dreadnought/ドレッドノート 神と悪魔の手

有角 弾正

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第二話 自爆キャノン 2/4

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 上着を脱ぎ、俺の向かいに並んで、ソファに腰を下ろす二人。


 「何だよお前ら、いきなりどーした?昼間っから来やがってよー。
今、インスタントコーヒー位しかないぞ?」テーブルに向かう。


  俺は目ん玉が飛び出すかと思った。


       ヤバイ!!


 今のところ、ティッシュ箱の陰になって、コイツらには見えていないが、金を隠す事ばかりに気をとられ、ヤツを片付けていなかったのだ。


 12月の冬場に水槽もなく、一人暮らしの男の部屋、そのテーブルの上に青蛙!!!!

    ヤバイ!異常すぎる!!


 絶対にあれこれとつっこまれ、そのうち俺の左手の事がばれるじゃねーか!

 と、特に、ムラマサが不味い!


 こいつはチャラ男の代表みたいな軽い奴だが、残念ながら、バカじゃない!

 時々、鋭い視点で、物事の正体を射抜く事がある。


 コラ、カエル!
お前もお前で、あんなに慌ただしい土壇場になってた、そのテーブルの上で、のんきにうずくまってんじゃねーよ!

 正にカエルの面にアレかよ?!
ってうるせーよ!!


 あの、自分ここに居て大丈夫すか?とか言えねーのか?!
言えねーか……。くっそー!


 虎南は良い。
見た目も中身も、岩みたいなヤツだ。
スポーツバッグの金を見せないようにすれば、何とでもなるだろう。


 くっ!ムラマサ、ニヤニヤしてんじゃねー!
やたら不安になるだろうが!


 俺は胸の動揺を押さえ込み、二人の前にコーヒーカップを置いてやる。


 ムラマサはイヤな笑みで、細くカットされた片眉を上げ
「いやいや河村、どーしたもこーしたもねーよ。
お前が急にシフトに穴空けたせいでさ、今日休みだった俺が出勤になっちまったじゃねーか。

 しかも腋テロ長(ワキガテロリズム店長)が言うには、お前辞めるんだって?
理由聞いて、止めてこいってさ。

 どーしたんだよ急に。
あー、失恋でもしたか?
いやそれはねーな、お前彼女いねーし……」
内ポケットからタバコを出し、テーブルでトントンしだす。


 「うるせー!ほっとけ!
まぁ、シフトの事は、お前には悪かったよ。

 だがバイトは辞める。
んー、なんつーか他に良い仕事?
つーか金のあてが出来たんでな。」
なるだけ冷静を装うように努めた。


 大仰に肩をすくめるムラマサ
「へぇー!そりゃ良かったなー。
でも急すぎねーか?俺達に相談もなくよー。

 ん?それだけオイシイ何かをゲットしたってことか。

 恐らくは、昨夜か、今朝……ってとこ、か。

 何だ?そのあてってさ。オイ、教えろよ俺達にも!」
紫煙を吐きながら、少し身を乗り出す、痩せすぎ男。


 その隣の筋肉の塊が
「河村。お前、正か非合法な事に手を染めてはいないだろうな?」
尋問みたいに聞いてきた。


 ムラマサ「へっ!そりゃねーよ虎南!
こいつに、そんな度胸ねーって!

 何かアレか?宝くじか、なんかそんなのが当たったか?
それか、どっかから遺産みてーなのが転がって来たか?」


 うるせー!気が小さいってのは、危機管理能力が高いってことでなー!
生物としては、優れているってことなんだぞ!


 「んー、ま、まぁそれに近い感じだなー」


 俺はすっとぼけ、口数は抑えた。

 推理モノは読むか?
アレさ、よく喋るヤツから捕まるからな。


 慌ててアレコレ話すから、墓穴を掘るわけよ。
まるで間抜け。
俺はバカじゃない。

      自爆など、せん!!!

 見ていろ!この程度の戦局、見事に切り抜けてやる!!
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