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エピソード1:刻み屋ニック 3
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コナン警部の眼は見開かれた。きっとその理由は、最初はアベルの行動の不可解さに、ついで見せつけられた奇跡に。
フランクは弾丸が発せられた瞬間、首と右手をわずかに動かした。次に彼が右手を開くと、そこから弾が転がり出た。
「……手品だろう?」
コナン警部は、己を無理に納得させるかのように言った。
「だ、弾丸を口で受け止める奇術がある。私は知っているぞ」
「ならば……」
アベルは拳銃を警部に返してから、フランクに近寄った。そして何事か耳打ちする。すまなさそうな表情のアベルに対し、フランクは明朗な調子で、
「分かりました」
と応じた。
アベルはまたすまないと思いながら、ナイフを取り出した。
「こ、今度は何だ……」
警部はもはや、拳銃を構えていない。ただただ、驚愕しているばかりだ。
「はじめにフランクの手を握ってやってください。何もしません。警部は、彼の手が本物だと確認してくれればいいです」
「手、手が本物だと?」
フランクの左手に触れながら、コナンは悲鳴にも似た疑問文を口にした。
「……まさか!」
「恐らく、あなたの想像で当たりでしょう。頼む、フランク!」
アベルの声を合図に、フランクはナイフを右手に構え、振りかざした。左手の方はテーブルの縁に据えられている。
次の瞬間、ナイフは左手首めがけ振り下ろされた。血が激しく散る。
「な……」
「これからが肝心です。二度続けてやるのはきついはずだから、お見逃しなきよう」
アベルは静かに忠告した。
テーブルの上に置かれた左手を、フランクは右手で拾った。そして左腕の切断面にそれをあてがった。
するとどうだろう、細い煙が立ち昇ったかと思うと、傷口が回復していくではないか。血はこびりついたままだが、確実に止まりつつある。
やがてフランクの左手は、元あった位置に納まっていた。
「フランク、コナン警部に左手を」
アベルは感情を押し殺したように、低い声で言った。
フランクはおびえているコナン警部に近付き、まだ血の付着している左手を差し出した。
「う、う」
短くうめいてから、それでも警部は自分の指で、フランクの手が元に戻ったのを確認した。
「おまえら、何者なんだ?」
警部の質問に、アベルは冷静に、しかもさらりと答える。
「魔玉に関わる者としか言い様がありません」
ニック――それは『彼』の名ではなかった。だが、今や彼にはその名が与えられていた。ニックこそ、彼の存在を表す。
(続けて女を殺すことになったか……)
血まみれの死体を前に、彼はそんなことを考えていた。
(別によかろう。女とか男とか、自分にはまるで関係ない)
ニックはまた不良分子を始末できたことに満足し、笑みさえ浮かべていた。その身体には、あれだけの行為をしていながら、一滴の血も付着していない。
ニックは帽子を目深にかぶり直すと、何事もなかったかのように歩き始めた。
「待て!」
鋭い声が飛んだとき、さすがにニックは驚いてしまった。これまで誰にも目撃されることのなかった行為。今日は運が悪かったのか?
「おまえが刻み屋ニックだな」
声の方を見た。影しか見えないが、どうやら刑事らしい。その数、三人。
(三人もまとめて殺さなければならないのか。面倒だな)
ニックは自然とそんな思考をした。もしも目撃された場合、皆殺しにすると決めていたのだ。
「忌々しいが、間に合わなかったか。だが、おまえは逃がさん!」
「騒がしくすると、人が寄って来るぞ」
しびれるような声を出したニック。肉食の獣のように、彼は舌なめずりすると、続けていった。
「集まった連中は全員、生きて帰さぬつもりだ。それが嫌なら静かにせよ」
「うるさい!」
叫び声と同時に、一人の男が発砲してきた。
(かわいい攻撃だ)
ニックはそう思っただけである。なのに、飛来した弾丸は、彼の手前でぽとりと落ちてしまった。
「あれが……奴の能力の一つらしい」
そんな声がした。ニックは、ほんの少し、不思議に思った。
(能力……だと?)
