異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g

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ぼっちー冒険記作家になる!?

245日目:コンパスが南を指した日

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異世界に転移したらぼっちでした~探検者ぼっちーの日常~

245日目:コンパスが南を指した日


こんばんは、ぼっちーです。

昨日、シャーリクさんからもらった記憶石を読み返して、あらためて「ぼくも、がんばろう……!」って気合い入れた朝でした。
風の強いベルガルドの街角で、旅人らしいことしたくなって、なんとなく雑貨屋にふらり。

「ここ、地図とか、あるかな?」

「あるよー、冒険用の簡易なやつと、あとほら、こんなのも」

おばあさんの店主がごそごそと棚の奥から出してきたのは、古ぼけた木箱。
中に入っていたのは、錆びかけたコンパスでした。だけど、何か……引っかかる。

「これ、壊れてますよね? 北を指してない……」

「壊れてなんかないさ。それ、“南を指す”コンパスなんだよ」

「えっ」


モフ、針を追う

店を出たあとも、そのコンパスが気になって仕方なくて、港のベンチでモフと眺めていました。
方位針は、まるで意志を持ってるみたいに、ぴたりと南を指したまま動かない。

「モフ、これ、変じゃない?」

「もふっ(訳:おなかがすいた)」

「いやそこじゃなくて!」

針をぐるぐる回しても、傾けても、船の影に入れても、指してるのはずっと“南”。
不思議に思ってると、モフがちょんちょんとコンパスをつついて、

「もふもふもふっ(訳:ちょっと歩いてみよ)」

と、すたすた歩き出しました。

おおおい、勝手に方向決めないで~!と思いながら、ぼくもモフの後を追いかけて……
なぜか、そのまま「南」へ、商業通りを抜け、港の外れへ。

気づいたら、見知らぬ灯台のそばまで来ていました。


風と、記憶と、潮の匂い

灯台のふもとには、もう使われていない小さな見張り小屋があって、誰もいないのに窓が開いていました。
中に入ってみると、風でめくれかけた古い帳簿と、地図が一枚、壁に留めてあった。

「これ……航路図? でも、ここに描かれてる島、今の地図には載ってない……」

モフが帳簿の間から、紙切れをくわえて持ってきました。
それは、手書きのメモ。

『風が止んだあの日、あの島が姿を消した。海の底か、それとも空の果てか。――記録者ナヴィル』

ナヴィル……どこかで聞いた名前。
たしか、転移者の記録をまとめていた本に一度だけ出てきた、“風を読んだ記録者”。

「モフ、もしかしてこれ……ただの方位計じゃないのかも」

「もふ(訳:知ってた)」
「……ほんと?」

モフは堂々とした顔でドヤってましたが、たぶん勘で動いてるだけです。それでも、結果オーライ。


南に、何がある?

古いコンパスが指している南には、何があるんだろう。
消えた島? 沈んだ記録? あるいは――新しい“誰か”との出会い?

海の向こうに、まだ知らない物語が待ってる気がして、胸がふっと高鳴りました。
モフはベンチの下で丸まって、鼻ちょうちんふくらませてるけど……。

「ねぇモフ、行ってみる?」

「もふぅ……(訳:朝ごはん付きなら)」
「うん。もちろん、三食とおやつ付きで」

決まりだね。
次の目的地は、コンパスが教えてくれる――その“南”へ!


ぼっちー今日のひとこと

「旅の方向を決めるのは、地図でも星でもなくて、“何かを信じる気持ち”かもしれない。」


プロフィール
• 名前:ぼっちー(南を目指す探検者)
• 相棒:モフ(コンパスより信頼されがち)
• 今日の記録:南を指すコンパス/消えた島の地図/モフの食欲コンパス


船乗りから譲り受けた、古ぼけた海図。
そして見つかった、冒険記に挟まれていた“焼け焦げたメモ”。
ふたつの断片が重なったとき、南の海の謎がひとつ、浮かび上がる……!?

次回もお楽しみに!
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