異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g

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ぼっちー冒険記作家になる!?

222日目:出会いは雨宿りの下で

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異世界に転移したらぼっちでした~探検者ぼっちーの日常~

222日目:出会いは雨宿りの下で


こんばんは、ぼっちーです。

昨日は、ユレッサへの道中で不思議な羊皮紙の切れ端を拾った話をしましたが……
今日はまるでその続きを示すように、空からぽつりぽつりと、雨が降ってきました。

空が泣いてる——みたいな言い回し、昔よく聞いたけど、今日の雨はどちらかというと「黙って背中を押してくる雨」って感じでした。

そしてその雨が、ひとつの出会いを連れてきたんです。


小屋の軒下、ふたりと一匹

昼を過ぎた頃、急に雲行きが怪しくなってきて、慌てて小道の脇にある古びた小屋へ。
といっても、もう使われていないらしく、屋根は苔むしていて、扉は外れかけ。

でも、軒下だけはまだ頑丈で、雨をしのぐには十分でした。

「助かったね、モフ」
「もふぅ……(訳:ここ、ちょっと湿ってるけど許す)」

と、ほっとしたところに、トコトコともう一人。
フードを深くかぶった、細身の旅人が現れました。


静かに雨を聴く人

その人は、「入ってもいいかな」とぼくに問いかけて、軒下の隅に腰を下ろしました。

装備らしい装備はなく、背負っているのは細長い巻物だけ。
そして、雨音に耳を傾けながら、ぽつり。

「このあたりの雨は、魔力を洗うって言われてるの。記録者には必要な雨よ」

「えっ?」とぼくが聞き返すと、彼女(声でそうわかった)は少しだけ微笑んで、こう言いました。

「あなた、記録してるでしょう。ノートの書き方が、“書き慣れてる”手だもの」

……どきっ。
いや、まさかそんなことでバレるなんて!?


記録者同士の沈黙と共感

ぼくが「冒険記を書いてるんです」と名乗ると、彼女は「わたしも」とだけ返しました。

それ以上、名前も所属も言わない。
けど、話さなくても伝わる「記録をする者同士の静けさ」が、軒下に流れていました。

彼女がそっと手渡してくれたのは、濡れないように丁寧に包まれた小さな紙切れ。

そこには、こんな言葉が記されていました。

『言葉は沈黙の器。誰かの心に届くとき、ようやく音を持つ。』

たぶん、自分で書いたものなんだと思います。
まるで、ぼくの旅の記録にエールを送ってくれているみたいでした。


モフは濡れた苔に夢中

ちなみにモフは、軒下の苔スペースでテンションが上がってました。

「もふもふもふっ!!(訳:ふわっふわのひんやり!)」

あまりに気持ちよさそうだったので放っておいたら、彼女に「……それ、連れて帰るんでしょう?苔ごとになりそうよ」と笑われました。

なんかもう、モフが苔そのものみたいな勢いだったので、回収しました(笑)


雨が止むとき

やがて、空の音が少しずつ静まってきて。
最後のひとしずくが葉に落ちた頃、彼女はそっと立ち上がりました。

「ユレッサへ向かうんでしょう。きっと、書くべきことが見つかるわ」

そう言って、彼女はまたひとり、小道の先へと歩いて行きました。

ぼくは、そっとモフの頭を撫でて、手帳にこう記しました。

「今日の出会いは、言葉にならないものを教えてくれた」


ぼっちー今日のひとこと

「書くことは話すことじゃなくて、耳をすますことでもある——そんな日も、ある。」



プロフィール
• 名前:ぼっちー(雨宿りに哲学を見出す男)
• 相棒:モフ(苔と一体化したがるもふ生物)
• 今日の記録:雨の道中/記録者との出会い/言葉の力と沈黙の意味


次回は、魔法都市手前の不思議な家に宿泊!
ちょっと変わった“魔法学者”の話、聞いてみませんか?

それではまた、223日目の更新でお会いしましょう!
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