孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi

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6章 それぞれの旅立ちとこれから

お勉強始めましょう?

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トイレも済ませて、用意された勉強部屋へ移動した一同は席に座る。おちび達は専用の小さな机と椅子に座りワクワクしている。


「おべんきょ~!おべんきょ~!」


おちび達は嬉しくて仕方がないらしい。ルルとアイリは持ってきた教科書を開いて準備する。教師である先王のヨルドは優しく見守っていたが、ふと何かを思い付いた様に教科書を閉じる。


「今日はワシとお主達の初めての授業じゃ!まずは自己紹介から始めようと思うんじゃがどうだ?」


「いいでしゅね~!」「じこしょーかい!」


喜ぶヨシュア達に何も言えずに、ルルとアンリは教科書を静かに閉じた。


「先ずはヨシュアからじゃ!」


「はーい!」


ヨシュアは元気良く返事をすると、立ち上がり前に出る。


「ぼくはヨシュアでしゅ。さんしゃいでしゅ!とうしゃんとかあしゃんのこどもでしゅ。もうしゅぐにーにになりましゅよ!」


「とうしゃんとかあしゃんのこどもって!」


ヨシュアの自己紹介に爆笑するアンリ。エチカは息子が可愛すぎて悶えている。


「ぶっ…ごほん!ヨシュアに質問があるか?」


「はーい!」


「はい、リク。」


「ヨシュアにしちゅもんでしゅ!しゅきなたべもにょはなんでしゅか?」


ヨシュアは考え込んでいる。


「うーん…いちばんはおにきゅで~そのちゅぎはケーキでしゅね!」


ヨシュアは想像したのか涎を垂らしながら答えているので、エチカが笑いながら拭いてあげている。昨日ヨシュアが屋敷にやって来た。よちよち歩く幼い我が子が可愛くて仕方がないエチカとランバートは、一生懸命に考えたヨシュア専用の部屋に案内した。


ヨシュアは自分の部屋がある事を物凄く喜んでくれた。大きいふわふわのベッドに勉強机、沢山のおもちゃに興奮して走り回っていた。この子に再び出会えてからオールドウィン家は明るさを取り戻して、活気が溢れる屋敷に戻った。


一番心配だった夜泣きは、1人で寝るのが寂しくて泣いただけで、エチカと一緒に寝るとすやすやと眠った。


そして今日、まだ早朝にも関わらずやって来たヨルド。眠い目を擦りながらヨルドに挨拶する健気なヨシュア。そんな可愛い孫に感動して大泣きして抱きしめるヨルドだが、力が強くてヨシュアが苦しがり怒ったエチカに説教される風景は、メイドや執事達を微笑ましくさせた。


昔、まだヨシュアがエチカのお腹にいた頃に、頻繁にやって来ては怒られるヨルドを思い出したのだ。ヨシュアが誘拐されてからエチカはヨルドにすら会わずに部屋に閉じ籠っていたから、従者達は今のこの状況が懐かしくて嬉しくなったのだ。


「ヨシュアは肉が好きなのか!」


「うん!じーじは~?」


「じーじも肉が好きだ!今度じーじと狩りに行こうな!」


「なにをかりりゅの~?」


ヨシュアの問いかけに笑うヨルドとアンリだった。
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