37 / 40
第37話 墓守り人
しおりを挟む
「私を…眠りに…?」
「はい、そうです。詳しい話は、私の家でしましょう」
そう言うと、タイキは遠くの砂浜へ顔を向ける。ここから数十メートル離れた砂浜には、黒服の人間が数人、こちらに向かって歩いてきていた。
「皆さん、急いで私のあとについてきてください」
タイキはシャーランを抱き抱えると、早足に歩き出す。
マハラ、スカイ、ケイシ、タク、ルイはタイキの後に続き、ジャンは後ろを振り返り、こちらに向かって歩いてくる黒服の男達を見る。
「なぁ、このまま君の家に行っても、どっちみちあいつらにつけられて、居場所がバレてしまわないか」
ジャンの言葉が聞こえているはずだが、タイキはシャーランを抱え真っ直ぐ前を見たまま、何も答えなかった。
皆、不安に襲われたが、今は何も手がないため、仕方なくタイキの後についていく。
タイキは砂浜を出るとその先の森の方へ向かって行き、鬱蒼とした木々の中を迷うことなく進んでいく。
「ここ、ガオガイ先生の家の周りよりも、更に木が多いし薄暗いな」
ケイシが、目の前に飛び出ている木の枝を手でどけながら、ぼんやりそう呟くと、タイキは笑みを見せる。
「ああ、あの家に行ったんだね。あそこも気に入っていたんだけれど、少し学園に近過ぎて危ない目にもあったから、仕方なく出たんだけどね」
「えっ、あの家は、前はタイキさんのものだったんですか?!」
「そうだよ。ま、そんな話も中に入ってから。着いたよ」
おどろおどろした多種多様な木々の間に、ほんの少し、空き地のような何もない地面が丸い形にあった。
「着いたって……何もないぜ??」
ぽかんとするスカイ。タイキはシャーランを地面に下ろすと、何もない空き地に向かって、手のひらを向ける。
そして、何か言葉を話すと、まるで透明のカーテンでも引いてあったかのように、空き地から木の家が現れた。
「——なっ、なんだ、どうなってるんだ!?」
一同は驚いてその場でたじろぐが、タイキは再びシャーランを抱き抱え、さっさと入り口の扉前の階段を上る。
「早く。この家を見られてはいけない。急いで、中に入って」
タイキにせかされ、皆は慌てて家の中に逃げ込む。
タイキは家の中に入ると、ソファにシャーランをおろし、全員が家の中に入ったのを確認し、また手を上げ何か口にする。
家の中では何も変わりはなく、ケイシが不安そうに尋ねる。
「この家はさっきのように、また見えなくなった…のか?」
タイキは小窓から外を覗くと、口元に笑みを浮かべる。
「たぶんね。外からこの家は見えなくなってるから。ほら、さっきの黒服の奴らも、俺らを見失って必死に探してるだろ」
言われて皆が小窓に集まると、確かに外では黒服の男らが何か相談しながら、辺りを見回していた。そして、この辺りを諦めたのか、更に森の奥へと入って行き、遠ざかりやがて見えなくなった。
「君の…それは、魔術みたいな何かなのか?」
ジャンは不思議そうに、タイキを上から下まで全身じっくりと見つめる。
「これは、俺らニーカ族の血が流れている者のみ使える一種の力みたいなものだよ。はるか昔、シュトム様が神様にお願いして、俺らの祖先に下さった力でね。俺らニーカ族が危険から回避するため、身を隠すためにのみ、使えるんだ」
「それって…、君もシャーランのように神様によって、つくられた種族ってことか?」
「いやいや、違うよ。俺らは君達と同じ人間だよ」
タイキはくるりと後ろを向き、壁際までいくと、床に置かれている小さな木のキャビネットの前にしゃがみ込む。
そして、引き出しを開け、中から紙のようなものを取り出した。
「これ、見たことないかな?」
タイキが持っている紙は、黄ばんでおり古そうだった。タイキは、部屋中央にあるテーブルに紙をそっと開いておき、マハラ、スカイ、ケイシ、ジャン、タク、ルイは周りに集まった。
「あれっ、この紙の感じと文字って…、確かガオガイ先生の家で見た伝記の——?!」