「あれが特殊能力?」
声のトーンを落としてアベルに聞き返したのは、もちろんフランク。
「恐らく。あいつは全身に膜のような防護壁をまとっているらしい。透明で見えないが、その効果は見られた。弾丸の威力を包み込み、奴は無傷だ」
「血が全身に見られないのも、そのためか」
コナン警部は警察の立場から言った。
「そうでしょう。いくら犯行を重ねてもあいつには返り血が付かない。非常線を張っても逃げられるはずですよ」
「それで、どう闘えばいいんだ、アベル?」
フランクはじれたような声を上げた。
「どんな怪力で殴っても、あいつには効かない訳だろう?」
「ふむ。予想外の能力だったな。後先考えている暇がないのは不利な条件だが、とりあえず、魔玉の者としての一撃を受けきれるのかどうか、確かめる価値はある」
「分かりました」
フランクは潜めていた身をすっくと起こした。真正面にニックの影が見える。
(何だ、あいつは)
ニックはまた驚いていた。奴らの内の一人が立ち上がったかと思うと、ずんずんとこちらに向かって歩いてくるではないか。
(今日は本当につきのない日らしいな。この俺が二度も驚かされるなんて。どれ、様子を見てみるか)
笑みを浮かべ、彼は相手を待った。
こちらが無防備にしてやっていると、相手は警戒もせずに一気に接近してきた。
(こいつはよほどの馬鹿か、それとも……まさか)
次の一瞬、ニックは腹に衝撃を感じていた。吹っ飛ばされる。
「何ぃ!」
転がりながら、彼は叫んだ。そして相手を見やる。
「浅かったか……。いや、これがおまえの力なのか?」
相手の問いかけは無視し、ニックは考える。
(どういうことだ……。あいつの拳を防ぎきれなかった。ダメージは減じられたようだが、完全ではない。こいつは……)
再び、不敵な笑みを浮かべたニック。攻撃に転じ、あることを確かめようと決めた。
「おい、どっちだ? まさか、これだけでやられるような奴じゃないだろう。少しはおまえを知っているんだからな」
立ったまま警戒しているフランクに、後方のアベルからの声が届く。
「フランク、油断するな! まだ相手の攻撃を見ていないのを忘れるな!」
「了解!」
そう答えるのとほぼ同時に、フランクの視界に影が走った。危険を察した彼は、持ち前の動きでその場から引いた。
地面の石畳が割れていた。今までフランクが立っていた位置だ。
「はははっ! こいつはいい!」
ニックが声を発している。愉快でたまらないという感じだ。その手を見ると、指先から鋭い爪が長く伸びている。鈎状でなく、まっすぐに伸びた爪。その一つ一つが鋭利なナイフと見なせる。
「それで遺体を切り刻む訳か」
「遺体? 違うね!」
フランクの問いかけに応じたニック。さらに嘲笑の度合いは高まっている。
「生きたまま切り刻んでやるのさ! もっとも、俺の切り刻むのが早すぎて、痛みを感じる頃にはすぐに絶命してしまうようだがね!」
叫んでいるような喋りなのだが、不思議とその声は大きくない。じんじんと耳に響く声なのに……。
ニックは演説を続けた。
「おまえも魔玉を持っているんだな。その動きを見て、ようやく納得できた」
「……納得しても、素直にひれ伏すたまじゃなさそうだ」
「分かっているじゃないか。さっきのは顔見せ、これからが本番」
高く跳ねたかと思うと、自由落下以上の速度でニックは突っ込んできた。
だが、フランクにかわせぬスピードではない。まだ余裕を持って回避できる。
続けて攻撃に来るニック。段々とその動きは早くなっているものの、スピードを身上とするフランク、これしきの動きに対応できないようでは常人と同じことになってしまう。
「信じられん」
攻撃を止めたニック。
「普通、魔玉の力を得ると、それだけで動きは早くなる。だが、おまえのそれは俺の理解を超えている。つまり、動きが素早い、それだけが、おまえの特殊能力の全てなのではないか?」
図星を指摘され、フランクは顔色を変えてしまった。不死身の肉体等と言ってもどこまで持ってくれるのか分かったものでないのだ。
「当たったかね? では、作戦変更だ」
言い捨てるや否や、ニックは身を翻すと、フランクの頭上を越え、その後方へと降り立った。
「しまった!」
防御に徹していたフランクは、瞬時にミスを犯したと悟った。一歩、行動が遅れたために、アベルとコナン警部に奴が近付くのを許してしまった。
