6 / 10
1話目
5.独房
しおりを挟む
私は一人、薄汚くて埃まみれの部屋に入れられた。
ガチャんと鍵を閉められて、私が一体何をしたというのだろうと、悲しくなった。
私をここまで連れてきた警備員は、心底気持ち悪そうに私を怖がっていて、走り去るように消えて行った。
まだお昼ではあったけど、あまりの衝撃と絶望で疲れていたので、ベッドに入るとあっという間に眠気が来た。
「ソーフィア!」
そして、私を早々に眠りから呼び戻したのは、私が今一番聞きたくない声だった。
「どうやって中に入ったの? 」
「警備員さんから鍵を貸してもらったんだよ」
私をこんな目に追い込んだこの子は、警備員すらを魅了するのか。
「いくら化物みたいになったからってソフィアが一人ではかわいそうだから会いにいくんだーって私言ったの。
そしたらみんな私のことすごく優しい子だねって言ってた。
もちろんダンもだよ」
ミアは妬ましいほど、天使のような顔で笑う。
私もこんな風に愛らしく振る舞うことができたら、みんなから愛してもらうことができていたのだろうか。
「ミア、どうしてこんなことをしたの? 」
ミアはわざとらしく、首を傾げる。
「なんのことかわからないよ、ソフィア。
私ね、明日はダンと一緒にケーキを食べにいくの。
怖い目にあったから、気分転換をしようって」
ミアは口角を上げて、私に近づいてくる。
「でもそれってデートだから、ソフィアに悪いよって言ったんだけどね、どうしても私と一緒に居たいんだって」
彼はもう私のことはどうでもいいのだろうか。
いつからミアと繋がっていて、いつから気が移りはじめていたのろうか。
思うことは多かったけど、私は怒る力も泣く力もなくして、ただ無表情でミアを眺めていた。
ミアは少しむっとしたようにした後、自分の耳の髪の毛をかき上げる。
「ねえ、見て」
その耳に飾られたピアスを見て、私は目を見開いた。
「ミア、返して!!! 私の部屋から盗んだんでしょう」
ダンからもらったピアスだった。
初めてのデートで買ってもらった宝物だったのに。
「嫌だよー! ダンに聞いたら私が持ってて良いって言うんだもん。
それに、もうすぐそれもきっと私のものになるよ」
ミアが指差す先には、婚約指輪があった。
これをもらった時、どんなに嬉しかっただろうか。
家族に早々に売られ生きてきたけどダンと婚約したことで、これから家族ができてようやく一人じゃなくなると思った。
「それより、ソフィア。
私ここに来たのはおしゃべりなんてするためじゃないの」
ミアは私のベッドに腰をかけて手を伸ばす。
まだ私から何かを奪うつもりだろうか。
そう思っていると案の定、
「魔力貸してくれない? 」
ミアは堂々と要求をしてきた。
「ミア、あなた正気?
こんなひどいことをされて、私が魔力を貸すと思ってる?」
私はもう話たくもなくて、早くミアを追い出したかった。
でもミアは立ち上がる様子がない。
「思ってるよ」
ミアは私の髪を撫でる。
「だって、ソフィアが貸してくれなきゃ、ソフィアのせいで国の人みんな死んじゃうよ? 」
当たり前でしょう、と言うような表情でミアはため息をつく。
「ソフィアはひどい人なんだね」
自分のことを棚に上げて、天使の笑顔を被ったとんでもない悪魔がいると思った。
私は目の前が真っ暗になった。
「それから、ソフィアの身の回りのことは私が手伝いすることになったの。
ご飯も洋服も外出も、私が上手に言って止めようと思えば私が止めることができるんだよ。
職長にかわいそうだから私がお世話をしますって言ったら、感動して何も疑わなかったんだ。
だからソフィア、ご飯食べれなくなっちゃったら化物みたいな顔のまま餓死しちゃうよ」
無邪気にミアは笑う。
ガチャんと鍵を閉められて、私が一体何をしたというのだろうと、悲しくなった。
私をここまで連れてきた警備員は、心底気持ち悪そうに私を怖がっていて、走り去るように消えて行った。
まだお昼ではあったけど、あまりの衝撃と絶望で疲れていたので、ベッドに入るとあっという間に眠気が来た。
「ソーフィア!」
そして、私を早々に眠りから呼び戻したのは、私が今一番聞きたくない声だった。
「どうやって中に入ったの? 」
「警備員さんから鍵を貸してもらったんだよ」
私をこんな目に追い込んだこの子は、警備員すらを魅了するのか。
「いくら化物みたいになったからってソフィアが一人ではかわいそうだから会いにいくんだーって私言ったの。
そしたらみんな私のことすごく優しい子だねって言ってた。
もちろんダンもだよ」
ミアは妬ましいほど、天使のような顔で笑う。
私もこんな風に愛らしく振る舞うことができたら、みんなから愛してもらうことができていたのだろうか。
「ミア、どうしてこんなことをしたの? 」
ミアはわざとらしく、首を傾げる。
「なんのことかわからないよ、ソフィア。
私ね、明日はダンと一緒にケーキを食べにいくの。
怖い目にあったから、気分転換をしようって」
ミアは口角を上げて、私に近づいてくる。
「でもそれってデートだから、ソフィアに悪いよって言ったんだけどね、どうしても私と一緒に居たいんだって」
彼はもう私のことはどうでもいいのだろうか。
いつからミアと繋がっていて、いつから気が移りはじめていたのろうか。
思うことは多かったけど、私は怒る力も泣く力もなくして、ただ無表情でミアを眺めていた。
ミアは少しむっとしたようにした後、自分の耳の髪の毛をかき上げる。
「ねえ、見て」
その耳に飾られたピアスを見て、私は目を見開いた。
「ミア、返して!!! 私の部屋から盗んだんでしょう」
ダンからもらったピアスだった。
初めてのデートで買ってもらった宝物だったのに。
「嫌だよー! ダンに聞いたら私が持ってて良いって言うんだもん。
それに、もうすぐそれもきっと私のものになるよ」
ミアが指差す先には、婚約指輪があった。
これをもらった時、どんなに嬉しかっただろうか。
家族に早々に売られ生きてきたけどダンと婚約したことで、これから家族ができてようやく一人じゃなくなると思った。
「それより、ソフィア。
私ここに来たのはおしゃべりなんてするためじゃないの」
ミアは私のベッドに腰をかけて手を伸ばす。
まだ私から何かを奪うつもりだろうか。
そう思っていると案の定、
「魔力貸してくれない? 」
ミアは堂々と要求をしてきた。
「ミア、あなた正気?