マハラは驚いてタイキを見たあと、紙に顔を近づける。
ジャンもマジマジと紙を見つめたあと、手を顎に当て記憶を辿りだす。
「確か、ガオガイ先生は、あの本はこの小屋に住んでいた者が密かに記していたもので、セントラル王族にこの本の存在を勘づかれてトラブルになったことがあったと…。もしかして、あの伝記は君が書いたものなのか?」
ジャンがタイキを見上げると、タイキは微笑む。
「俺だけじゃない。ニーカ族の先祖が、代々密かに記してきたものだよ。王族から守るために隠したんだが、伝記の続きを書くためにも、その先は破いて持ち逃げしたのさ。もし、あの伝記の続きを知りたいのであれば、ここに——」
「続きなら、知ってるわ。ケイランお兄様に聞いたから。……もうお兄様に聞くことはできないけどね…」
ソファに横たわるシャーランは、暗い瞳でタイキを見つめた。
タイキは、シャーランの顔や服についた赤い血の汚れを無言で見つめる。
「——何もお力になれず、申し訳ありません…」
「別に、あなたは関係ないもの。謝る必要はないわ」
シャーランの表情は変わらず暗く、家の中にも重たい空気が流れる。
「我ニーカ族、誓約の元に力を使う」
マハラ、スカイ、ケイシ、ジャン、タク、ルイは、無言のままシャーランを見つめる。
ソファに横たわったシャーランが、タイキを見つめながら、小さい声で話しかける。
「さっき、手を上げたとき、そう言ったんでしょ?」
「そうです」
無言で互いを見つめ合うシャーランとタイキに、マハラは焦りを感じる。
「え、なに…2人にしか分からない言葉とか…?」
「ううん、マハラ違うわ。さっきの言葉は第5外国語よ。だから私は分かったの」
「第5外国語??えっ、じゃあ彼は、第5外国語が話せるってこと?」
「そうだよ」
タイキは部屋の真ん中のテーブルの前まで歩いて行くと、シャーランの顔を見る。
「第5外国語は、もともとシュトム族のみで会話するための母語だったんです。なので、シャーラン様は本来であれば、話せていたはずです」
「シュトム族の母語……?授業でそんな話は聞かなかったけれど…それに、聞いても全く思い出さないし、本当に私はこの言葉を話していたのかしら」
「記憶が戻れば、また話せるようになると思います。大丈夫ですよ」
タイキがシャーランに向かって微笑むと、シャーランは少し恥ずかしそうに身を縮こませる。
「ちょ、ちょっと待ってくださいっす」
タクが瞬きを何回もしながら、タイキの顔を見つめる。
「第5外国語が、シュトム族の母語……??第5外国語取得を目指して勉強に励むのは、将来就ける仕事と収入が格段に良くなることが約束されているからっす。シャーランには申し訳ないっすが、シュトム族の言語を学んでも、実用性も使用用途もないっすよね。なのに、なんで第5外国語取得を最高峰として、押しすすめるんっすか」
「まぁ不思議に思うよね」
タイキはそう言うと、目の前のテーブルを人差し指でトントンと叩く。
「第5外国語がシュトム族の母語であることは、一般的には伏せられている。ただし、第5外国語をマスターし試験に合格した者には、最終的には事実は明かされ、またシュトム族であるシャーランが生きていることをも知ることとなる。それと同時に、強制的に秘密保持契約をさせられ、その先どんな仕事についても、漏らさず真っ当に生きていれば、生涯安泰を約束されている。問題は、一言でも事実を漏らせば処刑ってとこかな」
「…秘密保持契約って…どことっすか…」
「なんとなく、予想はついているんじゃないか?王族とだよ」
タクは苦悶の表情を浮かべながらも、続けてタイキに尋ねる。
「そこまでして、なぜ第5外国語を学ばせるんっすか?」
「おそらく、シュトム族復活のときのために利用するためだろうな。シャーランが記憶を取り戻し復活した際、シュトム族の母語を話せる者がいれば、シュトム族の母語を知らない他国の人間に話の内容を聞かれることなく、シャーランと会話ができる。他国は危険だと、印象操作だってできるからな。王族はシュトム族を他国に奪われることを、何よりも恐れているからな」
「なんだよ、それ……いい暮らしのためにって努力しても、結局、王族の私利私欲のために利用されるのがオチってことっすか…」
タクはガクッと肩を落とし、そのまま床に座り込んで頭を抱えた。
「道理で…飛び級して入園するおれへの待遇に手厚くなるわけっすね……おれは、一体何のために今まで勉強してたんだ…」
落ち込むタクに、ルイは隣にしゃがみ背中を軽く叩き励ましながら、タイキに尋ねる。
「君らニーカ族は、どこで第5外国語を学んだんだ?」
「俺らニーカ族は、生まれてからすぐに、親から子へとシュトム族の母語について口での伝承が始まるんだ。だから、子供のころから話せるようになるよ」
「あなた達ニーカ族と私達シュトム族は、そんなに近い存在だったの」
シャーランはソファに横になったままタイキをまっすぐ見つめ、手でソファをギュッと掴む。
「……私を眠らせにきたっていうのは、どういうことなの…?」
シャーランがか細い声で尋ねると、タイキはソファに横たわるシャーランの前に行き、ひざまずき頭を下げる。
「はい。私達ニーカ族は、シュトム族様が眠りにつき100年後無事に目覚めるためにお守りする役目、シュトム様より命じられ墓守り人としてお側にいさせていただいております。そして、私はシャーラン様がご記憶を取り戻すキッカケとなろう物を、今も大事に所持しております」
「はい、そうです。詳しい話は、私の家でしましょう」
そう言うと、タイキは遠くの砂浜へ顔を向ける。ここから数十メートル離れた砂浜には、黒服の人間が数人、こちらに向かって歩いてきていた。
「皆さん、急いで私のあとについてきてください」
タイキはシャーランを抱き抱えると、早足に歩き出す。
マハラ、スカイ、ケイシ、タク、ルイはタイキの後に続き、ジャンは後ろを振り返り、こちらに向かって歩いてくる黒服の男達を見る。
「なぁ、このまま君の家に行っても、どっちみちあいつらにつけられて、居場所がバレてしまわないか」
ジャンの言葉が聞こえているはずだが、タイキはシャーランを抱え真っ直ぐ前を見たまま、何も答えなかった。
皆、不安に襲われたが、今は何も手がないため、仕方なくタイキの後についていく。
タイキは砂浜を出るとその先の森の方へ向かって行き、鬱蒼とした木々の中を迷うことなく進んでいく。
「ここ、ガオガイ先生の家の周りよりも、更に木が多いし薄暗いな」
ケイシが、目の前に飛び出ている木の枝を手でどけながら、ぼんやりそう呟くと、タイキは笑みを見せる。
「ああ、あの家に行ったんだね。あそこも気に入っていたんだけれど、少し学園に近過ぎて危ない目にもあったから、仕方なく出たんだけどね」
「えっ、あの家は、前はタイキさんのものだったんですか?!」
「そうだよ。ま、そんな話も中に入ってから。着いたよ」
おどろおどろした多種多様な木々の間に、ほんの少し、空き地のような何もない地面が丸い形にあった。
「着いたって……何もないぜ??」
ぽかんとするスカイ。タイキはシャーランを地面に下ろすと、何もない空き地に向かって、手のひらを向ける。
そして、何か言葉を話すと、まるで透明のカーテンでも引いてあったかのように、空き地から木の家が現れた。
「——なっ、なんだ、どうなってるんだ!?」
一同は驚いてその場でたじろぐが、タイキは再びシャーランを抱き抱え、さっさと入り口の扉前の階段を上る。
「早く。この家を見られてはいけない。急いで、中に入って」
タイキにせかされ、皆は慌てて家の中に逃げ込む。
タイキは家の中に入ると、ソファにシャーランをおろし、全員が家の中に入ったのを確認し、また手を上げ何か口にする。
家の中では何も変わりはなく、ケイシが不安そうに尋ねる。
「この家はさっきのように、また見えなくなった…のか?」
タイキは小窓から外を覗くと、口元に笑みを浮かべる。
