悪役令嬢に転生風~無表情執事を添えて~

猫野 肉球

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第3話 お母様登場。

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 お屋敷に着くと。

「おかえりなさい、アリー」

 美人さんが迎えてくれた。
 この美人さんは、私、アリアの母親のオリビア。
 黄色がかった薄茶色、亜麻色と言うのだろうか?に、紫の瞳が印象的だ。
 ちなみに、私の髪色は金髪で、瞳は紫色。
 瞳の色は、母親に似たらしい。
 ちなみにユズは、黒髪に青い目をしている。

「ただいま戻りました、お母様」

 おぉ、ナチュラルにお母様呼びをしたな、私。
 確かに、この美人さんにお袋、とかは似合わなそうだけど。

「今日もどんぐり沢山採れたかしら? 」

 そして二言目にはどんぐりだよ。
 記憶が戻る前の私、どんだけどんぐり好きだったんだよ。

「オリビア様、アリー様はどんぐりからの卒業を果たしたそうですよ」

「あら!それはめでたいわ!今日はご馳走にしなきゃねぇ」

 のんびりと、お祝い宣言をする母。
 やめて、どんぐり卒業祝いとかめっちゃ恥ずかしい。

「それにしても……、ユズリアと随分仲良くなったのね、アリー」

「えぇ、それはもう。魂の友と言っても過言ではありませんね」

「いや、それは過言よ!? 」

 無表情で言ってのけるユズに、思わずツッコむ私。
 そんな私たちを、コロコロといって笑う母。

「でも、そうなると今日のおやつはどうしようかしら?いつものどんぐりクッキーだったのだけれど……」

 おおぅ。
 どんぐり収集だけでなく、食すまでしてたんか、私。

「せっかく作ってもらっているのですから、今日はどんぐりクッキーをいただきますわ。明日からは、違ったお菓子も食べてみたいのだけど……」

 上目遣いでおねだりしてみる。

「そうね、ではそうしましょう。さぁ、ではアリー、ユズリアの後に続いて手を洗ってきなさいな」

 あれ!?
 いつの間にかユズいない!
 と、思ったら、一人さっさと手を洗いに行っている。
 あれぇ?
 こういう場合って、お嬢様を優先するべきじゃないの?
 まぁ、ユズが自由人なのは今に始まったことじゃないしね…。
 自然とそう思った私の思考に、今までどんだけ自由だったのよ、とツッコミを入れつつ、ユズの後に続く。

 ユズと二人で仲良く手を洗いながら、アリアの記憶を思い浮かべてみる。
 うん、大丈夫。
 どんぐりに対する熱意が異常なこと以外は、普通の女の子だ。
 まだ人格形成が完璧では無かったのか、前世の性格に引っ張られてる気はするけど、アリアであることに違和感はない。

 前世のライトノベルで読んだような、自分が転生先の人を乗っ取ってしまったのか、とかは思い悩む必要は、今のところなさそう。
 上手いことアリアと融合したみたいね。
 まぁ、多少大人びた性格になったけれど、そこはどんぐり卒業を期に大人になったんだと言うことにしておこう。
 ちょっと自分でも何言っているのか分からないけれど。

 ガラガラとうがいまでして、母の元へ向かう。

「手は綺麗に洗えた? 」

「はい! 」

 見せびらかすように、手をパタパタとする。
 ユズは…手を頭の上に置いて、うさぎの耳を作っていた。

 …見なかったことにした。
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