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12話【涙の決別と嘲笑う共犯者 ―― 偽りのロマンスは復讐へと変わる】
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探偵事務所を出た瞬間、胸の奥に溜まっていたものが一気に決壊した。 車に乗り込むと、涙が次から次へとこぼれ落ち、ワイパーのように拭っても追いつかない。
理沙の家に着く頃には、目元はすっかり腫れていた。 玄関には、すでに理沙が立っていて、私の顔を見るなり眉を寄せた。
「彩花、顔色ヤバいよ。 何があったの?」
彼女は一歩寄り、ためらいもなく私を抱きしめる。 その体温に触れた瞬間、凍りついていた心が溶け出し、張りつめていた理性が砕けた。 ここは、真実の冷たさから守られた、唯一の安全な場所だった。
「涼太さんが……涼太さんが……」
うまく言葉にならない私を、理沙は黙って抱きとめた。 背中を優しくさすりながら、急かすことなく、ただ傍にいてくれる。
「大丈夫。 話したくなった時でいいよ。 私はこの場で、全部受け止めるから」
その言葉に支えられ、震える声で、私は最も恐ろしい真実を告げた。
「涼太さん……本当は、プロの詐欺師だったの。 私のこと……一億円のために騙してたんだよ……」
理沙の表情が一瞬驚きに揺らぐ。 でもすぐに、ぎゅっと強く抱きしめ直してくれた。
「彩花。 そんな命がけの嘘をついた卑劣な男のために泣かなくていい。 悪いのはあっちでしょ。 彼が演じた役が素晴らしすぎただけ。 騙された彩花は、何一つ悪くないじゃん」
その言葉が、胸の奥まで静かに染み込んでいく。
「でも……私……まだ涼太さんが好きなの……あの人の孤独を救いたいって思っちゃう……」
自分でも情けなくなるほどの非合理的な弱さを、私は正直にこぼした。
理沙は一瞬きょとんとした後、ふっと優しく笑って私の手を握った。
「え、マジで? ……まあ、わかるけどね、その気持ち。 だって彩花、あの時の愛は本物だったもん。 時間って意外とすごいよ? 今は辛くても、無理に忘れようとしなくていいし。 泣きたいだけ泣きなよ。 だって人生最高のロマンスに裏切られたんだもん。 そりゃあ泣くでしょ」
理沙の言葉は、魔法のように私の心をほぐしていった。 私は彼女に、すべてを吐き出すように話し続けた。 理沙は黙ってうなずき、時には慰め、時には一緒に涙を流してくれた。
「彩花、大丈夫。 あたし、ずっと味方だよ。 一緒に乗り越えよう? ほら、まずはさ、戦うためのエネルギーをつけなきゃ。 美味しいもん食べに行こ。 絶対、少しは気持ちが軽くなるから!」
その明るさと優しさに、胸がじんと熱くなる。 理沙というかけがえのない「現実への錨(いかり)」がいてくれることが、心の底からありがたかった。
そして私は、静かに決意した。
──プロの詐欺師である立花翔の正体を暴き、彼に奪われた私の人生の主導権を取り戻す。 そのために、まずは私自身が、感情論を乗り越え強くならなければならない。
家に戻ると、私は涼太との思い出の品を一つずつ段ボールに詰めていった。 ペアで買ったマグ。 一緒に選んだ村上春樹の本。 初めて見に行った映画のチケット。
手に触れるたび、胸の奥に温かくて苦い記憶が蘇り、また涙が落ちた。
「どうして、こんなふうになっちゃったんだろう……」
けれど同時に、私ははっきりと理解していた。 もう彼が演じたペルソナ(偽りの愛)に、二度と騙されてはいけない、と。
翌日、私は引っ越し業者に電話を入れ、新しい部屋へ荷造りを始めた。 日当たりの良い部屋。 窓の外には都会のざわめきが広がり、その雑音が不思議と心を戦闘モードに落ち着かせてくれる。
思い出の品を詰めた段ボールを理沙と二人で運び出し、トラックに積み込む。最後に理沙が「これで過去は置いていけるね」と静かに言った。私は無言でうなずき、その荷物から、もう二度と目をそらさなかった。
ここで、私はもう一度人生をやり直す。 被害者としてではなく、戦う者として。
段ボールの山を見つめ、私はひとり呟いた。
「……さようなら。偽りの愛という名の、冷酷な作戦」
彩花が去ったマンションから離れた場所。僕は人目を避け、隠れるようにして見張っていたカフェの窓越しに、彼女の小さく震える背中を見た。
彼女の肩は規則的に揺れている。見なくても分かった。
「泣いているのか……」
僕の仕掛けた嘘という名のナイフで、彼女は今も深く傷ついている。 駆け寄ってその肩を抱き寄せたい衝動を、プロとしての冷徹な本能が抑え込んだ。
僕は感傷を振り切るように、カフェの窓ガラスの反射を利用して、通りに不自然な動きがないか目を走らせた。 組織(オニヅカ)の「掃除屋」どもが、僕の失態を嗅ぎまわっていないか。あるいは、彩花さんを新たな『標的』として別の猟犬が放たれてはいないか。 視線を鋭くし、死角に停まった不審な車両や、スマホをいじりながら足を止める通行人を一人ずつ検分していく。
「……ちくしょう、またかよ」
周囲に監視の目がいないことを確認し、僕はようやく短く息を吐いた。 今の僕にできるのは、彼女を抱きしめることじゃない。組織の牙が彼女に届かないよう、影の中で盾になることだけだ。
自分の手で愛する人を追い詰めている現実が、胸に突き刺さった。
僕が仕掛けた「愛の罠」のせいで。
何度も傷つけ、裏切り、それでもまだ彼女に想われている自分が許せなかった。 彼女を失いたくないという気持ちは本物だ。 愛しているのも、最初で最後の真実だ。 だけど――その“本当”を口にする資格すら、プロの詐欺師である今の僕にはない。
彼女の涙が、僕が背負ってきた嘘をひとつ残らず照らし出す。 逃げてきた過去も、誤魔化してきた弱さも、すべて。
これ以上、彼女の人生を濁らせるわけにはいかない。 彼女はもっと澄んだ場所で、僕という影から解放され、もっとまっすぐに幸せになるべきだ。
だから僕は、まるで咲き誇る花に手を伸ばしかけて引っ込めるように、静かに距離を置くしかなかった。
「……さようなら、彩花さん」
誰にも聞こえない声で呟き、踵を返す。 背を向けた瞬間、胸の奥が切り裂かれるように痛んだ。
嘘で固めたこの人生を、このまま終わらせなきゃいけないのだろうか。 僕が変わらなければ、誰も救えない。少なくとも――彼女だけは、もう二度と巻き込みたくない。
彼女の笑顔を守れるのなら、僕の孤独なんて安いものだ。
――どうせ僕は、施設で拾われた時から、誰かの代わりを演じるしか能がない人間だ。こんな汚れた人生、彼女の隣にはふさわしくない。
「僕の孤独は……君の未来(笑顔)のためにあるのかな」
自嘲にも祈りにも似た声が零れた。
もう戻らないと決めた背中を、揺れる夕陽が静かに押した。 彼女の未来が、僕という影から完全に解放されるようにと願いながら。
それから数日後、私は引っ越しを終え、新しい部屋で新たな生活を始めた。 日当たりの良い窓辺には小さな花瓶を置き、季節の花を飾ることにした。色とりどりの花が、戦う決意を秘めた私の心に、少しずつ明るさを取り戻してくれる。
涼太との辛い記憶が薄れていくのを感じながら、私は過去の被害者としてではなく、未来の主導権を取り戻すために前を向いて歩き始めた。
ある日、気分転換に少し離れた場所にあるカフェへ足を向けたとき、予想外の光景が目に飛び込んできた。
涼太――いや、立花翔だ。 彼は、あの共犯者・藤崎エリカと楽しそうに談笑していた。二人は、まるで偽りの愛のシナリオを継続しているかのように親密に見えた。