「たぶんね。外からこの家は見えなくなってるから。ほら、さっきの黒服の奴らも、俺らを見失って必死に探してるだろ」
言われて皆が小窓に集まると、確かに外では黒服の男らが何か相談しながら、辺りを見回していた。そして、この辺りを諦めたのか、更に森の奥へと入って行き、遠ざかりやがて見えなくなった。
「君の…それは、魔術みたいな何かなのか?」
ジャンは不思議そうに、タイキを上から下まで全身じっくりと見つめる。
「これは、俺らニーカ族の血が流れている者のみ使える一種の力みたいなものだよ。はるか昔、シュトム様が神様にお願いして、俺らの祖先に下さった力でね。俺らニーカ族が危険から回避するため、身を隠すためにのみ、使えるんだ」
「それって…、君もシャーランのように神様によって、つくられた種族ってことか?」
「いやいや、違うよ。俺らは君達と同じ人間だよ」
タイキはくるりと後ろを向き、壁際までいくと、床に置かれている小さな木のキャビネットの前にしゃがみ込む。
そして、引き出しを開け、中から紙のようなものを取り出した。
「これ、見たことないかな?」
タイキが持っている紙は、黄ばんでおり古そうだった。タイキは、部屋中央にあるテーブルに紙をそっと開いておき、マハラ、スカイ、ケイシ、ジャン、タク、ルイは周りに集まった。
「あれっ、この紙の感じと文字って…、確かガオガイ先生の家で見た伝記の——?!」
マハラは驚いてタイキを見たあと、紙に顔を近づける。
ジャンもマジマジと紙を見つめたあと、手を顎に当て記憶を辿りだす。
「確か、ガオガイ先生は、あの本はこの小屋に住んでいた者が密かに記していたもので、セントラル王族にこの本の存在を勘づかれてトラブルになったことがあったと…。もしかして、あの伝記は君が書いたものなのか?」
ジャンがタイキを見上げると、タイキは微笑む。
「俺だけじゃない。ニーカ族の先祖が、代々密かに記してきたものだよ。王族から守るために隠したんだが、伝記の続きを書くためにも、その先は破いて持ち逃げしたのさ。もし、あの伝記の続きを知りたいのであれば、ここに——」
「続きなら、知ってるわ。ケイランお兄様に聞いたから。……もうお兄様に聞くことはできないけどね…」
ソファに横たわるシャーランは、暗い瞳でタイキを見つめた。
タイキは、シャーランの顔や服についた赤い血の汚れを無言で見つめる。
「——何もお力になれず、申し訳ありません…」
「別に、あなたは関係ないもの。謝る必要はないわ」
シャーランの表情は変わらず暗く、家の中にも重たい空気が流れる。
「我ニーカ族、誓約の元に力を使う」
マハラ、スカイ、ケイシ、ジャン、タク、ルイは、無言のままシャーランを見つめる。
ソファに横たわったシャーランが、タイキを見つめながら、小さい声で話しかける。
「さっき、手を上げたとき、そう言ったんでしょ?」
「そうです」
無言で互いを見つめ合うシャーランとタイキに、マハラは焦りを感じる。
「え、なに…2人にしか分からない言葉とか…?」
「ううん、マハラ違うわ。さっきの言葉は第5外国語よ。だから私は分かったの」
「第5外国語??えっ、じゃあ彼は、第5外国語が話せるってこと?」
「そうだよ」
タイキは部屋の真ん中のテーブルの前まで歩いて行くと、シャーランの顔を見る。
「第5外国語は、もともとシュトム族のみで会話するための母語だったんです。なので、シャーラン様は本来であれば、話せていたはずです」
「シュトム族の母語……?授業でそんな話は聞かなかったけれど…それに、聞いても全く思い出さないし、本当に私はこの言葉を話していたのかしら」
「記憶が戻れば、また話せるようになると思います。大丈夫ですよ」
タイキがシャーランに向かって微笑むと、シャーランは少し恥ずかしそうに身を縮こませる。
「ちょ、ちょっと待ってくださいっす」
タクが瞬きを何回もしながら、タイキの顔を見つめる。
