25 / 65
第2章 隠居に成功(?)した魔王様
魔王様は羞恥が限界突破する
しおりを挟む
「ノア様、身体はお辛くないですか?やっぱり僕がやった方が…」
「だ、大丈夫だから…ッ…少し、違和感があるだけ、…くっ…お前の手を煩わせる気はないから、そこで黙って待っとけ」
「わかりました…」
(うぅ…まさかこの年になってまで、こんな恥ずかしい格好を人前でする羽目になるとは…。いまさら全く経験が無いなんて言えないし……かと言ってルークの手を借りるなんてとんでもないからなぁ…)
経験のないノアとはいえそこは年の功。
男同士がどうやって夜の営みをするかという知識はあったものの、全く性に関する事柄に興味のなかったツケがこうした形で回ってくるとは思わなかった。
率先して準備まで引き受けようとするルークをなんとか押し留め、とりあえずルークからは隠した状態で自分で少しずつ慣らしてみようとするものの…やりづらい。痛みを遮断する魔術のおかげで痛くないのだけが不幸中の幸いだろうか。
(まぁそうだよな、普通はこんなことに使う場所じゃないし…勝手に濡れもしない臓器の一部だ。十中八九血を見る覚悟が必要だな…)
それでも今のノアにとって、自分の身体よりも優先すべきはルークの正気を早く取り戻すことだと思っていた。
だから目の前のルークの顔が曇っていることにも気づいていなかった。
「あの、ノア様…」
「…ん?なんだ?」
「後でどれだけ叱っていただいても構いません。ですのでどうか…僕に任せていただけないでしょうか?あなたにお辛そうな顔をこれ以上させたくはないのです」
「い、いや…でも、さすがにルークにこんなことをさせるわけにはいかない。第一他人のこんな場所を触るなんて汚いだろ」
「ノア様はどこもかしこもお綺麗ですから大丈夫です。痛くないようにします、嫌になったらいつでも止めていただいて結構です。ですからどうか…」
まるで捨てられた子犬のようにルークは悲しそうな顔でノアを見上げる。図体は立派な大型犬だが。
だがこれ以上やっていても希望が見出せないのは事実。自分では入り口をぐちぐちと拡げるだけでも精一杯なのだ。
「う、ぐ……わ、わかった…。けど、お前も嫌だったらすぐにやめろよ。無理にやれとは言ってないからな」
「わかりました。それではまずうつ伏せになっていただいて、お尻だけ高く上げていただけますか?」
「は、はぁ…!?そんな…これ以上恥ずかしい格好できるわけ…」
「ノア様の負担を少しでも軽減するためなんです。もし気になるなら僕は目隠しでもしましょうか?」
「い、いらない!わかったよ!やればいいんだろ!」
ノアはもはやヤケクソになっていた。
ルークに背を向けベッドにうつ伏せの状態になる。そこからお尻を高く上げないといけないのだが、どうしても足が震えてしまって中途半端に不恰好なものになってしまった。
(まだ何もしてないのにこんなに恥ずかしいなんて…!皆こんなことが普通にできるのか…!?)
「ありがとうございます。それでは触れますね」
「いいから…!もう一思いにやってくれ…!」
身を固くしてその瞬間を待っていると、ぴたりと冷たい感触が張り付いた。
「ひ、ぃ…えっなに…!?」
「蜜草と香油を合わせたものです。潤滑油として重宝されているみたいですよ。リリシュさんに『女の子とする時に使ってあげてね』と渡されていたものが役に立ちました」
「そ、そうか…まぁ、そうだよな…」
(女の子…普通に考えればそうだよな。今回の場合が異常だけであって、ルークにとっても相手は女性がいいに決まっている。俺は子供は望めないどころか、種族だって違うわけだし…)
「痛くは無いですか?」
「う、うん…今のところは大丈夫…」
潤滑油を使っているおかげか、自分でやっていた時よりもスムーズに身体は順応し始める。先ほどまでの痛みもようやく治まり、ノアはこれなら何とかなるかと思った。
「た、多分そろそろ大丈夫だろ…。もう挿れても…ひ…ッん……!?なに今の…っまさか…俺の声…っあ…ルーク、ダメだ…っ!や…ッい、一旦止めろ…!」
「どうしてですか?僕はノア様に悦くなっていただきたいだけですよ」
「だか、ら…それが、ダメなんだ…ッう……ンく…っおれ…俺のこと、は…いいから…!」
「いいえ、あなたを蔑ろにするはずはありません。ましてや、愛している人に無理をさせるわけがないじゃ無いですか」
「それは…!」
今すぐその気持ちは間違いなのだと言ってしまいたかった。けれどここで幻と思われている自分まで否定して、ルークの心が永遠に閉ざされてしまっては元も子もない。
「俺が…恥ずかしいんだ…!も、頼むから…はやく、ルーク……!」
自分から誘ったことなんてあるわけがない。しかしこのまま羞恥に耐え抜くというのはノアには無理があった。
「ノア様……。えぇ、あなたの仰せのままに…」
月明かりしかない闇夜の中、ルークの目がまるで獲物を見定めるかのように細く眇められた。
「だ、大丈夫だから…ッ…少し、違和感があるだけ、…くっ…お前の手を煩わせる気はないから、そこで黙って待っとけ」
「わかりました…」
(うぅ…まさかこの年になってまで、こんな恥ずかしい格好を人前でする羽目になるとは…。いまさら全く経験が無いなんて言えないし……かと言ってルークの手を借りるなんてとんでもないからなぁ…)
