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ぼっちー世界の声を集める!?
396日目:風の止む場所、声の吹き溜まり
しおりを挟む異世界に転移したらぼっちでした~探検者ぼっちーの日常~
396日目:風の止む場所、声の吹き溜まり
こんばんは、ぼっちーです。
昨日は、世界中の風が吹き抜ける「風の回廊」で、見えない賑わいを感じました。
あんなに騒がしかった風の音が、回廊を抜けた途端、嘘のようにピタリと止んだんです。
目の前に広がっていたのは、緑の森でも、広大な海でもありませんでした。
そこは、ぽっかりと大地が口を開けたような、巨大な「盆地(クレーター)」でした。
灰色の静寂、世界の掃き溜め
「……ぼっちー。ここ、なんだかすごく『眠たい匂い』がするよ」
モフが鼻をヒクヒクさせて言いました。
盆地の中へ降りていくと、足元の感触が変わりました。
土や草ではなく、何かフカフカとした……いや、カサカサとしたものが堆積しているんです。
よく観察してみると、それは色あせた鳥の羽、枯れた植物の種、風化して読めなくなった手紙の切れ端、そして誰かが落としたであろう古びたボタンなどでした。
ここは、「風の回廊」を通って運ばれてきた世界中の「落とし物」が、風の止まったこの場所に降り積もる、いわば「吹き溜まり」だったんです。
「うわぁ……。世界中のゴミ箱みたいだね」
モフの言い方は直球ですが、的を射ています。
でも、不思議と汚い感じはしません。長い年月をかけて色が抜け、すべてが灰色の静寂に同化しているような、静かな墓場のような場所でした。
旅する種、安住の地?
「ねえ、ぼっちー。ここなら風も吹かないし、静かだよ。昨日の『種さん』も、ここでゆっくり休めるんじゃない?」
モフは、昨日「風の回廊」でキャッチした、透き通る羽を持つ種をポケットから取り出しました。
ずっと風に流されて旅をしてきた種です。静かな場所で根を下ろしたいはずだ、とモフは考えたのでしょう。
「そうだね。ここなら誰にも邪魔されずに眠れるかも」
ぼくたちは、盆地の中心にある、少し開けた場所に種を植えることにしました。
モフが張り切って、小さな前足で地面を掘ろうとします。
「よし! ここを『種さんのベッド』にするのだ! ……あれ?」
拒絶する大地
モフの手が止まりました。
地面が硬いわけではありません。積もった塵(ちり)は柔らかいのです。
でも、モフは困った顔でぼくを見上げました。
「ぼっちー、掘れないよ。この地面、『もうお腹いっぱい』って言ってる」
「お腹いっぱい?」
「うん。『これ以上、何も入らない。何も育てたくない。ただ眠らせてくれ』って……すごく頑固な『沈黙』がしてる!」
ぼくも地面に触れてみましたが、そこには生命力が全く感じられませんでした。
ここは、物が集まる場所ではあっても、命を育む場所ではなかったのです。
ただ物が積もり、朽ちていくだけの「終わりの場所」。
モフの手の中にある種も、心なしか光を失い、シュンとしているように見えました。
何かが足りない
「どうしよう、ぼっちー。このままじゃ、種さんが『ただのゴミ』になっちゃうよ……」
モフは悲しそうです。
せっかくここまで旅をしてきた種が、芽吹くこともなく色あせていくなんて、あまりに寂しすぎます。
「……諦めるのはまだ早いよ、モフ。この地面が『何も育てたくない』って言うなら、その理由があるはずだ」
ぼくたちは今日、この「風の止む場所」で野営をすることにしました。
この頑固な沈黙の大地を説得する方法が、きっとあるはずです。
だって、ぼくたちは「世界の声」を集めてきた「観察者」と「聖獣」なんですから!
今日のまとめ
* 「風の回廊」を抜け、風が止まり漂着物が集まる「巨大な盆地」に到着した
* そこは世界中の「落とし物」が堆積する、灰色の吹き溜まりだった
* モフが「旅する種」を植えようとしたが、地面がそれを拒絶した
* この大地には、命を育むための「何か」が決定的に欠けていると判明した
これまでの旅で、たくさんの「沈黙」を「声」に変えてきました。
今回の相手は、今までで一番手強そうな「虚無」の沈黙かもしれません。
ぼっちー今日のひとこと
「『世界の掃き溜め』と言うと聞こえは悪いですが、よく見ると珍しいボタンとかがあって、アンティークショップみたいですよ」
プロフィール
* 名前: ぼっちー(灰色の景色の中に、かつての旅人たちの痕跡を見つけ、少し切なくなった観察者)
* 相棒: モフ(種を植えられずにショックを受けたが、絶対に諦めないと決意した心優しき聖獣)
* 出会ったもの: 風の吹き溜まり、灰色の堆積物、拒絶する大地
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