345 / 482
ぼっちー世界の声を集める!?
345日目:記憶のパン、聖獣の目覚め
しおりを挟む異世界に転移したらぼっちでした~観察者ぼっちーの日常~
345日目:記憶のパン、聖獣の目覚め
こんばんは、ぼっちーです。
昨日は、ロウルさんがついに「記憶のパン」を焼き上げました。
パン窯から取り出されたそのパンは、美しい黄金色に輝いていて、あの「香りの記憶」の空間で嗅いだ、清らかで懐かしい香りを放っています。
モフは、そのパンを前にして、ゴクリと喉を鳴らしました。
不安はどこへやら、もうすっかり「最高級のおやつ」を見る目になっています。
運命のひとくち
「さあ、モフ。これが君の記憶だ。……たぶん」
ロウルさんが、焼き立てのパンを冷まして、小さくちぎってモフに差し出しました。
ぼくは固唾を飲んで見守ります。
モフは、そのパンの匂いを深く吸い込むと、パクッと一口で食べました。
そして、ゆっくりと味わい……。
次の瞬間、モフの丸い体がピーンと硬直しました!
目を見開いたまま、まったく動きません。
「モ、モフ!? 大丈夫!? まさか、しょっぱすぎて固まったんじゃ……」
蘇った「守護者の掟」
ぼくが慌ててモフの体を揺さぶると、モフはハッと我に返り、ぼくを見上げました。
その瞳は、いつもの食いしん坊な瞳ではなく、どこか遠くを見つめるような、賢者のような眼差しです。
「……思い出したよ、ぼっちー」
「何を思い出したの!? 『古の約束』とか!?」
モフは、ゆっくりと首を横に振りました。
「ううん。『守護者の掟・最終条項』を思い出したんだ」
モフは、パン屋の作業台の上にすっくと立ち上がり、厳かに宣言しました。
「最終条項! それは! 『世界の声(=美味しいもの)を守るため、守護者はまず、その味を正しく評価しなければならない!』だよ!」
聖獣の使命、再確認
ぼくは、思わずずっこけそうになりました。
結局、モフの記憶の根幹にあったのは、「世界の声」=「美味しいおやつ」という、壮大な食の哲学だったようです。
ロウルさんも、その様子を見て静かに微笑んでいます。
「どうやら、彼にとって『沈黙』とは『美味しくないもの』、『声』とは『美味しいもの』として記憶が再構築されたようだね。このレシピでは、一部の記憶しか戻らなかったようだよ」
モフは、「記憶のパン」の残りをすべて平らげると、満足そうにため息をつきました。
「ぼく、守護者として目覚めちゃったみたい。ぼっちー、これからは『世界の声(=美味しいもの)』を探す旅が、もっと忙しくなるよ!」
モフの「失われた記憶」は、彼の食い意地を「聖獣の使命」として、公式に格上げしてしまったようです。
ぼくは、嬉しそうなモフの顔を見て、もう笑うしかありませんでした。
今日のまとめ
* 黄金色に輝く「記憶のパン」が完成し、モフがそれを食べた
* モフの体が硬直し、「守護者の掟・最終条項」に目覚めた
* 最終条項は、「世界の声(=美味しいもの)を正しく評価(=食べる)する」という内容だった
* モフの食い意地が、「聖獣の使命」として正式に認められた(モフの中で)
ぼくの相棒は、ただの食いしん坊じゃなくて、「食」の守護者(?)にもなったんですね。
ぼっちー今日のひとこと
「モフの記憶が少し戻ったのはいいけど、これ、ぼくのおやつ代の負担がさらに増えるってことじゃ……!?」
プロフィール
* 名前:ぼっちー(相棒の記憶が戻った結果、おやつ代の心配をする羽目になった観察者)
* 相棒:モフ(聖獣の使命に目覚め、世界の「美味しいもの」を評価する決意を固めた小さな相棒)
* 今日の記録:記憶のパンの試食/最終条項の覚醒/聖獣の使命(おやつ評価)
1
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!
Levi
ファンタジー
前世は日本で超絶貧乏家庭に育った美樹は、ひょんなことから異世界で覚醒。そして姫として生まれ変わっているのを知ったけど、その国は超絶貧乏王国。 美樹は貧乏生活でのノウハウで王国を救おうと心に決めた!
※エブリスタさん版をベースに、一部少し文字を足したり引いたり直したりしています
異世界に降り立った刀匠の孫─真打─
リゥル
ファンタジー
異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!
主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。
亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。
召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。
そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。
それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。
過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。
――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。
カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。
家ごと異世界ライフ
もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