「第5外国語が、シュトム族の母語……??第5外国語取得を目指して勉強に励むのは、将来就ける仕事と収入が格段に良くなることが約束されているからっす。シャーランには申し訳ないっすが、シュトム族の言語を学んでも、実用性も使用用途もないっすよね。なのに、なんで第5外国語取得を最高峰として、押しすすめるんっすか」
「まぁ不思議に思うよね」
タイキはそう言うと、目の前のテーブルを人差し指でトントンと叩く。
「第5外国語がシュトム族の母語であることは、一般的には伏せられている。ただし、第5外国語をマスターし試験に合格した者には、最終的には事実は明かされ、またシュトム族であるシャーランが生きていることをも知ることとなる。それと同時に、強制的に秘密保持契約をさせられ、その先どんな仕事についても、漏らさず真っ当に生きていれば、生涯安泰を約束されている。問題は、一言でも事実を漏らせば処刑ってとこかな」
「…秘密保持契約って…どことっすか…」
「なんとなく、予想はついているんじゃないか?王族とだよ」
タクは苦悶の表情を浮かべながらも、続けてタイキに尋ねる。
「そこまでして、なぜ第5外国語を学ばせるんっすか?」
「おそらく、シュトム族復活のときのために利用するためだろうな。シャーランが記憶を取り戻し復活した際、シュトム族の母語を話せる者がいれば、シュトム族の母語を知らない他国の人間に話の内容を聞かれることなく、シャーランと会話ができる。他国は危険だと、印象操作だってできるからな。王族はシュトム族を他国に奪われることを、何よりも恐れているからな」
「なんだよ、それ……いい暮らしのためにって努力しても、結局、王族の私利私欲のために利用されるのがオチってことっすか…」
タクはガクッと肩を落とし、そのまま床に座り込んで頭を抱えた。
「道理で…飛び級して入園するおれへの待遇に手厚くなるわけっすね……おれは、一体何のために今まで勉強してたんだ…」
落ち込むタクに、ルイは隣にしゃがみ背中を軽く叩き励ましながら、タイキに尋ねる。
「君らニーカ族は、どこで第5外国語を学んだんだ?」
「俺らニーカ族は、生まれてからすぐに、親から子へとシュトム族の母語について口での伝承が始まるんだ。だから、子供のころから話せるようになるよ」
「あなた達ニーカ族と私達シュトム族は、そんなに近い存在だったの」
シャーランはソファに横になったままタイキをまっすぐ見つめ、手でソファをギュッと掴む。
「……私を眠らせにきたっていうのは、どういうことなの…?」
シャーランがか細い声で尋ねると、タイキはソファに横たわるシャーランの前に行き、ひざまずき頭を下げる。
「はい。私達ニーカ族は、シュトム族様が眠りにつき100年後無事に目覚めるためにお守りする役目、シュトム様より命じられ墓守り人としてお側にいさせていただいております。そして、私はシャーラン様がご記憶を取り戻すキッカケとなろう物を、今も大事に所持しております」
0
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
元バリキャリ、マッチ売りの少女に転生する〜マッチは売るものではなく、買わせるものです
結城芙由奈@コミカライズ連載中
ファンタジー
【マッチが欲しい? すみません、完売しました】
バリキャリの私は得意先周りの最中に交通事故に遭ってしまった。次に目覚めた場所は隙間風が吹き込むような貧しい家の中だった。しかも目の前にはヤサグレた飲んだくれの中年男。そして男は私に言った。
「マッチを売るまで帰ってくるな!」
え? もしかしてここって……『マッチ売りの少女』の世界? マッチ売りの少女と言えば、最後に死んでしまう救いようがない話。死ぬなんて冗談じゃない! この世界で生き残るため、私は前世の知識を使ってマッチを売りさばく決意をした――
※他サイトでも投稿中
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる