5 / 24
第二話 自爆キャノン 1/4
しおりを挟む俺は焦った、もう二十年の人生の中で一番焦った。というより完全にパニック。
一体誰なんだ?!俺が勝手に金を造ったのがバレたのか?
バレたにしてもなんでバレたんだ?
いやバレる筈がない!
正か、あの外国人か?それともその仲間か何かか?!
くっ!まだ玄関のドアを叩いてやがる。
宗教の勧誘?NHK?
いや、奴等はあんなにしつこく叩かねぇ!
俺は震える手で大量の五百円玉硬貨、一万円札等をスポーツバッグへ放り込む。
動揺で手が震え、金をバッグの回りに落としては拾い、落としては拾いを繰り返し、何とか全てを入れ終えた。
ブンッと頭を振り玄関を見た。
一応ドアノックパンチは止んだようだ。
どうする?!居留守を決め込むか?!
幸いこのアパート、家賃は安いが、カメラ付きのインターホン装備だ。
とりあえず、ドアの向こうが何者かだけでも見ておくか?
俺は正におそるおそる、インターホンの受話器のある柱に向かう。
この狭い部屋を、こんなに広く感じたことはない。
モニターを見た。
「何だよ!!はぁーーー……」
俺は安堵のあまり、その場でへたり込んだ。
小さなモニターに写っていたのは、バイト先の友人、村田 将(むらた まさる)と虎南 歳三(こなん としぞう)の超ガリと超マッチョの二人組であった。
一息つくと、もう玄関までは狭い安アパートに戻っていた。
ガチャッ。
汗を拭い、鍵を空けてやる。
赤いジャンパーの銀髪イケメンと目が合う。
村田将(まさる)、略してムラマサである。
「おい!おせーぞ!寒いんだから早く空けろよな!
なっ?居ただろヤッパリ」
後ろの黒い革ジャンの筋肉塊に振り返る。
「ウム、だが昼間とはいえ、あのノックは近所迷惑だぞ、ムラマサ……」
腕を組み、前に立つチャラチャラした村田をたしなめる。
「でもこいつ、スマホ電源オフってるし、仕方ねーだろ?」
細長い指で、室内の俺を指差す銀髪。
う~む、とりあえず今は、この左手の能力は誰にも秘密だ。
コイツらも含め、ハッキリ言って見せびらかしたい気持ちはある。
だが、人に知られるのは避けなければならない。
まぁこれだけの力だ、必ずや俺の手を調べ、利用したがるやつも現れるだろう。
こりゃ国家レベルで狙いに来るぜ!!
う~、もう二度と手首をもがれるなんて体験は御免だ。
はっ!もしかすると、命すら危ないかも知れない!
俺は左拳を握りしめた。
し、しかし、いつもつるんでるコイツらに門前払いは逆に不自然、か……。
仕方ない。
茶でも飲ませて、早目に帰すか。
「まぁ入れ」
俺は一応、虎南の分厚い体の後ろをひょいと覗き、チェーンロックを解除、キッチンへ向かった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
10
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる