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第十七章
九話 【畳み掛ける命運】
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「ご主人様、終わったよ~ お菓子ちょうだい…… あれ? ベリル?」
そういえば、ベンゾウには分かるんだっけか?
まぁ、ネウロなんだが……
「……また随分と強くなったな」
「分かるのか?」
「ああ…… 何者なんだこの子は」
「何者なんだろうな~」
「もぉ、奥さんでしょ!」
「初耳だが……」
「私もだ……」
「もう! お菓子!」
「我にも!」
近くの魔物を倒し戻ってきた、ベンゾウとクロは、お菓子をもらうと横に座り食べ始める。
「話を戻すか、それで蘇ったベリルの中身が違うというのはわかったが、奴の目的に心当たりはないのか?」
「すまん奴が何者なのか…… やっと、やっと願いが叶うと…… 最初は復活に時間がかかるのかと…… 姿が変わっても私の事も思い出してくれると思っていたが……」
ベリルが復活したとしても、もうネウロ自体、転生を繰り返し過ぎて誰だか分からんだろう……
そう喉まで出かかった言葉を飲み込む惣一郎。
「厄災を操るか…… 急いでここを出た方が良さそうだな」
「そういえば入り口を塞がれたのに、どうやって来たのだ?」
「他のダンジョンからだが」
「繋がっているのか?」
「みたいだな、こうやって来れたし」
「相変わらずデタラメだな、ゴキコロリよ。ジビカガイライの噂は私もよく耳にしたぞ、厄災を倒して回ってるんだってな」
「まぁな」
「頼む! ベリルを…… 奴を止めてくれ!」
「ダンジョン勧めた俺にも責任があるしな、やるしかないだろ」
「すまない……」
惣一郎はネウロ以上に、自分の責任じゃないだろうかと思っていた。
まさか本当にダンジョンで、死者が蘇る薬を手に入れるとは、思ってもいなかった。
生きる希望を失くしたネウロに、生きる希望を持たせたかった惣一郎。
そして惣一郎には、もっと気になる事があった。
この世界が必要としていた魔王が、いない状態にしたのは惣一郎自身。
世界が代役を作ろうとしている様に思えて仕方なかった……
『世界だかなんだか知らないが、そのシナリオを俺がぶっ壊してやる!』
っと、勝手な妄想に勝手な決意を固める、惣一郎であった。
「取り敢えずネウロ! お前は記憶を失くしたイグラシオを貫くんだ」
「あ、ああ、わかった……」
「ベンゾウ! 強敵だ、勇者としてのお前の力が必要だ、頼むぞ!」
「おお~!」モグモグ
コイツ…… わかってなさそうだな……
まぁ、まずはここを全員で脱出だ!
惣一郎はテーブルを仕舞い、ギドのところへ向かう。
みんなの所に戻ると、サリーワイズから詳細を聞いていたミコ達と一緒に、ギドが青ざめていた。
「厄災が混じってる女だと……」
「ああ、厄災を食って強くなってるらしいぞ」
「惣一郎、話がある!」
青ざめたゴツい男は額に汗を光らせ、惣一郎を連れ出そうと話しかける。
「厄災を操り、混じる者に心当たりがある」
ギドのその様子に、急ぎダンジョンを出たい惣一郎だったが、またみんなと距離を取り、話を聞く事にする。
「心当たりとは?」
「俺がこの世界に呼ばれた理由が、その厄災が混じる者だ」
「はい?」
「俺がこの世界に呼ばれた理由が……」
「いや、ちゃんと聞こえてるよ! どういう事だ?」
「37年前、この世界の均衡を崩す[厄災の女王]と呼ばれる者を倒すという使命を担い、この世界に飛ばされた俺は、人知れず奴を封じ込める事に成功した」
「封じ込めた?」
「ああ、奴は完全じゃなかった…… その強さは厄災を喰らい完全体へとなっていく。だから奴をスキルで孤立させ続け、飢えさせると徐々に力を失い奴は最後、卵へと還って行ったのだ」
「卵へ?」
スキルの相性も良かったのかな?
「当時は神の加護もあり、長い戦いだったがなんとか俺は卵を火山に沈め、残された厄災をその火山のある島に閉じこめ守って来た。だがどうやってあの火山から卵が!」
「別者という線は?」
「厄災を従え、混ざる者など他に考えられん!」
「以前、厄災を召喚し過ぎて、自ら厄災に姿を変えていった奴を倒したが」
「厄災の召喚には肉体の対価がいる。そいつは厄災に飲まれたのだ、混じってる訳じゃない」
まぁ理性は無かったしな……
「その卵ってどんなだ?」
「黒緑の小さい玉だが」
………
「お~い、ネ……イグラシオ!」
「呼んだか?」
「魂丸って、見た目どんなだった?」
「黒緑色の小さな……」
あっ、そうですか………
そういえば、ベンゾウには分かるんだっけか?