私は、彼らに気づかれないように、感情に蓋をしながら、二人の様子を観察した。 エリカの笑顔は自信に満ち、涼太の視線は彼女に完全に向けられていた。私と見た未来は、すべて彼女のために設計されたものだった。
その瞬間、涙が自然にこぼれたが、それは悲しみではなく、裏切られた屈辱と、計画の周到さへの憎しみだった。
いや、違う。エリカは、私がここにいることを最初から知っていたのだ。彼女は翔の腕にわざとらしく指を絡めながら、周囲の客に紛れている私を、あざ笑うように探し出した。 彼女にとってこの再会は「偶然」などではない。新生活を始めたばかりの私に、決定的な絶望を叩きつけるための「演出」だったのだ。
そして、エリカはふと視線を上げ、こちらを向いた。視線が合った、その一瞬。彼女の口元がわずかに吊り上がり、勝利を確信したかのような、冷たい嘲笑が浮かんだ。
「もう、彼を振り返ることはない。ターゲットは、あの女(エリカ)」
そう自分に言い聞かせ、私は静かに席を立った。
【第12話:あとがき】
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
「記憶を失くした、悲劇的な探求者」 探偵・風見によって明かされたのは、立花翔という男のあまりにも数奇な正体でした。彼は彩花を騙す詐欺師であると同時に、自分自身の「失われた核」を探し求める迷い子でもあったのです。
そして、写真の中に残されていた「愛のサイン」。 それが涼太と彩花の間に交わされた唯一無二の合図と同じだったという事実は、二人の出会いが単なるターゲット選定ではなく、失われた記憶が呼び寄せた「宿命」であったことを物語っています。
しかし、その絆の裏には、父の死を利用したという残酷な裏切りが横たわっています。 父の研究、一億円の保険金、そして桐谷蓮の失踪……。すべての点がつながったとき、彩花が選ぶのは、彼への復讐か、それとも闇からの救済か。
次回、第13話『愛の合図(サイン)と父の影 ―― 記憶を失くした影武者の真実』。 父の遺した極秘計画の全貌、そして記憶の断片を抱えた翔との「本当の対峙」が始まります!
運命の皮肉に胸が締め付けられる!お父さんの秘密が気になりすぎる!と思った方は、 ぜひ【お気に入り登録】と【応援ポイント】をお願いいたします! 皆様の応援が、複雑に絡まった運命の糸を解き明かす光となります!
理沙の家に着く頃には、目元はすっかり腫れていた。 玄関には、すでに理沙が立っていて、私の顔を見るなり眉を寄せた。
「彩花、顔色ヤバいよ。 何があったの?」
彼女は一歩寄り、ためらいもなく私を抱きしめる。 その体温に触れた瞬間、凍りついていた心が溶け出し、張りつめていた理性が砕けた。 ここは、真実の冷たさから守られた、唯一の安全な場所だった。
「涼太さんが……涼太さんが……」
うまく言葉にならない私を、理沙は黙って抱きとめた。 背中を優しくさすりながら、急かすことなく、ただ傍にいてくれる。
「大丈夫。 話したくなった時でいいよ。 私はこの場で、全部受け止めるから」
その言葉に支えられ、震える声で、私は最も恐ろしい真実を告げた。
「涼太さん……本当は、プロの詐欺師だったの。 私のこと……一億円のために騙してたんだよ……」
理沙の表情が一瞬驚きに揺らぐ。 でもすぐに、ぎゅっと強く抱きしめ直してくれた。
「彩花。 そんな命がけの嘘をついた卑劣な男のために泣かなくていい。 悪いのはあっちでしょ。 彼が演じた役が素晴らしすぎただけ。 騙された彩花は、何一つ悪くないじゃん」
その言葉が、胸の奥まで静かに染み込んでいく。
「でも……私……まだ涼太さんが好きなの……あの人の孤独を救いたいって思っちゃう……」
自分でも情けなくなるほどの非合理的な弱さを、私は正直にこぼした。
理沙は一瞬きょとんとした後、ふっと優しく笑って私の手を握った。
