国内唯一の聖女、辞職する。偽聖女の手伝いから解放されたら、優秀すぎて引っ張りだこでした

三葉あやの

文字の大きさ
4 / 10
1話目

3.異変

しおりを挟む
ミアのやり口はあまりに度を超えていた。

二人で寄ってたかって、嘘で固めた言葉で責められて心は冷え切っていた。

「ミア、ここは聖堂よ。あなたは仮にも聖女見習いという選ばれた立場で、民に支えられた民のために誠実に国に守っていかなければいけないことを把握しているの?」

「ダンさま!聞きましたか、いつもこんな風に抑圧的にミアをいじめるんです。ソフィア、ミアさんがあなたにない魅力を持っているからって執拗にいじめるのをもうやめてください!」

ユリアが白々しくミアを庇うように両手を広げる。

「ソフィア、一度出ていってくれないか」

ダンが静かに私を追い出そうとする言葉は、なんとなく流れを悟ってはいても、さすがに胸を突き刺した。

「ダン、私の言葉ではなく、ミアたちの嘘を信じるんですか? 」

「君が嘘をついていると確定がしていないよ...。ただ証言があって、こんなに二人とも怯えきっているというのに、君を庇えない。

それに...。」


ダンは何かを口ごもって、ミアと目を合わせた。

ミアは「言って、ダン様...。」と恥ずかしそうに目を伏せた。


ダンは優しく頷いて、一言告げた。

「君は知らないと思うけどミアと私は、君のいないところでも会う仲なんだ。

純粋で優しい彼女は嘘をつくとは思えない」

悪寒がした。

ミアは嬉しそうに「ダン様」と言ってダンの手をとると、ダンがミアの手を撫でる。

目の前の光景が、さすがに信じられなかった。

「婚約者がいる身分でありながら、他の女性との逢瀬を重ねていたということでしょうか? 」

冷静になろうと努めていても、さすがに紡ぐ言葉に怒気を含んでしまう。

一方でダンは当たり前のように、むしろ開き直ったのかと思えるほど飄々と答える。

「君がそこまで目くじらを立てる理由はわからないな。

君は手も握らせてくれなかったし、女性としての機能を果たしてくれなかった。

可愛らしく僕のことを頼ってくれるミアと過ごしたいと思ってしまうのは自然なことだと思う」

私はダンの発言に倒れそうになった。

聖女見習いとして清純を保たなければいけないのに、この人は何を言っているんだろうか。

そして、言いぶりからしてミアは聖女見習いの身分でありながら、ダンと進展した関係を持っているということなのか。

「君の真の姿を見破れなかった僕も馬鹿だったよ」

ダンに軽蔑の視線を送られて、さらにショックを受けた。

私はこの状況が信じられずにいると、顔がチクチクと痛み出すのを感じた。

「え?」

違和感を感じて顔の肌を触ると、皮膚がゴワゴワとするのを感じて、触ると、皮膚が剥け落ちていく。

「なんだ、ソフィア、それは。き、気持ち悪いぞ...!みんな離れろ!」

その声に3人を見ると、心底気持ち悪いものを見るような恐怖の表情を浮かべていた。

鏡を覗き込むと、私の皮膚は赤黒く腫れ上がり、綺麗だった肌がただれて次々に剥がれ落ちている。

「な、にこれ…」

鏡越しにミアがニヤリと笑うのが見えた。

そこで私はさっきミアにもらった粉を顔に塗ったことを思い出した。

「ひどい、ミアどうしてこんなことを!」

「急に、何言ってるの? ダン様、助けて、怖い!」

ミアはダンの腕にしがみつく。

「ねえ、ダン信じて! 全てミアが仕組んだことなの! 」

ダンに近づくと、「ヒッ! 化物みたいだ! 」と叫ばれて距離を置かれる。

「ダン、気をつけて。ソフィアはいつもここを抜け出して男との人と遊んでばかりいたから、そういう病気を持っているのかもしれないわ」

ダンは顔を真っ赤にして、ソフィアを突き飛ばす。

「近づかないでくれ! 髪も肌もボロボロで皮膚もそんな気持ち悪い君とはもうしばらく会いたくない! 」

私は突き飛ばされた状態の尻餅をついたまま、ただ呆然とした。

しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

聖女の任期終了後、婚活を始めてみたら六歳の可愛い男児が立候補してきた!

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
23歳のメルリラは、聖女の任期を終えたばかり。結婚適齢期を少し過ぎた彼女は、幸せな結婚を夢見て婚活に励むが、なかなか相手が見つからない。原因は「元聖女」という肩書にあった。聖女を務めた女性は慣例として専属聖騎士と結婚することが多く、メルリラもまた、かつての専属聖騎士フェイビアンと結ばれるものと世間から思われているのだ。しかし、メルリラとフェイビアンは口げんかが絶えない関係で、恋愛感情など皆無。彼を結婚相手として考えたことなどなかった。それでも世間の誤解は解けず、婚活は難航する。そんなある日、聖女を辞めて半年が経った頃、メルリラの婚活を知った公爵子息ハリソン(6歳)がやって来て――。

私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?

みおな
ファンタジー
 私の妹は、聖女と呼ばれている。  妖精たちから魔法を授けられた者たちと違い、女神から魔法を授けられた者、それが聖女だ。  聖女は一世代にひとりしか現れない。  だから、私の婚約者である第二王子は声高らかに宣言する。 「ここに、ユースティティアとの婚約を破棄し、聖女フロラリアとの婚約を宣言する!」  あらあら。私はかまいませんけど、私が何者かご存知なのかしら? それに妹フロラリアはシスコンですわよ?  この国、滅びないとよろしいわね?  

婚約破棄されたので、隠していた聖女の力で聖樹を咲かせてみました

Megumi
恋愛
偽聖女と蔑まれ、婚約破棄されたイザベラ。 「お前は地味で、暗くて、何の取り柄もない」 元婚約者である王子はそう言い放った。 十年間、寡黙な令嬢を演じ続けた彼女。 その沈黙には、理由があった。 その夜、王都を照らす奇跡の光。 枯れた聖樹が満開に咲き誇り、人々は囁いた。 「真の聖女が目覚めた」と——

ハズレスキル『自動販売機』を授かって婚約破棄されましたが、 実は回復薬も魔力食も出せる最強スキルでした

暖夢 由
ファンタジー
十八歳の成人儀式で授かったのは、誰も聞いたことのない《自動販売機スキル》。 役立たずと嘲られ、婚約者レオンには即座に婚約を破棄され、人生が崩れ落ちたように思えた。 だがそのスキルには、食べ物を作り、摂取すれば魔力を増やし、さらに“治癒効果”を付与できるという隠された力があった。 倒れた母を救い、王都の名門・ヴァルセイン伯爵夫人を救ったことで、カミーラは“呪詛”という闇の存在を知る。伯爵邸で出会った炎の力を持つ公爵家次男レグナスとの出会いが、彼女の運命を大きく変えていく。 やがて王都全体に“謎の病”が蔓延。カミーラは治癒スープの炊き出しを行い、人々を次々と回復へ導く。 一方、病の裏で糸を引いていたのは………。 “無価値”と嘲られたスキルが、いま世界を癒し、未来を照らす光となる――。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

処理中です...