まぁ、ネウロなんだが……
「……また随分と強くなったな」
「分かるのか?」
「ああ…… 何者なんだこの子は」
「何者なんだろうな~」
「もぉ、奥さんでしょ!」
「初耳だが……」
「私もだ……」
「もう! お菓子!」
「我にも!」
近くの魔物を倒し戻ってきた、ベンゾウとクロは、お菓子をもらうと横に座り食べ始める。
「話を戻すか、それで蘇ったベリルの中身が違うというのはわかったが、奴の目的に心当たりはないのか?」
「すまん奴が何者なのか…… やっと、やっと願いが叶うと…… 最初は復活に時間がかかるのかと…… 姿が変わっても私の事も思い出してくれると思っていたが……」
ベリルが復活したとしても、もうネウロ自体、転生を繰り返し過ぎて誰だか分からんだろう……
そう喉まで出かかった言葉を飲み込む惣一郎。
「厄災を操るか…… 急いでここを出た方が良さそうだな」
「そういえば入り口を塞がれたのに、どうやって来たのだ?」
「他のダンジョンからだが」
「繋がっているのか?」
「みたいだな、こうやって来れたし」
「相変わらずデタラメだな、ゴキコロリよ。ジビカガイライの噂は私もよく耳にしたぞ、厄災を倒して回ってるんだってな」
「まぁな」
「頼む! ベリルを…… 奴を止めてくれ!」
「ダンジョン勧めた俺にも責任があるしな、やるしかないだろ」
「すまない……」
惣一郎はネウロ以上に、自分の責任じゃないだろうかと思っていた。
まさか本当にダンジョンで、死者が蘇る薬を手に入れるとは、思ってもいなかった。
生きる希望を失くしたネウロに、生きる希望を持たせたかった惣一郎。
そして惣一郎には、もっと気になる事があった。
この世界が必要としていた魔王が、いない状態にしたのは惣一郎自身。
世界が代役を作ろうとしている様に思えて仕方なかった……
『世界だかなんだか知らないが、そのシナリオを俺がぶっ壊してやる!』
っと、勝手な妄想に勝手な決意を固める、惣一郎であった。
「取り敢えずネウロ! お前は記憶を失くしたイグラシオを貫くんだ」
「あ、ああ、わかった……」
「ベンゾウ! 強敵だ、勇者としてのお前の力が必要だ、頼むぞ!」
「おお~!」モグモグ
コイツ…… わかってなさそうだな……
まぁ、まずはここを全員で脱出だ!
惣一郎はテーブルを仕舞い、ギドのところへ向かう。
みんなの所に戻ると、サリーワイズから詳細を聞いていたミコ達と一緒に、ギドが青ざめていた。
「厄災が混じってる女だと……」
「ああ、厄災を食って強くなってるらしいぞ」
「惣一郎、話がある!」
青ざめたゴツい男は額に汗を光らせ、惣一郎を連れ出そうと話しかける。
「厄災を操り、混じる者に心当たりがある」
ギドのその様子に、急ぎダンジョンを出たい惣一郎だったが、またみんなと距離を取り、話を聞く事にする。
「心当たりとは?」
「俺がこの世界に呼ばれた理由が、その厄災が混じる者だ」
「はい?」
「俺がこの世界に呼ばれた理由が……」
「いや、ちゃんと聞こえてるよ! どういう事だ?」
「37年前、この世界の均衡を崩す[厄災の女王]と呼ばれる者を倒すという使命を担い、この世界に飛ばされた俺は、人知れず奴を封じ込める事に成功した」
「封じ込めた?」
「ああ、奴は完全じゃなかった…… その強さは厄災を喰らい完全体へとなっていく。だから奴をスキルで孤立させ続け、飢えさせると徐々に力を失い奴は最後、卵へと還って行ったのだ」
「卵へ?」
スキルの相性も良かったのかな?
「当時は神の加護もあり、長い戦いだったがなんとか俺は卵を火山に沈め、残された厄災をその火山のある島に閉じこめ守って来た。だがどうやってあの火山から卵が!」
「別者という線は?」
「厄災を従え、混ざる者など他に考えられん!」
「以前、厄災を召喚し過ぎて、自ら厄災に姿を変えていった奴を倒したが」
「厄災の召喚には肉体の対価がいる。そいつは厄災に飲まれたのだ、混じってる訳じゃない」
まぁ理性は無かったしな……
「その卵ってどんなだ?」
「黒緑の小さい玉だが」
………
「お~い、ネ……イグラシオ!」
「呼んだか?」
「魂丸って、見た目どんなだった?」
「黒緑色の小さな……」
あっ、そうですか………
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