「え、マジで? ……まあ、わかるけどね、その気持ち。 だって彩花、あの時の愛は本物だったもん。 時間って意外とすごいよ? 今は辛くても、無理に忘れようとしなくていいし。 泣きたいだけ泣きなよ。 だって人生最高のロマンスに裏切られたんだもん。 そりゃあ泣くでしょ」
理沙の言葉は、魔法のように私の心をほぐしていった。 私は彼女に、すべてを吐き出すように話し続けた。 理沙は黙ってうなずき、時には慰め、時には一緒に涙を流してくれた。
「彩花、大丈夫。 あたし、ずっと味方だよ。 一緒に乗り越えよう? ほら、まずはさ、戦うためのエネルギーをつけなきゃ。 美味しいもん食べに行こ。 絶対、少しは気持ちが軽くなるから!」
その明るさと優しさに、胸がじんと熱くなる。 理沙というかけがえのない「現実への錨(いかり)」がいてくれることが、心の底からありがたかった。
そして私は、静かに決意した。
──プロの詐欺師である立花翔の正体を暴き、彼に奪われた私の人生の主導権を取り戻す。 そのために、まずは私自身が、感情論を乗り越え強くならなければならない。
家に戻ると、私は涼太との思い出の品を一つずつ段ボールに詰めていった。 ペアで買ったマグ。 一緒に選んだ村上春樹の本。 初めて見に行った映画のチケット。
手に触れるたび、胸の奥に温かくて苦い記憶が蘇り、また涙が落ちた。
「どうして、こんなふうになっちゃったんだろう……」
けれど同時に、私ははっきりと理解していた。 もう彼が演じたペルソナ(偽りの愛)に、二度と騙されてはいけない、と。
翌日、私は引っ越し業者に電話を入れ、新しい部屋へ荷造りを始めた。 日当たりの良い部屋。 窓の外には都会のざわめきが広がり、その雑音が不思議と心を戦闘モードに落ち着かせてくれる。
思い出の品を詰めた段ボールを理沙と二人で運び出し、トラックに積み込む。最後に理沙が「これで過去は置いていけるね」と静かに言った。私は無言でうなずき、その荷物から、もう二度と目をそらさなかった。
ここで、私はもう一度人生をやり直す。 被害者としてではなく、戦う者として。
段ボールの山を見つめ、私はひとり呟いた。
「……さようなら。偽りの愛という名の、冷酷な作戦」
彩花が去ったマンションから離れた場所。僕は人目を避け、隠れるようにして見張っていたカフェの窓越しに、彼女の小さく震える背中を見た。
彼女の肩は規則的に揺れている。見なくても分かった。
「泣いているのか……」
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僕は感傷を振り切るように、カフェの窓ガラスの反射を利用して、通りに不自然な動きがないか目を走らせた。 組織(オニヅカ)の「掃除屋」どもが、僕の失態を嗅ぎまわっていないか。あるいは、彩花さんを新たな『標的』として別の猟犬が放たれてはいないか。 視線を鋭くし、死角に停まった不審な車両や、スマホをいじりながら足を止める通行人を一人ずつ検分していく。
「……ちくしょう、またかよ」
周囲に監視の目がいないことを確認し、僕はようやく短く息を吐いた。 今の僕にできるのは、彼女を抱きしめることじゃない。組織の牙が彼女に届かないよう、影の中で盾になることだけだ。
自分の手で愛する人を追い詰めている現実が、胸に突き刺さった。
僕が仕掛けた「愛の罠」のせいで。
何度も傷つけ、裏切り、それでもまだ彼女に想われている自分が許せなかった。 彼女を失いたくないという気持ちは本物だ。 愛しているのも、最初で最後の真実だ。 だけど――その“本当”を口にする資格すら、プロの詐欺師である今の僕にはない。
彼女の涙が、僕が背負ってきた嘘をひとつ残らず照らし出す。 逃げてきた過去も、誤魔化してきた弱さも、すべて。
これ以上、彼女の人生を濁らせるわけにはいかない。 彼女はもっと澄んだ場所で、僕という影から解放され、もっとまっすぐに幸せになるべきだ。