「こちらを殺してやろうと思うのだが、どうかな?」
「く……」
言葉を返せぬフランク。それに代わって、アベルが叫んだ。
「おまえなんかの考えていることはお見通しだ。我々を殺すことが目的ではない。人質にして、フランクが飛び込んでくるのを待つのだろう。いくらフランクが素早くとも、飛び込んで行くときを攻撃されてはかなわんだろうな、確かに!」
アベルがわざわざ大声で言ったのは、軽はずみな行動を慎むようにという意味もあるのだと、フランクは理解した。
ニックは、一瞬奇妙に首を傾げてから、思い直したように、
「おまえら、命が惜しかろう」
と言った。
「惜しいさ」
コナンが空元気で言った。
「だが、そこのフランクがやられたら、どうせ俺達も殺されるんだろう? だったら、少しでもフランクの有利なように持っていく。命を捨てることになってもな」
「全く……おまえの仲間は馬鹿ばかりか?」
ニックは、何故かアベルの方を向いて、あきれたような声を出した。
アベルが一瞬、戸惑っている内に、ニックは楽しむように次の言葉を発した。
「エフ・アベル! 君の作品だったのか、彼、フランクは!」
アベルだけでなく、フランクも衝撃を受けた。
「何故、おまえが私のフルネームを知っている?」
「分からないかね、アベル」
効果を演出する仕種でもって、ニックは帽子を取った。わずかな明かりが、その顔を照らす。
アベルは絶叫した。
「カイン!」
続く
フランクは弾丸が発せられた瞬間、首と右手をわずかに動かした。次に彼が右手を開くと、そこから弾が転がり出た。
「……手品だろう?」
コナン警部は、己を無理に納得させるかのように言った。
「だ、弾丸を口で受け止める奇術がある。私は知っているぞ」
「ならば……」
アベルは拳銃を警部に返してから、フランクに近寄った。そして何事か耳打ちする。すまなさそうな表情のアベルに対し、フランクは明朗な調子で、
「分かりました」
と応じた。
アベルはまたすまないと思いながら、ナイフを取り出した。
「こ、今度は何だ……」
警部はもはや、拳銃を構えていない。ただただ、驚愕しているばかりだ。
「はじめにフランクの手を握ってやってください。何もしません。警部は、彼の手が本物だと確認してくれればいいです」
「手、手が本物だと?」
フランクの左手に触れながら、コナンは悲鳴にも似た疑問文を口にした。
「……まさか!」
「恐らく、あなたの想像で当たりでしょう。頼む、フランク!」
アベルの声を合図に、フランクはナイフを右手に構え、振りかざした。左手の方はテーブルの縁に据えられている。
次の瞬間、ナイフは左手首めがけ振り下ろされた。血が激しく散る。
「な……」
「これからが肝心です。二度続けてやるのはきついはずだから、お見逃しなきよう」
アベルは静かに忠告した。
テーブルの上に置かれた左手を、フランクは右手で拾った。そして左腕の切断面にそれをあてがった。
するとどうだろう、細い煙が立ち昇ったかと思うと、傷口が回復していくではないか。血はこびりついたままだが、確実に止まりつつある。
やがてフランクの左手は、元あった位置に納まっていた。
「フランク、コナン警部に左手を」
アベルは感情を押し殺したように、低い声で言った。
フランクはおびえているコナン警部に近付き、まだ血の付着している左手を差し出した。
「う、う」
短くうめいてから、それでも警部は自分の指で、フランクの手が元に戻ったのを確認した。
「おまえら、何者なんだ?」
警部の質問に、アベルは冷静に、しかもさらりと答える。
「魔玉に関わる者としか言い様がありません」
ニック――それは『彼』の名ではなかった。だが、今や彼にはその名が与えられていた。ニックこそ、彼の存在を表す。
(続けて女を殺すことになったか……)
血まみれの死体を前に、彼はそんなことを考えていた。
(別によかろう。女とか男とか、自分にはまるで関係ない)
ニックはまた不良分子を始末できたことに満足し、笑みさえ浮かべていた。その身体には、あれだけの行為をしていながら、一滴の血も付着していない。
ニックは帽子を目深にかぶり直すと、何事もなかったかのように歩き始めた。
「待て!」
鋭い声が飛んだとき、さすがにニックは驚いてしまった。これまで誰にも目撃されることのなかった行為。今日は運が悪かったのか?