こんなひどいことをされて、私が魔力を貸すと思ってる?」
私はもう話たくもなくて、早くミアを追い出したかった。
でもミアは立ち上がる様子がない。
「思ってるよ」
ミアは私の髪を撫でる。
「だって、ソフィアが貸してくれなきゃ、ソフィアのせいで国の人みんな死んじゃうよ? 」
当たり前でしょう、と言うような表情でミアはため息をつく。
「ソフィアはひどい人なんだね」
自分のことを棚に上げて、天使の笑顔を被ったとんでもない悪魔がいると思った。
私は目の前が真っ暗になった。
「それから、ソフィアの身の回りのことは私が手伝いすることになったの。
ご飯も洋服も外出も、私が上手に言って止めようと思えば私が止めることができるんだよ。
職長にかわいそうだから私がお世話をしますって言ったら、感動して何も疑わなかったんだ。
だからソフィア、ご飯食べれなくなっちゃったら化物みたいな顔のまま餓死しちゃうよ」
無邪気にミアは笑う。
0
あなたにおすすめの小説
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
聖女の任期終了後、婚活を始めてみたら六歳の可愛い男児が立候補してきた!
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
23歳のメルリラは、聖女の任期を終えたばかり。結婚適齢期を少し過ぎた彼女は、幸せな結婚を夢見て婚活に励むが、なかなか相手が見つからない。原因は「元聖女」という肩書にあった。聖女を務めた女性は慣例として専属聖騎士と結婚することが多く、メルリラもまた、かつての専属聖騎士フェイビアンと結ばれるものと世間から思われているのだ。しかし、メルリラとフェイビアンは口げんかが絶えない関係で、恋愛感情など皆無。彼を結婚相手として考えたことなどなかった。それでも世間の誤解は解けず、婚活は難航する。そんなある日、聖女を辞めて半年が経った頃、メルリラの婚活を知った公爵子息ハリソン(6歳)がやって来て――。
私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?
みおな
ファンタジー
私の妹は、聖女と呼ばれている。
妖精たちから魔法を授けられた者たちと違い、女神から魔法を授けられた者、それが聖女だ。
聖女は一世代にひとりしか現れない。
だから、私の婚約者である第二王子は声高らかに宣言する。
「ここに、ユースティティアとの婚約を破棄し、聖女フロラリアとの婚約を宣言する!」
あらあら。私はかまいませんけど、私が何者かご存知なのかしら?
それに妹フロラリアはシスコンですわよ?
この国、滅びないとよろしいわね?
婚約破棄されたので、隠していた聖女の力で聖樹を咲かせてみました
Megumi
恋愛
偽聖女と蔑まれ、婚約破棄されたイザベラ。
「お前は地味で、暗くて、何の取り柄もない」
元婚約者である王子はそう言い放った。
十年間、寡黙な令嬢を演じ続けた彼女。
その沈黙には、理由があった。
その夜、王都を照らす奇跡の光。
枯れた聖樹が満開に咲き誇り、人々は囁いた。
「真の聖女が目覚めた」と——
ハズレスキル『自動販売機』を授かって婚約破棄されましたが、 実は回復薬も魔力食も出せる最強スキルでした
暖夢 由
ファンタジー
十八歳の成人儀式で授かったのは、誰も聞いたことのない《自動販売機スキル》。
役立たずと嘲られ、婚約者レオンには即座に婚約を破棄され、人生が崩れ落ちたように思えた。
だがそのスキルには、食べ物を作り、摂取すれば魔力を増やし、さらに“治癒効果”を付与できるという隠された力があった。
倒れた母を救い、王都の名門・ヴァルセイン伯爵夫人を救ったことで、カミーラは“呪詛”という闇の存在を知る。伯爵邸で出会った炎の力を持つ公爵家次男レグナスとの出会いが、彼女の運命を大きく変えていく。
やがて王都全体に“謎の病”が蔓延。カミーラは治癒スープの炊き出しを行い、人々を次々と回復へ導く。
一方、病の裏で糸を引いていたのは………。
“無価値”と嘲られたスキルが、いま世界を癒し、未来を照らす光となる――。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる