3 / 27
第3話 お母様登場。
しおりを挟むお屋敷に着くと。
「おかえりなさい、アリー」
美人さんが迎えてくれた。
この美人さんは、私、アリアの母親のオリビア。
黄色がかった薄茶色、亜麻色と言うのだろうか?に、紫の瞳が印象的だ。
ちなみに、私の髪色は金髪で、瞳は紫色。
瞳の色は、母親に似たらしい。
ちなみにユズは、黒髪に青い目をしている。
「ただいま戻りました、お母様」
おぉ、ナチュラルにお母様呼びをしたな、私。
確かに、この美人さんにお袋、とかは似合わなそうだけど。
「今日もどんぐり沢山採れたかしら? 」
そして二言目にはどんぐりだよ。
記憶が戻る前の私、どんだけどんぐり好きだったんだよ。
「オリビア様、アリー様はどんぐりからの卒業を果たしたそうですよ」
「あら!それはめでたいわ!今日はご馳走にしなきゃねぇ」
のんびりと、お祝い宣言をする母。
やめて、どんぐり卒業祝いとかめっちゃ恥ずかしい。
「それにしても……、ユズリアと随分仲良くなったのね、アリー」
「えぇ、それはもう。魂の友と言っても過言ではありませんね」
「いや、それは過言よ!? 」
無表情で言ってのけるユズに、思わずツッコむ私。
そんな私たちを、コロコロといって笑う母。
「でも、そうなると今日のおやつはどうしようかしら?いつものどんぐりクッキーだったのだけれど……」
おおぅ。
どんぐり収集だけでなく、食すまでしてたんか、私。
「せっかく作ってもらっているのですから、今日はどんぐりクッキーをいただきますわ。明日からは、違ったお菓子も食べてみたいのだけど……」
上目遣いでおねだりしてみる。
「そうね、ではそうしましょう。さぁ、ではアリー、ユズリアの後に続いて手を洗ってきなさいな」
あれ!?
いつの間にかユズいない!
と、思ったら、一人さっさと手を洗いに行っている。
あれぇ?
こういう場合って、お嬢様を優先するべきじゃないの?
まぁ、ユズが自由人なのは今に始まったことじゃないしね…。
自然とそう思った私の思考に、今までどんだけ自由だったのよ、とツッコミを入れつつ、ユズの後に続く。
ユズと二人で仲良く手を洗いながら、アリアの記憶を思い浮かべてみる。
うん、大丈夫。
どんぐりに対する熱意が異常なこと以外は、普通の女の子だ。
まだ人格形成が完璧では無かったのか、前世の性格に引っ張られてる気はするけど、アリアであることに違和感はない。
前世のライトノベルで読んだような、自分が転生先の人を乗っ取ってしまったのか、とかは思い悩む必要は、今のところなさそう。
上手いことアリアと融合したみたいね。
まぁ、多少大人びた性格になったけれど、そこはどんぐり卒業を期に大人になったんだと言うことにしておこう。
ちょっと自分でも何言っているのか分からないけれど。
ガラガラとうがいまでして、母の元へ向かう。
「手は綺麗に洗えた? 」
「はい! 」
見せびらかすように、手をパタパタとする。
ユズは…手を頭の上に置いて、うさぎの耳を作っていた。
…見なかったことにした。
1
あなたにおすすめの小説
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
何やってんのヒロイン
ネコフク
恋愛
前世の記憶を持っている侯爵令嬢のマユリカは第二王子であるサリエルの婚約者。
自分が知ってる乙女ゲームの世界に転生しているときづいたのは幼少期。悪役令嬢だなーでもまあいっか、とのんきに過ごしつつヒロインを監視。
始めは何事もなかったのに学園に入る半年前から怪しくなってきて・・・
それに婚約者の王子がおかんにジョブチェンジ。めっちゃ甲斐甲斐しくお世話されてるんですけど。どうしてこうなった。
そんな中とうとうヒロインが入学する年に。
・・・え、ヒロイン何してくれてんの?
※本編・番外編完結。小話待ち。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
ヒロインだと言われましたが、人違いです!
みおな
恋愛
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でした。
って、ベタすぎなので勘弁してください。
しかも悪役令嬢にざまあされる運命のヒロインとかって、冗談じゃありません。
私はヒロインでも悪役令嬢でもありません。ですから、関わらないで下さい。
嫁ぎ先は悪役令嬢推しの転生者一家でした〜攻略対象者のはずの夫がヒロインそっちのけで溺愛してくるのですが、私が悪役令嬢って本当ですか?〜
As-me.com
恋愛
事業の失敗により借金で没落寸前のルーゼルク侯爵家。その侯爵家の一人娘であるエトランゼは侯爵家を救うお金の為に格下のセノーデン伯爵家に嫁入りすることになってしまった。
金で買われた花嫁。政略結婚は貴族の常とはいえ、侯爵令嬢が伯爵家に買われた事実はすぐに社交界にも知れ渡ってしまう。
「きっと、辛い生活が待っているわ」
これまでルーゼルク侯爵家は周りの下位貴族にかなりの尊大な態度をとってきた。もちろん、自分たちより下であるセノーデン伯爵にもだ。そんな伯爵家がわざわざ借金の肩代わりを申し出てまでエトランゼの嫁入りを望むなんて、裏があるに決まっている。エトランゼは、覚悟を決めて伯爵家にやってきたのだが────。
義母「まぁぁあ!やっぱり本物は違うわぁ!」
義妹「素敵、素敵、素敵!!最推しが生きて動いてるなんてぇっ!美しすぎて眼福ものですわぁ!」
義父「アクスタを集めるためにコンビニをはしごしたのが昨日のことのようだ……!(感涙)」
なぜか私を大歓喜で迎え入れてくれる伯爵家の面々。混乱する私に優しく微笑んだのは夫となる人物だった。
「うちの家族は、みんな君の大ファンなんです。悪役令嬢エトランゼのね────」
実はこの世界が乙女ゲームの世界で、私が悪役令嬢ですって?!
────えーと、まず、悪役令嬢ってなんなんですか……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる