「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g

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第6話:妥協案は「デート」ですが、装備がガチすぎます


 決戦の朝が来た。
 俺、ルシアン・ヴァーデル(十九歳・Fランク冒険者)は、玄関ホールの鏡の前で気合を入れていた。
 今日の装備は、愛用の革の胸当てに、動きやすいカーゴパンツ、そして腰には使い古したダガー。
 どれも安物だが、半年間の冒険で馴染んだ相棒たちだ。

「よし、完璧。今日も元気に薬草採るぞー!」

 パンパンと頬を叩く。
 今日は記念すべき日だ。
 旦那様ことオルドリン様との和解を経て、初めての「同伴クエスト」へ行く日なのだから。

『君と一緒に、外を歩きたい』

 数日前、真っ赤な顔で言われた言葉を思い出して、俺の頬も少し熱くなる。
 デート、か。
 男二人で、行き先は魔物の出る森だけど。
 それでも、あの超忙しそうな旦那様が、俺のために休日を空けてくれたことは素直に嬉しかった。

「お待たせ、ルシアン」

 階段の上から、落ち着いた声が降ってきた。
 俺は笑顔で振り返った。

「おはようございます、旦那様! 今日は天気も良くて……」

 言葉が、喉の奥で詰まった。
 俺の笑顔が、ピキリと固まった。

 階段を降りてくるオルドリン様の姿が、あまりにも「ガチ」すぎたからだ。

 彼が纏っているのは、普段の仕立ての良いスーツではない。
 深い藍色をした、上質なローブ。生地の表面には、防御魔法の術式と思われる幾何学模様が、呼吸するように淡く発光している。
 手には、身の丈ほどもある長い杖。先端には赤ちゃんの頭ほどもある巨大な魔石が埋め込まれ、禍々しいほどの魔力を放っている。
 そして腰には、予備のワンド、ポーションホルダー(最高級品がずらり)、さらには護身用と思われる宝剣まで帯びている。

「……えっと、旦那様?」
「なんだ。準備は万端だぞ」

 オルドリン様は階段を降りきると、真顔で胸を張った。
 いやいやいや。

「その格好、何ですか?」
「何って、冒険用の装備だが。……変か?」
「変っていうか……それ、『魔王討伐・最終決戦仕様』ですよね!?」

 俺のツッコミに、彼はキョトンと首を傾げた。

「そうか? 蔵にあったものを適当に見繕っただけだが」
「蔵のレベルがおかしい! その杖、国宝級の『賢者の杖』じゃないですか! 教科書で見たことありますよ!」
「ああ、これか。出力調整が難しいからあまり使わないんだが、君を守るにはこれくらいの火力が必要かと思って」

 火力が! 過剰です!!
 俺たちが今日行くのは、王都から馬車で一時間の「キルデアの森」だ。
 出る魔物といえば、スライムか、せいぜいゴブリン。薬草採取がメインのピクニックコースだ。
 そんな場所に、戦術兵器を持ち込むような真似はやめていただきたい。

「旦那様、着替えてきてください。もっとこう、軽装で!」
「軽装……? しかし、もしドラゴンが出たらどうする」
「出ません! 百年出てません!」
「万が一ということもある。君のかすり傷一つ、私は許容できない」

 頑固だ。
 この男、俺の安全に関しては一歩も引く気がない。
 アイスブルーの瞳が「絶対に守る」という決意で燃えている。
 その重すぎる愛は嬉しいけれど、森の生態系が心配だ。

「……はぁ。分かりました。でも、杖の魔力は絞ってくださいね? 森を消し飛ばさないでくださいよ?」
「善処する」
 こうして、俺(村人A装備)と、旦那様(ラスボス装備)という、どう見ても釣り合わない凸凹パーティーが結成されたのだった。


 ◇◇◇

「いってらっしゃいませ、旦那様、奥様ー!!」

 屋敷の使用人総出の見送り(なぜか全員ハンカチで涙を拭っている)を受け、俺たちは馬車に乗り込んだ。
 目指すはキルデアの森。

 揺れる馬車の中、向かい合わせ……ではなく、当然のように隣同士に座る。
 オルドリン様は、出発してからずっとソワソワしていた。
 膝の上で手を組んだり、窓の外を見たり、チラチラと俺の方を見たり。

