その勇者はバス停から異世界に旅立つ 〜休日から始まった異世界冒険譚〜

たや

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地球にいる普通の少女から異世界の子供っぽい君へ

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すこしつんつんした髪の毛と子供っぽさが抜けずあどけない顔の君。

授業中は何を考えているのか分からない顔なのに休み時間になるとはっきりとした目と顔で友達と楽しそうに会話する君。

勉強はてんでダメだけど運動はまるで野生で育った獣のように活発に動く君。

近所の子供のために体を張ってボランティアやスポーツの練習に付き合う君。

そしてなにより人知れず私たちの為に夜を駆ける君。

寂しさを強く感じる君。



私達が住んでいる場所はお世辞にも都会とは言えない海と山に囲まれた場所。
もちろん生徒数も少ないから高校生になっても学校の半分は見知った人達。

だから昔から名前と顔は知ってはいた。
出会い、というか意識し始めたのは中学一年生夏の頃。

私はたまたま叔母さんのお店の手伝いが終わって海沿いを通った時、友達と遊んでいた君を見た。

だけど1人になった途端、見えない何かに恋焦がれるように夕陽に向かって孤独に座り込んでいた。

その横顔があまりにも寂しげで私の母性をくすぐってしまったのがきっかけ。

それから君から目が離せなくなって、どんな時も君の事を考えてしまい、終いには意識してしまって目を合わせて話すことすらままならないように。

それでも君のことを知りたくて私は私なりの方法でアプローチをした。

学校イベントで同じ仕事をしたり、野外学習や修学旅行も同じ班になっていろんな場所に行って同じ景色を見た。

決定打になったのは、私が叔母さんの店の手伝いが遅くなって夜道を歩いている時。

軽自動車くらいの大きさはありそうな犬みたいな変な動物に襲われそうになったら顔を隠した君が助けてくれた事。

恐怖で気を失ってしまったけどあれは紛れもなく君だったよ。
気がついたら家の前で寝てたから運んでくれたのも君だったんだよね。

そしめ高校生になっても君は特に変わることなく友達と楽しそうに話しては寂しげな顔をしていたのに。

そんなある日、転校生あの子達が来た。

『スノウ・メロウルです。今日から皆さまと学ばせて頂きますのでよろしくお願いいたします』

『中切綾音でっす!東京から越してきました!みなさんよろしくお願いしまーす!』

確かに可愛い子達だけど私と君には関係ないよね。

『うん!だって昔、将来を誓い合ったんだ!』

そう思っていたら転校生のうちの1人、中切綾音が言った。

待って待って待って
どういうこと?どういうことなのこれ?

君とあの子の関係が知りたくて歓迎会のカラオケにも着いて行った。

『この機械みたいなの…リントの部屋で見たことある』

さらに追い討ちをたたみかけたのはもう1人の外国人っぽい転校生。

さらにさらにこの転校生2人は学校が終わると君の家に直行。

中切さんは夜になったら帰るけどメロウルさんは出てこやんかった



つまり、つまりな?
君とメロウルさんは同じ家に住んでるってことじゃんな?
だもんで毎朝一緒にくるってことじゃんな?
そういう事じゃんな?
同郷で付き合い長いからって余裕かましてほっといたらかんってことじゃんな?



それにあの子達が来てから君の寂しそうな顔が少なくなった気がする。

そして先月から金土日に遊びに誘っても絶対に来ないって…

ちょっと怪しいって思ったから君の家の近くで隠れてたら見慣れない格好をした君と中切さんとメロウルさんの3人が出てきた。

まるでこれから過酷な場所に旅をしに行くのかと言わんばかりの服装、メロウルさんはちょっとおしゃれな制服みたいなのだったけど。

そしてバス停から変なバスに乗ったと思ったらそのバスが空飛んでどっか行っちゃった。

このバス停はもう使われてないはず。
しかも19時なら車通りもそこそこあるはずなのに不自然に人や車は通らない。

まるで

「ねぇ日向くん。君は一体どこで何をしてるの?」

自室にてポニーのぬいぐるみを抱きしめながら意中の男子を想う。

「どうして中切さんとメロウルさんと一緒なの?どうして君はたまに酷い怪我で月曜日学校に来るの?どうしてあの子達が来てから楽しそうな顔をしてるの?どうして寂しそうな顔をしていたの?どうしてあの夜私を助けてくれたの?どうして毎晩女子2人を家に連れ帰ってるの?どうしてメロウルさんは家から出てこないの?どうして中切さんは将来を誓い合ったなんて言ったの?どうしてメロウルさんはカラオケの映像を見て日向くんの部屋で見た事あるって言ったの?どうして変な格好をしていたの?どうしてバス停にいたの?どうしてあのバスは空に飛んだの?ねえ教えてよ日向くん、私知りたいよ。君のこともっともっと知って、君を支えたいよ…」

奥田奈央おくだなおは今日も日向凛斗ひなたりんとを想いながら眠りにつく。
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