「おまえが刻み屋ニックだな」
声の方を見た。影しか見えないが、どうやら刑事らしい。その数、三人。
(三人もまとめて殺さなければならないのか。面倒だな)
ニックは自然とそんな思考をした。もしも目撃された場合、皆殺しにすると決めていたのだ。
「忌々しいが、間に合わなかったか。だが、おまえは逃がさん!」
「騒がしくすると、人が寄って来るぞ」
しびれるような声を出したニック。肉食の獣のように、彼は舌なめずりすると、続けていった。
「集まった連中は全員、生きて帰さぬつもりだ。それが嫌なら静かにせよ」
「うるさい!」
叫び声と同時に、一人の男が発砲してきた。
(かわいい攻撃だ)
ニックはそう思っただけである。なのに、飛来した弾丸は、彼の手前でぽとりと落ちてしまった。
「あれが……奴の能力の一つらしい」
そんな声がした。ニックは、ほんの少し、不思議に思った。
(能力……だと?)
「あれが特殊能力?」
声のトーンを落としてアベルに聞き返したのは、もちろんフランク。
「恐らく。あいつは全身に膜のような防護壁をまとっているらしい。透明で見えないが、その効果は見られた。弾丸の威力を包み込み、奴は無傷だ」
「血が全身に見られないのも、そのためか」
コナン警部は警察の立場から言った。
「そうでしょう。いくら犯行を重ねてもあいつには返り血が付かない。非常線を張っても逃げられるはずですよ」
「それで、どう闘えばいいんだ、アベル?」
フランクはじれたような声を上げた。
「どんな怪力で殴っても、あいつには効かない訳だろう?」
「ふむ。予想外の能力だったな。後先考えている暇がないのは不利な条件だが、とりあえず、魔玉の者としての一撃を受けきれるのかどうか、確かめる価値はある」
「分かりました」
フランクは潜めていた身をすっくと起こした。真正面にニックの影が見える。
(何だ、あいつは)
ニックはまた驚いていた。奴らの内の一人が立ち上がったかと思うと、ずんずんとこちらに向かって歩いてくるではないか。
(今日は本当につきのない日らしいな。この俺が二度も驚かされるなんて。どれ、様子を見てみるか)
笑みを浮かべ、彼は相手を待った。
こちらが無防備にしてやっていると、相手は警戒もせずに一気に接近してきた。
(こいつはよほどの馬鹿か、それとも……まさか)
次の一瞬、ニックは腹に衝撃を感じていた。吹っ飛ばされる。
「何ぃ!」
転がりながら、彼は叫んだ。そして相手を見やる。
「浅かったか……。いや、これがおまえの力なのか?」
相手の問いかけは無視し、ニックは考える。
(どういうことだ……。あいつの拳を防ぎきれなかった。ダメージは減じられたようだが、完全ではない。こいつは……)
再び、不敵な笑みを浮かべたニック。攻撃に転じ、あることを確かめようと決めた。
「おい、どっちだ? まさか、これだけでやられるような奴じゃないだろう。少しはおまえを知っているんだからな」
立ったまま警戒しているフランクに、後方のアベルからの声が届く。
「フランク、油断するな! まだ相手の攻撃を見ていないのを忘れるな!」
「了解!」
そう答えるのとほぼ同時に、フランクの視界に影が走った。危険を察した彼は、持ち前の動きでその場から引いた。
地面の石畳が割れていた。今までフランクが立っていた位置だ。
「はははっ! こいつはいい!」