「……どうかしました?」
「い、いや。……その」

 彼は咳払いを一つすると、おずおずと右手を差し出してきた。

「手、を」
「へ?」
「……デート、だろう? 恋愛指南書に、手をつなぐものだと書いてあった」

 このイケメン「恋愛ハウツー本」なんて読んだのか!
 相変わらず真面目だ。そして可愛い。
 俺は苦笑しながら、差し出された大きな手に、自分の手を重ねた。

「はい、つなぎましたよ」
「……ッ!」

 俺が握り返した瞬間、オルドリン様の身体がビクッと跳ねた。
 そして、みるみるうちに耳まで赤くなっていく。
 繋いだ手は熱く、そして少し湿っていた。緊張しているんだ。
 世界最強の魔法使いが、手をつなぐだけでこんなに動揺している。

「……ルシアン」
「はい」
「悪くないな。……こういうのも」

 彼はボソリと呟き、俺の手をぎゅっと強く握り返してきた。
 痛い。握力が強い。
 でも、その痛さが「離さない」という意思表示みたいで、俺は少しだけ嬉しくなった。


 ◇◇◇

 森に到着した。
 鬱蒼と茂る木々、湿った土の匂い。
 いつもの俺の仕事場だ。

「よし、じゃあ行きますか! 今日の目標は『月光花』の採取です!」
「ああ。私の後ろを歩いてくれ」

 オルドリン様は杖を構え、油断なく周囲を警戒しながら歩き出した。
 その背中は頼もしい……を通り越して、殺気に満ちている。
 小鳥が驚いて逃げていくレベルだ。

「旦那様、もうちょっとリラックスしましょう? 殺気漏れてますよ」
「む……すまない。君に危険が及ばないかと思うと、つい」

 彼は肩の力を抜こうと深呼吸をした。
 その時だった。

 ガサガサッ!

 茂みが揺れ、低い唸り声が聞こえた。

「グルルッ……」

 現れたのは、一匹のワイルドボア(野生の猪)だ。
 Fランクの俺にとっては「逃げる一択」の相手だが、中級冒険者なら美味い夕飯にできる程度の魔物だ。

「あ、猪だ。旦那様、あいつ突進してくるんで気をつけて――」

 俺が注意喚起しようとした、その刹那。

「氷結(フリーズ)!!」

 オルドリン様が杖を一閃させた。
 詠唱破棄。予備動作ゼロ。
 杖の先から放たれた冷気が、奔流となって猪に襲いかかった。

 カキンッ!!!!

 空気が凍りつく音がして、次の瞬間には、そこには猪の形をした「氷の彫刻」が出来上がっていた。
 猪だけではない。
 周囲の木々も、地面も、半径十メートルが見事な銀世界に変わっている。
 鳥肌が立つほどの冷気。
 俺は口を開けたまま凍りついた(比喩ではなく)。

「……ふぅ。危ないところだった」

 オルドリン様は眼鏡の位置を直しながら、涼しい顔で振り返った。

「怪我はないか? ルシアン」
「……あ、あるわけないでしょう」
「そうか、よかった。……猪ごときが私の妻に牙を剥くなど、万死に値する」

 彼は氷像となった猪を冷ややかな目で見下ろしている。
 いやいやいや!
 オーバーキルにも程がある!

「旦那様! 凍らせすぎです! 素材! 肉も皮もカチカチじゃないですか!」
「む? しかし、瞬殺しないと君が怖がるかと」
「怖がりませんよ! 俺だって冒険者の端くれですから、これくらい……いや、逃げるけど!」
「逃げるのか(困惑)」

 オルドリン様は本気で不思議そうな顔をした。
 彼にとって「敵=殲滅するもの」であり、「逃げる」という選択肢はないのだろう。
 これが、強者の理論か。

「いいですか、旦那様。冒険っていうのは、ハラハラ感も大事なんです。全部一発で終わらせたら、ただの作業になっちゃいますよ」
「……そうなのか? 私は君に、恐怖など一ミリも感じさせたくないのだが」
「その気持ちは嬉しいですけど……俺の活躍の場も残してくださいよ。俺、ただ守られるだけのお姫様になりたいわけじゃないんで」

 俺は腰のダガーをポンと叩いた。

「俺だって、自分の身くらい守れます。……まあ、旦那様がいるから気が大きくなってるのもありますけど」

 最後の一言を付け加えると、オルドリン様はパチクリと瞬きをした。
 そして、口元を手で覆い、嬉しそうに目を細めた。

「……そうか。私がいるから、強気になれるか」
「ま、まあ、そういうことです」
「分かった。次は少し……手加減をしよう」

 彼は上機嫌で歩き出した。
 単純だ。
 こんなにわかりやすい人だったのか。
 でも、その単純さが、今は頼もしかった。


 ◇◇◇

 その後も、俺たちの「デート」は続いた。
 ゴブリンが出れば、オルドリン様が「ウィンドカッター(弱)」で優しく切り刻み(それでも一撃)、スライムが出れば「ファイアボール(極小)」で蒸発させた。
 手加減はしてくれているようだが、それでも規格外だ。
 俺のダガーの出番は一度もなかった。

