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第三章

十四話【よろしく】

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翌朝、ユグポンの中の中庭に描かれた、魔法陣の中に立つラミエルとドリー。

惣一郎達が見守る中、ドリーの枝の様な腕が広がりラミエルを包む。

「共に生きよう……」

ドリーの声を聞くのは、これが最後であった。

陣が青白く光り、徐々に眩しく白く世界を染めると、ゆっくりと消えて行く。

陣があった場所に影は、一つだけであった。

水色の長い髪で、少し成長した様に見えたラミエルが目を開ける。

白い自分の手を見つめ、立ちすくむ少女。

「大丈夫か?」

待てずに声をかける惣一郎に、色白の少女が振り向く。

「ああ…… めっちゃ調子ええで!」

『『『『 ん? 』』』』

ボロ布では可哀想と惣一郎が、似合いそうな白いワンピースを着せていた、清楚なイメージの服で、足を広げ屈伸を始める少女。

「体がめっちゃ軽いわ!」

目を丸くする惣一郎達の前に、可憐な少女はいなかった……

驚くスワロが「ラミエル殿?」っと、声をかける。

「ああ、どうなんやろな? ウチはラミエルなんかドリーなんか、よう分からんわ」

何故に関西弁?

少し大人びた少女が、体を動かしながら答える。

「なんや、アホみたいな顔して、上手く行ったんやで、惣一郎」

腕を振り、肩を回しながら微笑む顔は、嬉しそうなラミエルであった……




予想外の衝撃を受けた惣一郎が、なんとか自分を取り戻し、少女に話しかける。

「スキルは… スキルは制御出来てるのか?」

「ああ、問題あらへん! ただな~ 前みたいに木に潜ったりは、でけへんみたいやな」

「あっ、そうですか……」

ガサツにスカートを捲し上げ、動きずらそうな態度で返事をする少女。

ギャップが凄い……

「まぁ、木には潜れへんが、操るのは出来そうや! 魔力も上手く馴染んどる」

まっ、死なずに済んだだけでも……

良しとするか?

仲良くなりかけた、テルミナとマチリナも引いていた。

「主人よ、コレはドリーが強く残ったのだろうか?」

知らんがな!



そのまま中庭にテーブルを出し、深刻な顔の惣一郎達。

ミネアがお茶を配ると、お茶を啜る少女が、

「そんなんどっちでもええで、ラミエルでもドリーでも好きに呼んだらええ! どっちでもあるしな」

っと、ベンチで胡座をかき、目の前の煎餅に手を伸ばす。

またこのパターンである……

目を閉じ熟考をしていた惣一郎より先に、目を開いたスワロが、

「ゲイブリル…… いや、テノゲイブリルは! 二つが一つにって意味だ」

「なんか、ピンと来ませんね~」

ミネアも言うようになった。

悔しそうなスワロ……

惣一郎はまだ考え中。

関西弁、関西弁…… ヘイジ、トウジ、ヒメコにテンちゃん…… パーマンにもいたな~

すると、惣一郎に任せてはいけない予感がするテルミナが、

「ドリーとラミエルで[ドラミ]はどうですか?」

っと、恐ろしい事を言い出す!

流石にそれは……

だが、異世界で何も知らないみんなは、

「良いですね~ ドラミ!」

「ふむ、呼びやすい良い名だ」

「ドラミちゃん! 可愛いです」

「なんでもええで! ほなそれでいこか」

っと、高評価であった。

不味い…… 阻止しなくては。

「あ~ ゴホン! 俺が考えたヨンゴウはどうだろうか?」

「よろしくねドラミ!」

「改めてよろしくなドラミ殿!」

「ドラミちゃん、もっと動きやすい服の方が良いんじゃない?」

あれ…… シカト?






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