経験のないノアとはいえそこは年の功。
男同士がどうやって夜の営みをするかという知識はあったものの、全く性に関する事柄に興味のなかったツケがこうした形で回ってくるとは思わなかった。
率先して準備まで引き受けようとするルークをなんとか押し留め、とりあえずルークからは隠した状態で自分で少しずつ慣らしてみようとするものの…やりづらい。痛みを遮断する魔術のおかげで痛くないのだけが不幸中の幸いだろうか。
(まぁそうだよな、普通はこんなことに使う場所じゃないし…勝手に濡れもしない臓器の一部だ。十中八九血を見る覚悟が必要だな…)
それでも今のノアにとって、自分の身体よりも優先すべきはルークの正気を早く取り戻すことだと思っていた。
だから目の前のルークの顔が曇っていることにも気づいていなかった。
「あの、ノア様…」
「…ん?なんだ?」
「後でどれだけ叱っていただいても構いません。ですのでどうか…僕に任せていただけないでしょうか?あなたにお辛そうな顔をこれ以上させたくはないのです」
「い、いや…でも、さすがにルークにこんなことをさせるわけにはいかない。第一他人のこんな場所を触るなんて汚いだろ」
「ノア様はどこもかしこもお綺麗ですから大丈夫です。痛くないようにします、嫌になったらいつでも止めていただいて結構です。ですからどうか…」
まるで捨てられた子犬のようにルークは悲しそうな顔でノアを見上げる。図体は立派な大型犬だが。
だがこれ以上やっていても希望が見出せないのは事実。自分では入り口をぐちぐちと拡げるだけでも精一杯なのだ。
「う、ぐ……わ、わかった…。けど、お前も嫌だったらすぐにやめろよ。無理にやれとは言ってないからな」
「わかりました。それではまずうつ伏せになっていただいて、お尻だけ高く上げていただけますか?」
「は、はぁ…!?そんな…これ以上恥ずかしい格好できるわけ…」
「ノア様の負担を少しでも軽減するためなんです。もし気になるなら僕は目隠しでもしましょうか?」
「い、いらない!わかったよ!やればいいんだろ!」
ノアはもはやヤケクソになっていた。
ルークに背を向けベッドにうつ伏せの状態になる。そこからお尻を高く上げないといけないのだが、どうしても足が震えてしまって中途半端に不恰好なものになってしまった。
(まだ何もしてないのにこんなに恥ずかしいなんて…!皆こんなことが普通にできるのか…!?)
「ありがとうございます。それでは触れますね」
「いいから…!もう一思いにやってくれ…!」
身を固くしてその瞬間を待っていると、ぴたりと冷たい感触が張り付いた。
「ひ、ぃ…えっなに…!?」
「蜜草と香油を合わせたものです。潤滑油として重宝されているみたいですよ。リリシュさんに『女の子とする時に使ってあげてね』と渡されていたものが役に立ちました」
「そ、そうか…まぁ、そうだよな…」
(女の子…普通に考えればそうだよな。今回の場合が異常だけであって、ルークにとっても相手は女性がいいに決まっている。俺は子供は望めないどころか、種族だって違うわけだし…)
「痛くは無いですか?」
「う、うん…今のところは大丈夫…」
潤滑油を使っているおかげか、自分でやっていた時よりもスムーズに身体は順応し始める。先ほどまでの痛みもようやく治まり、ノアはこれなら何とかなるかと思った。
「た、多分そろそろ大丈夫だろ…。もう挿れても…ひ…ッん……!?なに今の…っまさか…俺の声…っあ…ルーク、ダメだ…っ!や…ッい、一旦止めろ…!」
「どうしてですか?僕はノア様に悦くなっていただきたいだけですよ」
「だか、ら…それが、ダメなんだ…ッう……ンく…っおれ…俺のこと、は…いいから…!」
「いいえ、あなたを蔑ろにするはずはありません。ましてや、愛している人に無理をさせるわけがないじゃ無いですか」
「それは…!」
今すぐその気持ちは間違いなのだと言ってしまいたかった。けれどここで幻と思われている自分まで否定して、ルークの心が永遠に閉ざされてしまっては元も子もない。
「俺が…恥ずかしいんだ…!も、頼むから…はやく、ルーク……!」
自分から誘ったことなんてあるわけがない。しかしこのまま羞恥に耐え抜くというのはノアには無理があった。
「ノア様……。えぇ、あなたの仰せのままに…」
月明かりしかない闇夜の中、ルークの目がまるで獲物を見定めるかのように細く眇められた。
40
あなたにおすすめの小説
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
氷の支配者と偽りのベータ。過労で倒れたら冷徹上司(銀狼)に拾われ、極上の溺愛生活が始まりました。
水凪しおん
BL
オメガであることを隠し、メガバンクで身を粉にして働く、水瀬湊。
※この作品には、性的描写の表現が含まれています。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。
過労と理不尽な扱いで、心身ともに限界を迎えた夜、彼を救ったのは、冷徹で知られる超エリートα、橘蓮だった。
「君はもう、頑張らなくていい」
――それは、運命の番との出会い。
圧倒的な庇護と、独占欲に戸惑いながらも、湊の凍てついた心は、次第に溶かされていく。
理不尽な会社への華麗なる逆転劇と、極上に甘いオメガバース・オフィスラブ!