「……はぁ、疲れた」

 一通り採取を終え、俺たちは開けた場所で休憩することにした。
 倒木に腰を下ろし、水筒の水を飲む。
 空は高く、風が気持ちいい。

「ルシアン、汗をかいているな」

 オルドリン様が、懐から真っ白なハンカチを取り出し、俺の額を拭ってくれた。
 その手つきの優しいこと。
 さっきまで魔物を瞬殺していた手とは到底思えない。

「ありがとうございます。……旦那様こそ、暑くないですか? そんな厚着で」
「魔力で体温調節をしているから平気だ。それより……」

 彼は空間収納(アイテムボックス)から、バスケットを取り出した。

「弁当を持ってきたんだ。シェフに作らせた」
「おお、さすが!」

 バスケットを開けると、サンドイッチやキッシュ、冷製スープなどが綺麗に詰められていた。ピクニックというより、野外パーティーだ。
 二人で並んで、サンドイッチを食べる。
 鳥のさえずりを聞きながら、他愛のない話をする。

「このサンドイッチ、美味いですね」
「ああ、君が以前好きだと言っていたからな」
「あそこの雲、スライムに似てません?」
「……すぐに消し飛ばしたくなる形だな」
「やめてください」

 穏やかな時間だった。
 俺はふと、横顔を盗み見た。
 オルドリン様は、サンドイッチを齧りながら、森の景色を眺めている。
 その表情からは、いつもの険しさが消え、とても穏やかだった。

「……楽しいですね」

 俺が呟くと、彼はゆっくりとこちらを向いた。

「ああ。……とても」

 嘘偽りのない、心からの言葉に感じた。

「私は今まで、森といえば『討伐対象』か『領地視察』の場所でしかなかった。こうして、ただ景色を楽しみ、君と食事をするために来たのは……初めてだ」

 彼は少し恥ずかしそうに笑った。

「君が冒険に惹かれる理由が、少し分かった気がする。……世界は、美しいな」

 その言葉に、俺の胸がギュッと締め付けられた。
 この人は、ずっと「当主」として、「最強の魔法使い」として、重責を背負って生きてきたんだろう。
 だから、こんな当たり前の「遊び」さえ知らなかった。
 俺がのんきに「自由だー!」と遊び回っていた間も、彼は屋敷で書類と格闘し、俺の安全を祈ってくれていたのだ。

「……旦那様」
「ん?」
「また、来ましょうね」

 俺はサンドイッチを持ったまま言った。

「これからは週一で、俺が外の世界を案内しますよ。森でも、海でも、隣町でも。……旦那様が知らなかった『楽しいこと』、俺が全部教えます」

 それは、俺からのプロポーズみたいなものだった。
 「これからもずっと一緒にいたい」という意思表示。

 オルドリン様は目を見開いた。
 そして、サンドイッチを置くと、俺の肩を抱き寄せた。

「……ああ。約束だ」
「はい、約束」

 キスをした。
 森の中で、誰に見られるわけでもない、二人だけのキス。
 口の中に、サンドイッチのマヨネーズの味と、ほんのり甘い紅茶の香りが広がった。
 ファーストキスはロマンチックな味じゃなかったけれど、俺にとっては最高に幸せな味だった。

「……よし! じゃあ午後も張り切って採取しますか!」
「ああ。任せておけ、森ごと刈り尽くしてやる」
「だからやめてくださいってば!」

 俺たちは笑い合い、再び森の奥へと歩き出した。
 俺の足取りは軽い。
 隣には、世界一強くて、世界一過保護なパートナーがいるのだから。


 ◇◇◇

 だが、この時の俺は気づいていなかった。
 オルドリン様の顔色が、出発時よりもわずかに白くなっていることに。
 そして、杖を握る手が、微かに震えていることに。

 彼は「手加減」をするために、膨大な魔力制御を行っていた。
 全力を出すより、力を抑える方が何倍も精神力を削るのだ。
 さらに、慣れない「デート」への緊張。
 寝ずに準備した疲労。

 最強の魔法使いの「限界」は、静かに、しかし確実に近づいていた。

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