異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g

文字の大きさ
344 / 482
ぼっちー世界の声を集める!?

344日目:記憶のレシピ、ついに完成

しおりを挟む

異世界に転移したらぼっちでした~観察者ぼっちーの日常~

344日目:記憶のレシピ、ついに完成


こんばんは、ぼっちーです。

昨日は、光る壁の奥で香辛料売りの少女に再会し、ついに「黒い種」を手に入れました。
モフの記憶を取り戻す、最後の材料です!
少女にお礼を言うと、ぼくたちの背後に、市場の路地裏へと続く出口が淡く光りました。


静寂から、再び喧騒へ

静かで良い香りの空間から一歩足を踏み出すと……再び、あの強烈な「音」と「匂い」の洪水に襲われました!
さっきまでいた場所があまりに清らかだったので、その落差はすごかったです。

「もふぅ! さっきまでの良い香りが、全部あの『しょっぱいチーズ』の匂いで上書きされちゃったよ!」

モフは鼻をくんくんさせながら、不満そうに叫びました。
先日はあれだけ感動していたのに、贅沢な鼻になったものですね。


パン屋へ、記憶の種を

ぼくたちは、一目散にパン屋のロウルさんの元へ走りました。
ロウルさんは、ぼくたちがもう戻ってきたことに驚き、ぼくが差し出した「黒い種」を見て、さらに目を丸くしました。

「これだ……これだよ! この種がなければ、レシピは完成しないんだ」

ロウルさんがそう言うと、モフは急に不安になったようです。
ぼくのパーカーのフードに隠れて、小さな声で言いました。

「ぼっちー、これ、本当に食べられるのかな? 食べたら、ぼく、どうなっちゃうの? おやつの味が分からなくなったりしない?」

モフにとって「記憶を失う」ことより「おやつの味を忘れる」ことの方が、よっぽど重大事件のようです。


焼き上がる、記憶のパン

ロウルさんは、ぼくたちの心配をよそに、レシピを広げ、黒い種をすり鉢で丁寧にすり潰し始めました。

「この種は、『沈黙』を『声』に変える力。パン生地に練り込むことで、その力が優しく体に染み渡るんだ」

ロウルさんが種をパン生地に混ぜ込むと、生地全体がほんのり黄金色に輝き始めました!
そして、あの「香りの記憶」の空間で嗅いだ、清らかで懐かしい香りがパン屋いっぱいに広がります。

「もふ! この匂い! ぼくの記憶が、今、パンになってる!」

モフは、不安も忘れてパン窯の前に駆け寄ると、ちょこんと正座して、焼き上がりをじっと待っています。
その姿は、まるで最高級のおやつを待つ時の、真剣な眼差しそのものでした。


今日のまとめ

 * 「香りの記憶」の空間から市場へ戻り、騒音と匂いの洗礼を再び受けた
 * パン屋のロウルさんに「黒い種」を渡し、ついに「記憶のレシピ」が完成した
 * ロウルさんが「記憶のパン」を焼き始めた
 * モフは、パンが焼き上がるのを(おやつとして)真剣な顔で待っている

いよいよ、モフの失われた記憶が明らかになる時が来ました。
……その記憶が「おやつのレシピ」とかじゃないことを祈るばかりです!


ぼっちー今日のひとこと

「モフの記憶、いったいどんな味がするんでしょうかね。……またしょっぱくないといいのですが」


プロフィール

 * 名前:ぼっちー(記憶のパンが焼き上がるのを、緊張して見守る観察者)
 * 相棒:モフ(自分の記憶がパンとして焼き上がるのを、真剣に待機する小さな相棒)
 * 今日の記録:市場への帰還/レシピの完成/記憶のパンの焼き上げ

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル
ファンタジー
 異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!  主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。  亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。  召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。  そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。  それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。  過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。 ――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。  カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

処理中です...