ニックが声を発している。愉快でたまらないという感じだ。その手を見ると、指先から鋭い爪が長く伸びている。鈎状でなく、まっすぐに伸びた爪。その一つ一つが鋭利なナイフと見なせる。
「それで遺体を切り刻む訳か」
「遺体? 違うね!」
フランクの問いかけに応じたニック。さらに嘲笑の度合いは高まっている。
「生きたまま切り刻んでやるのさ! もっとも、俺の切り刻むのが早すぎて、痛みを感じる頃にはすぐに絶命してしまうようだがね!」
叫んでいるような喋りなのだが、不思議とその声は大きくない。じんじんと耳に響く声なのに……。
ニックは演説を続けた。
「おまえも魔玉を持っているんだな。その動きを見て、ようやく納得できた」
「……納得しても、素直にひれ伏すたまじゃなさそうだ」
「分かっているじゃないか。さっきのは顔見せ、これからが本番」
高く跳ねたかと思うと、自由落下以上の速度でニックは突っ込んできた。
だが、フランクにかわせぬスピードではない。まだ余裕を持って回避できる。
続けて攻撃に来るニック。段々とその動きは早くなっているものの、スピードを身上とするフランク、これしきの動きに対応できないようでは常人と同じことになってしまう。
「信じられん」
攻撃を止めたニック。
「普通、魔玉の力を得ると、それだけで動きは早くなる。だが、おまえのそれは俺の理解を超えている。つまり、動きが素早い、それだけが、おまえの特殊能力の全てなのではないか?」
図星を指摘され、フランクは顔色を変えてしまった。不死身の肉体等と言ってもどこまで持ってくれるのか分かったものでないのだ。
「当たったかね? では、作戦変更だ」
言い捨てるや否や、ニックは身を翻すと、フランクの頭上を越え、その後方へと降り立った。
「しまった!」
防御に徹していたフランクは、瞬時にミスを犯したと悟った。一歩、行動が遅れたために、アベルとコナン警部に奴が近付くのを許してしまった。
「こちらを殺してやろうと思うのだが、どうかな?」
「く……」
言葉を返せぬフランク。それに代わって、アベルが叫んだ。
「おまえなんかの考えていることはお見通しだ。我々を殺すことが目的ではない。人質にして、フランクが飛び込んでくるのを待つのだろう。いくらフランクが素早くとも、飛び込んで行くときを攻撃されてはかなわんだろうな、確かに!」
アベルがわざわざ大声で言ったのは、軽はずみな行動を慎むようにという意味もあるのだと、フランクは理解した。
ニックは、一瞬奇妙に首を傾げてから、思い直したように、
「おまえら、命が惜しかろう」
と言った。
「惜しいさ」
コナンが空元気で言った。
「だが、そこのフランクがやられたら、どうせ俺達も殺されるんだろう? だったら、少しでもフランクの有利なように持っていく。命を捨てることになってもな」
「全く……おまえの仲間は馬鹿ばかりか?」
ニックは、何故かアベルの方を向いて、あきれたような声を出した。
アベルが一瞬、戸惑っている内に、ニックは楽しむように次の言葉を発した。
「エフ・アベル! 君の作品だったのか、彼、フランクは!」
アベルだけでなく、フランクも衝撃を受けた。
「何故、おまえが私のフルネームを知っている?」
「分からないかね、アベル」
効果を演出する仕種でもって、ニックは帽子を取った。わずかな明かりが、その顔を照らす。
アベルは絶叫した。
「カイン!」
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