異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g

文字の大きさ
352 / 482
ぼっちー世界の声を集める!?

352日目:音が沈む森、無音の足音

しおりを挟む

異世界に転移したらぼっちでした~観察者ぼっちーの日常~

352日目:音が沈む森、無音の足音


こんばんは、ぼっちーです。

今日は、ついに「音が沈む森」へ、最初の一歩を踏み入れました。
モフはまだぼくのパーカーのフードにすっぽり隠れたままで、鼻先だけをくんくんさせています。


音が「消える」感覚

森の中は、想像していた以上の静けさでした。
いや、静けさというより、「無音」です。

ぼくが、パリッと乾いた枯れ枝を踏んだはずなのに、何の音もしなかったんです!
まるで、分厚い綿(わた)の上を歩いているみたいに、ぼくの足音も、服が擦れる音も、すべてが森に吸い込まれていきます。

ぼくは驚いて、モフに小声で話しかけました。

「モフ、これ、すごいよ。本当に音がしない」

すると、フードの中のモフが、ぼくの耳元でささやき返しました。

「ぼっちー! ぼくの声が、フードの外に出ないよ! 声が重たい!」


聖獣の嗅覚と、沈黙の「匂い」

音という「声」が完全に封じられたこの森で、頼りになるのはぼくの観察眼と、ぼくの方向感覚だけです。
……と思っていたら、フードに隠れていたモフが、急にひょっこりと顔を出しました。

「ぼっちー! この森、音はしないけど、匂いがする!」

「匂い? 木の匂いとか?」

「ううん、違う! なんだか、『すごく懐かしい匂い』と、『ちょっと湿った古い土の匂い』が混ざってる!」

モフは、市場での食べ歩きで鍛えた(?)嗅覚を、今度は「沈黙」の調査に使い始めたようです。
「聖獣の使命」は、耳がダメなら鼻を使え、ということなんでしょうか。


音を「食べる」コケ

モフは「湿った古い土の匂い」がする方へ、ぼくを導きました。

「こっちだよ! この『沈黙』、すごく湿っぽくて濃いよ!」

モフの鼻を頼りに森の奥へ進むと、ひときわ大きな古い木の前にたどり着きました。
その木の表面は、まるで毛皮のように、分厚いコケで覆われています。

ぼくがそのコケに触れてみると、ぼくの手が発するわずかな音(摩擦の音)すら、コケに吸い取られていくのが分かりました。

「これだ! モフ! このコケが、森の音を全部『食べて』るんだ!」

モフは、そのコケをじっと見つめ、真剣な顔で言いました。

「このコケ、『お腹いっぱい』って言ってるよ。でも、『まだ足りない』とも言ってる……」

どうやらこの森の「沈黙」の正体は、この音を食べるコケのようです。
そして、このコケが「声」を求め続けている。
ぼくたちの旅は、このコケの「沈黙」と向き合うことになりそうです。


今日のまとめ

 * 「音が沈む森」に足を踏み入れ、枯れ枝を踏んでも音がしないという無音の世界を体験した
 * 音が聞こえないため、モフが「匂い」で「沈黙」の調査を開始した
 * モフの嗅覚を頼りに、森の奥で音を食べる「コケ」に覆われた大木を発見した
 * このコケが、森の「沈黙」の正体であり、「声」を求め続けていることが判明した

音がない森での冒険。ぼくとモフの、本当の「観察力」が試されそうです。


ぼっちー今日のひとこと

「音がない森って、モフのおやつ(袋)を開ける音も、静かに消えちゃうんですかね?」


プロフィール

 * 名前:ぼっちー(無音の世界で、コケの正体を突き止めた観察者)
 * 相棒:モフ(耳がダメなら鼻を使う、嗅覚で「沈黙」を追跡した小さな相棒)
 * 今日の記録:無音の森への進入/音を食べるコケの発見/沈黙の匂い

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル
ファンタジー
 異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!  主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。  亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。  召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。  そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。  それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。  過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。 ――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。  カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...