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
イケメン俳優は万年モブ役者の鬼門です
はねビト
BL
演技力には自信があるけれど、地味な役者の羽月眞也は、2年前に共演して以来、大人気イケメン俳優になった東城湊斗に懐かれていた。
自分にはない『華』のある東城に対するコンプレックスを抱えるものの、どうにも東城からのお願いには弱くて……。
ワンコ系年下イケメン俳優×地味顔モブ俳優の芸能人BL。
外伝完結、続編連載中です。
【完結】初恋は檸檬の味 ―後輩と臆病な僕の、恋の記録―
夢鴉
BL
写真部の三年・春(はる)は、入学式の帰りに目を瞠るほどのイケメンに呼び止められた。
「好きです、先輩。俺と付き合ってください」
春の目の前に立ちはだかったのは、新入生――甘利檸檬。
一年生にして陸上部エースと騒がれている彼は、見た目良し、運動神経良し。誰もが降り向くモテ男。
「は? ……嫌だけど」
春の言葉に、甘利は茫然とする。
しかし、甘利は諦めた様子はなく、雨の日も、夏休みも、文化祭も、春を追いかけた。
「先輩、可愛いですね」
「俺を置いて修学旅行に行くんですか!?」
「俺、春先輩が好きです」
甘利の真っすぐな想いに、やがて春も惹かれて――。
ドタバタ×青春ラブコメ!
勉強以外はハイスペックな執着系後輩×ツンデレで恋に臆病な先輩の初恋記録。
※ハートやお気に入り登録、ありがとうございます!本当に!すごく!励みになっています!!
感想等頂けましたら飛び上がって喜びます…!今後ともよろしくお願いいたします!
※すみません…!三十四話の順番がおかしくなっているのに今更気づきまして、9/30付けで修正を行いました…!読んでくださった方々、本当にすみません…!!
以前序話の下にいた三十四話と内容は同じですので、既に読んだよって方はそのままで大丈夫です! 飛んで読んでたよという方、本当に申し訳ございません…!
※お気に入り20超えありがとうございます……!
※お気に入り25超えありがとうございます!嬉しいです!
※完結まで応援、ありがとうございました!
年下幼馴染アルファの執着〜なかったことにはさせない〜
ひなた翠
BL
一年ぶりの再会。
成長した年下αは、もう"子ども"じゃなかった――。
「海ちゃんから距離を置きたかったのに――」
23歳のΩ・遥は、幼馴染のα・海斗への片思いを諦めるため、一人暮らしを始めた。
モテる海斗が自分なんかを選ぶはずがない。
そう思って逃げ出したのに、ある日突然、18歳になった海斗が「大学のオープンキャンパスに行くから泊めて」と転がり込んできて――。
「俺はずっと好きだったし、離れる気ないけど」
「十八歳になるまで我慢してた」
「なんのためにここから通える大学を探してると思ってるの?」
年下αの、計画的で一途な執着に、逃げ場をなくしていく遥。
夏休み限定の同居は、甘い溺愛の日々――。
年下αの執着は、想像以上に深くて、甘くて、重い。
これは、"なかったこと"にはできない恋だった――。
勇者様への片思いを拗らせていた僕は勇者様から溺愛される
八朔バニラ
BL
蓮とリアムは共に孤児院育ちの幼馴染。
蓮とリアムは切磋琢磨しながら成長し、リアムは村の勇者として祭り上げられた。
リアムは勇者として村に入ってくる魔物退治をしていたが、だんだんと疲れが見えてきた。
ある日、蓮は何者かに誘拐されてしまい……
スパダリ勇者×ツンデレ陰陽師(忘却の術熟練者)
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる