377 / 482
ぼっちー世界の声を集める!?
377日目:揺らぐ景色、嘘つきな蜃気楼
しおりを挟む異世界に転移したらぼっちでした~観察者ぼっちーの日常~
377日目:揺らぐ景色、嘘つきな蜃気楼
こんばんは、ぼっちーです。
「陽だまり石」たちが集まる丘を越え、さらに奥地へと進んでいます。
今日は雲ひとつない快晴。
遮るものがない荒野では、太陽の日差しがジリジリと肌を焦がします。
地面から立ち上る熱気で、遠くの景色がユラユラと揺れて見えます。
幻の湖、聖獣の幻覚
「ぼっちー! あそこ! あそこに**『冷たいジュースの湖』**があるよ!」
暑さでぐったりしていたモフが、突然元気を取り戻して前方を指差しました。
モフの指差す先を見ると、確かに遠くの地平線に、キラキラと水を湛えた水面のようなものが見えます。
「本当だ。あんな所にオアシスがあるなんて」
ぼくたちは乾いた喉を潤すために、その湖を目指して駆け出しました。
しかし、走っても走っても、湖はちっとも近づきません。
それどころか、近づけば近づくほど、水面は揺らいで、空の彼方へ逃げていくようです。
「……あれ? 湖さんが逃げていくよ? 待ってー! ぼくはただ、ちょっと味見したいだけだよー!」
モフの必死の説得も虚しく、湖はフッと煙のように消えてしまいました。
それは、熱せられた空気が見せる「蜃気楼(しんきろう)」だったのです。
嘘つきな景色と、真実の植物
「うぅ……。嘘つきだ。あの景色、ぼくをぬか喜びさせた……」
モフはガックリと肩(?)を落とし、乾いた地面に座り込みました。
湖だと思っていた場所は、ただの乾燥した砂地でした。
しかし、ぼくはそこで奇妙なものを見つけました。
何もない砂地の中に、ポツンと丸くて太った植物が生えていたのです。
表面は緑色でトゲトゲしていますが、形はまるで「水瓶(みずがめ)」のようです。
「モフ、これを見て。蜃気楼は見えなくなったけど、代わりにこれが生えてるよ」
「……トゲトゲだね。これ、美味しいの?」
モフは疑いの眼差しを向けていますが、ぼくの観察眼が、この植物から微かに漂う「水気の匂い」を捉えていました。
砂漠の貯水タンク
ぼくはナイフを取り出し、その植物の厚い皮を少しだけ削ってみました。
すると、中から透明でみずみずしい果肉が顔を出しました。
「わっ! 中身はプルプルだ!」
モフが恐る恐るその果肉を舐めます。
「……ん! 冷たい! そして、ほんのり甘い水だ!」
それは「ミズガメサボテン」と呼ばれる、乾燥地帯で水を溜め込む植物でした。
幻の湖には辿り着けませんでしたが、その場所には、旅人の喉を潤すための小さな命が、ちゃんと用意されていたのです。
守護者の教訓
水分補給をして生き返ったモフは、食べ終わったサボテンの皮を頭に乗せて(日除けのつもりらしい)、満足そうに言いました。
「『守護者の掟・第十五条』……『大きな嘘(幻)に惑わされず、足元の小さな真実(おやつ)を見つけるべし!』」
なるほど。遠くの幻影を追いかけるより、目の前の確実な幸せを大切にしろということですね。
モフの食い意地からくる言葉ですが、なんだか深い教訓のように聞こえます。
今日のまとめ
* 暑さで揺らぐ景色の中に、幻の「ジュースの湖(蜃気楼)」を見た
* 追いかけても近づけない湖に、モフが失望した
* 湖が消えた跡地で、水を溜め込む「ミズガメサボテン」を発見した
* 幻ではなく、本物の水分と甘みで喉を潤した
蜃気楼は、この土地の「喉が渇いた」という声が見せた夢だったのかもしれません。
でも、夢から覚めた後にも、ちゃんと救いはありました。
ぼっちー今日のひとこと
「サボテンの果肉、冷えたゼリーみたいで絶品でした。幻のジュースより美味しかったかも?」
プロフィール
* 名前:ぼっちー(蜃気楼の正体を見破り、砂漠の植物の知恵に感心する観察者)
* 相棒:モフ(幻の湖に振られたが、サボテンの隠し水を見つけてご機嫌な小さな相棒)
* 今日の記録:陽炎(かげろう)/逃げる湖/ミズガメサボテン/砂漠の水分補給
1
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
家ごと異世界ライフ
もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!
Levi
ファンタジー
前世は日本で超絶貧乏家庭に育った美樹は、ひょんなことから異世界で覚醒。そして姫として生まれ変わっているのを知ったけど、その国は超絶貧乏王国。 美樹は貧乏生活でのノウハウで王国を救おうと心に決めた!
※エブリスタさん版をベースに、一部少し文字を足したり引いたり直したりしています
異世界に降り立った刀匠の孫─真打─
リゥル
ファンタジー
異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!
主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。
亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。
召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。
そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。
それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。
過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。
――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。
カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