だから僕は、まるで咲き誇る花に手を伸ばしかけて引っ込めるように、静かに距離を置くしかなかった。
「……さようなら、彩花さん」
誰にも聞こえない声で呟き、踵を返す。 背を向けた瞬間、胸の奥が切り裂かれるように痛んだ。
嘘で固めたこの人生を、このまま終わらせなきゃいけないのだろうか。 僕が変わらなければ、誰も救えない。少なくとも――彼女だけは、もう二度と巻き込みたくない。
彼女の笑顔を守れるのなら、僕の孤独なんて安いものだ。
――どうせ僕は、施設で拾われた時から、誰かの代わりを演じるしか能がない人間だ。こんな汚れた人生、彼女の隣にはふさわしくない。
「僕の孤独は……君の未来(笑顔)のためにあるのかな」
自嘲にも祈りにも似た声が零れた。
もう戻らないと決めた背中を、揺れる夕陽が静かに押した。 彼女の未来が、僕という影から完全に解放されるようにと願いながら。
それから数日後、私は引っ越しを終え、新しい部屋で新たな生活を始めた。 日当たりの良い窓辺には小さな花瓶を置き、季節の花を飾ることにした。色とりどりの花が、戦う決意を秘めた私の心に、少しずつ明るさを取り戻してくれる。
涼太との辛い記憶が薄れていくのを感じながら、私は過去の被害者としてではなく、未来の主導権を取り戻すために前を向いて歩き始めた。
ある日、気分転換に少し離れた場所にあるカフェへ足を向けたとき、予想外の光景が目に飛び込んできた。
涼太――いや、立花翔だ。 彼は、あの共犯者・藤崎エリカと楽しそうに談笑していた。二人は、まるで偽りの愛のシナリオを継続しているかのように親密に見えた。
私は、彼らに気づかれないように、感情に蓋をしながら、二人の様子を観察した。 エリカの笑顔は自信に満ち、涼太の視線は彼女に完全に向けられていた。私と見た未来は、すべて彼女のために設計されたものだった。
その瞬間、涙が自然にこぼれたが、それは悲しみではなく、裏切られた屈辱と、計画の周到さへの憎しみだった。
いや、違う。エリカは、私がここにいることを最初から知っていたのだ。彼女は翔の腕にわざとらしく指を絡めながら、周囲の客に紛れている私を、あざ笑うように探し出した。 彼女にとってこの再会は「偶然」などではない。新生活を始めたばかりの私に、決定的な絶望を叩きつけるための「演出」だったのだ。
そして、エリカはふと視線を上げ、こちらを向いた。視線が合った、その一瞬。彼女の口元がわずかに吊り上がり、勝利を確信したかのような、冷たい嘲笑が浮かんだ。
「もう、彼を振り返ることはない。ターゲットは、あの女(エリカ)」
そう自分に言い聞かせ、私は静かに席を立った。
【第12話:あとがき】
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
「記憶を失くした、悲劇的な探求者」 探偵・風見によって明かされたのは、立花翔という男のあまりにも数奇な正体でした。彼は彩花を騙す詐欺師であると同時に、自分自身の「失われた核」を探し求める迷い子でもあったのです。
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しかし、その絆の裏には、父の死を利用したという残酷な裏切りが横たわっています。 父の研究、一億円の保険金、そして桐谷蓮の失踪……。すべての点がつながったとき、彩花が選ぶのは、彼への復讐か、それとも闇からの救済か。
次回、第13話『愛の合図(サイン)と父の影 ―― 記憶を失くした影武者の真実』。 父の遺した極秘計画の全貌、そして記憶の断片を抱えた翔との「本当の対峙」が始まります!
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