、彼に向かって勢いよく投げつけた。
ネックレスは、二人の足元で乾いた音を立てて転がった。
涼太は、それを拾い上げることも、目を向けることもしなかった。 代わりに、隣にいた共犯者の女が、涼太の腕から離れ、真紅のピンヒールで無造作にそのネックレスを踏みつけた。
「あら、ゴミよ。そんな安っぽい演技に引っかかったあなたが滑稽だわ」
彼女は嘲るように鼻で笑った。
「涼太は、あなたなんかのために、余計な感情を持っちゃいけないの」
女は涼太の顎を指先で持ち上げ、まるで壊れた機械の動作チェックでもするかのように冷たい目を向けた。 「ねえ涼太、今の『ごめん』は、どのプログラムから出力された言葉? 次に同じバグを起こしたら、あなたの『核(コア)』を消去しなきゃいけなくなるわよ」
涼太は、ただの操り人形のように、生気のない瞳で私を……いや、私の背後にある闇を見つめていた。
「もう、いいです。 すべて分かりました。 あなたは、あのとき電話をかけてきたオニヅカと繋がっていたんですね? 影武者だとか、桐谷蓮だとか、もう何も信じられません!」
こみ上げる怒りと悲しみで涙があふれそうになり、必死にそれをこらえた。 私が怒りで震える中、理沙がそっと肩に手を置いてくれた。
「彩花、行こう」
その一言で我に返り、理沙に促されるまま、踵を返した。 私のロマンスは、たった今、この場で焼却された。
【第9話:あとがき】
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
「さよなら、私を愛した『偽物』のあなた」 ちぎり捨てられたネックレスと、真紅のヒールに踏みにじられた思い出。第9話は、彩花が「愛した記憶」という甘い毒を振り払い、真実と対峙する覚悟を決める、痛切な決別の物語となりました。
理沙の支えを受けて訪れた探偵事務所。そこで突きつけられたのは、涼太が海外などには行っておらず、すぐそばのホテルから自分を監視し続けていたという、戦慄の「偽りのアリバイ」でした。
さらに、探偵の表情を一変させた「父のフォトフレーム」。 この小さな遺品が、涼太という駒を動かす巨大な『キング』の存在、そして彩花の家族に隠された禁断の過去へと繋がっていきます。
「彼は、ずっと私を『観て』いた……」
愛した人の温もりが、組織的な観察データに過ぎなかったとしたら。彩花が辿り着く真実の先には、光があるのか、それともさらなる絶望があるのか――。
次回、第10話『存在しない出国記録 ―― 偽りのアリバイと『キング』の影』。 偽名で潜伏し、彩花の隣で息を潜めていた涼太の「真の目的」が、ついに白日の下にさらされます!
物語の裏側に潜む『キング』の正体が気になる!彩花に負けないでほしい!という方は、 ぜひ【お気に入り登録】と【応援ポイント】をお願いいたします! 皆様の一票が、幾重にも重なる「偽りのアリバイ」を暴く力になります!
1
あなたにおすすめの小説
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
離婚した彼女は死ぬことにした
はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる