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十二章

十三話 【夢の魔法じゃ…】

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街を見て回っていると、ヒロヨシーからコールが入る。

すっかり忘れていた。

『惣一郎殿、その後ベリルの消息がさっぱりわからないのですが、何か動きはありましたか?』

『イヤ、ナニモナク、ヘイワソノモノダヨ』

『そうですか…… かえって不気味ですね。こちらも調べてはいるのですが、何も掴めずに』

『キット、ホンニンノナカジャ、オワッテイルノカモネ!』

『だといいのですが…… 何かあればまた連絡します! 以上』

『ナニモナイノハ、イイコトダヨ! アマリ、キオワズニ! イジョウ』

はぁ~ 胸が痛い……


惣一郎は忘れようと、砂漠の街を楽しむ!

白い漆喰の様な外壁の建物が並ぶ、白い街。

行き交う人は皆、布を纏い目だけ出している。

砂漠だな~っと、思わせる雰囲気の街だった。

だが、寒い……

普通砂漠なら暑いイメージなのだが、陽もまだ高い時間でこの寒さだ、夜はもっと冷え込むのだろうか?

街を歩いていると、ギルドらしい建物が目に入る。

情報を集めるついでにムカデも売るか!っと、中へ入る。

広く大きなギルドの割に、人は少なかった。

「すいません、買取って出来ますか?」

「ええ、奥のカウンターでお願いします」

奥へ行くと、カウンターで声をかける。

「いらっしゃい! ゲーゲートなら一匹12ギーだよ!」

まぁ、この辺りじゃ、それしかなさそうだな……

「大きいのだが、ここに出してもいいのか?」

「はい! 大丈夫ですよ!」

惣一郎がムカデを出すと、やっぱり騒ぎ出す。

「ちょ、ちょっと大き過ぎますよ! どこにそんな、兎に角、ウラ、裏にお願いします!」

「移動ですか? 別料金になりますが」

「え……」

すると、近くにいたウサギの獣人の女性が、

「もしかして、ジビカガイライの方ですか?」

あら、ここクピオの国でも有名人?

「ええ、そんな感じでやってます……」

どんな感じなのか。

「初めまして、ギルド長の[リリ]です! お噂はもう、ウフフッ!」

どんな噂だか……

「裏へどうぞ!」

そう言うと、ギルマスがムカデを消して裏へ案内する。

まさか、アイテムボックスか!

裏庭へ出ると、ムカデがいた!

「な、何したんですか?」

「テレポの魔法ですよ! ご存じ無かったですか?」

マジか! 夢の魔法じゃないか!

「転移魔法は、無いはずじゃ」

「転移魔法とは似て非なるものなのです!」

「詳しく知りたい! 教えて貰えませんか」

「その前に買取ですね!」

すっかり相手のペースに飲まれる惣一郎だった。

ムカデとワニを出し、買取をお願いする。

紫色のムカデに関心深く見入るギルマス!

「コレは最近噂のムカデと少し違いますね~」

すぐに他の職員や専門のドワーフを集め出して、話始める。

「惣一郎さん、このムカデ従来のものより硬い外殻ですし、ここじゃ無ければ相当な額になるかも知れませんが、もしお譲りくださるなら9,400ギーで如何でしょうか」

外殻の硬さならダンゴムシのが上だしな~ それを1,200ギーで売ったのに、なんか気が引けるな。

「ええ、その金額で、すいません」

「あ、ありがとうございます…… えっ何故謝るの?」

なんか金銭感覚が……

後日お金は、用意出来次第届けてくれるそうで、ゲーゲートの金額だけもらった。

「それと惣一郎さん、宿はお決めに? ギルドでは、ジビカガイライの方々には、場所を提供する様に連絡が来てまして、良ければこの裏庭をお使い下さいね!」

「ありがとうございます! それよりも」

「ええ、テレポですね!」

惣一郎は裏庭にベンチテーブルを出し、お茶を勧める。

「ありがとう、美味しいお茶ですね!」

「それで、その魔法の事を教えて欲しいのですが」

「ええ、勿体ぶってしまいましたね! あまりおすすめではないのですがね」

聞けばこのテレポの魔法、マジックバッグと同じで生き物は対象外で飛ばせないとの事。

しかも距離は10~15mがやっとであり、転送先に障害物があると発動しないそうだ。

大きさと距離で魔力消費も大きく変わり、便利そうで使いづらい魔法の様だった。

「なるほど、転移魔法とは違いますね」

「壁などの障害物があってもその先の転送先に何も無ければ荷を運べる分、テレキシスとは使い分けできるのですが、今では廃れていく魔法の一つです」

「そうですか…… 工夫次第では使えると思うのですがね~」

「私も先ほどのテレポで、ほぼ魔力は空ですよ! よほどの魔力量が無いと」

上手い話は無いと言う事か……


一応、街の魔導書店で購入出来るそうなので、行ってみる事にする。




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