異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g

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ぼっちー冒険記作家になる!?

244日目:異国の記者と取材バトル?

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異世界に転移したらぼっちでした~探検者ぼっちーの日常~

244日目:異国の記者と取材バトル?


こんばんは、ぼっちーです。

今朝も昨日の「灯風亭」へ行きました。昨日の執筆時間がとても心地よかったので、今日もここで続きを書こうと思って。
モフは昨日のスコーンに味を占めて、「もふもふ(訳:今日は2個分の胃袋で来た)」とやる気満々。いや、胃袋は増えないよ?

でも――
カフェにいたのは、もうひとりの“書き手”でした。

 
灯風亭の奥の席にて

「きみ、昨日もいたよね? そのインク、東ルシエ産だ。いいセンスだ」

声をかけてきたのは、ぼくより少し年上に見える、端正な顔立ちの男性。
服装は異国風で、ジャケットの下に巻物のような布を重ねて着ていた。筆ではなく、奇妙な細長い鉄の道具を手にしていて、カチカチと何かを打っている。

「……それ、魔導記録具ですか?」

「お、察しがいいね。“写文機”だよ。記憶石を内蔵していて、思考ごと文字に変換するタイプの試作品」

さらっとすごいこと言ってる!?
ぼくが目を見開いていると、彼はにっこり笑って言った。

「僕はシャーリク・エスタ。通称“疾風の書き手”。君と同じ、“記録者”さ」


対決(?)のはじまり

なんとなく話が弾んで、席を向かい合わせにしたぼくたち。
話題は自然と「記録のやり方」に。

シャーリクさんは異国の新聞社に所属していて、主に海上交易都市の政治・貿易・人間模様を取材しているらしい。
一方ぼくは、「ちょっとした出来事」や「人の言葉」を拾って、物語のように綴っている。

「……で? 何を読者に伝えたいの?」

シャーリクさんの問いに、ぼくは言葉を詰まらせた。

伝えたいこと――うん、あるはずなんだけど。
上手くまとめようとすると、逃げていく。

代わりに、モフが口を開いた。

「もふもふ。(訳:ぼっちーは、誰かが気づかずに見過ごした一瞬を、ちゃんと拾って残したいんだよ)」

「……モフ。ありがとう」

「なるほどね。観察者タイプか。でも、それじゃ時代の流れは掴めないぜ?」

「それでも、個人の時間はそこにあると思うんです」

言葉にして初めて、自分の芯が見えてくる。
記録は、歴史のためだけにあるんじゃない。
ぼくにとっての“冒険記”は、小さな記憶を未来に繋ぐためのものだ。


記者 vs 冒険記作家

「よし、じゃあ勝負だ」

「え?」

「同じカフェ、同じ時間、同じ景色。だが記事の形はきっと違う。どっちが読み手の心を動かせるか、試してみようぜ」

「……面白いかも」

ぼくとシャーリクさんは、同時に記録を始めた。
彼は写文機で手早く文を刻み、ぼくはインクとペンで丁寧に文字を紡ぐ。

カフェに差し込む午前の光、窓辺のモフ、背伸びする店主の娘さん、そしてどこかに向かう船乗りの背中――
ぼくの冒険記は、それらを少しずつ編み込んでいく。

モフはというと、途中で紅茶をこぼして布巾をくわえて持ってくるという大事件(?)も起こしてくれた。
その姿、しっかり書いたよ、モフ。


勝敗より、大事なこと

書き終えたあと、シャーリクさんはぼくの原稿を読んで、ひとこと。

「……悪くない。“風の記録”って感じだな。柔らかくて、でもどこか切れ味もある」

「そっちは、“波を切るような記事”でした。鋭くて、先が見える感じ」

「……面白いな。こうも違うとは思わなかった」

そう言って、彼は立ち上がると、ポケットから銀色の記憶石をひとつ差し出した。

「僕の記事。お互いの記録を交換しよう。いつかまた、どこかで“続き”を書けるように」

「うん。ありがとう。絶対、またどこかで」

握手をして別れたあと、モフがぼくに小声で言った。

「もふ。(訳:勝ったと思う?)」

「うーん……どっちが勝ちっていうより、ちゃんと“書けた”ってことが、すごくうれしかった」


ぼっちー今日のひとこと

「伝える手段は違っても、“記す理由”がある限り、書き手はきっと友になれる」


プロフィール
• 名前:ぼっちー(冒険記作家、見習い卒業間近)
• 相棒:モフ(取材中に紅茶をこぼした功労者)
• 今日の記録:異国の記者との取材勝負/記憶石の交換


カフェの帰り、モフが見つけた古いコンパスが、不思議な動きをし始める。
北じゃなくて、南を――まるで“呼ばれている”かのように?

次回もお楽しみに!
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