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不思議だ。
しおりを挟む「騎士様後少しだよ。」
ダンと呼ばれた子供は後からやってきた子供から荷物を持ち、町から離れたところの家まで道案内をしてくれた。
荷物の一部を私に持たせて。
「そういえばさぁ、騎士様名前は?俺ダンな。」
手入れされているだろう金髪。笑う顔は悪ガキだが随分と整った顔立ちだ。
「今更な質問だな。私はアリーシャと言う。」
「そう。騎士様。私はメリよ。」
可愛らしい顔をしている。私を助けたメリと言う幼女。なかなかいい性格のようだ。
荷物を一つも持たず全て私に預けてきた。
「フリンと言います。」
お辞儀してきた、後から来た少年。少し気が弱そうだ。
だが、やはり整った顔をしている。
「シスター!シスター!お客様来てるよ!期待せよ!」
ダンが大きな声を出した。その瞬間、家の敷地内や庭が有るところから様々な気配、目が感じた。
「はいはい。今行くわよ~。」
ゆっくりと扉が開くと、これまた珍しい黒髪と黒目の美少女が出てきた。
「あら、騎士様ねぇ。この子達何かやらかしましたか?それに、お荷物までお持ちいただいてありがとうございます。どうぞ中に入ってください。お茶をお出しいたします。」
私から全ての荷物を取った少女は子供達にまとわりつかれながら中に入っていった。
後に付いて行くと、誰かに見られているのはわかるが全く姿が見えないのが少し変なところだ。
「それで、騎士様。この子達悪さはしないはずですが何かありました?」
応接間らしき所に行くとすでにお茶の準備が出来ている。
「シスター。私の機転で騎士様を助けたのよ!大変だったんだから。シスターが好きそうな騎士様でしょう?私の演技、警邏を出し抜いたわ!」
メリが目を輝かせながらシスターの膝に寝転ぶ。
「メリ。グッチョブ!すごい。偉い!確かに女騎士様って、初めて見るわ!本の中の住人かとずっと思っていたのよー。警邏を出し抜いたとは、演技力上がってるわねぇ。さすが!」
…私、帰ってもいいだろうか?
「確かに私はメリに助けられた。有り難いことに仕事を無くさずにすんだ。感謝している。が、少し聞いても良いだろうか?ここは孤児院か?」
孤児院にしては、綺麗すぎる子達。見えない目達。
あまりにもおかしい。
「…孤児院よ。私的孤児院レイデン。戦争孤児や路上チルドレン。捨てられた子達の家よ。この前まで戦争があった。親を無くし孤児となった。私はそれに耐えられなかったの。これは私の偽善に過ぎないわ。見えるところしか私は救えない。この子達を生かすために私は…」
酷なことを聴いた。そう思った。
「私の技術。私の知識。私の常識を教え、より良い社会に出られるように、剣と魔法を教えたのよ!まさにファンタジーよね!」
メリが膝で笑っているぞ。
良くはわからないが、興奮しているのがわかる。
「子供達には、幸せな一生を生きて欲しいの。好きな人と出逢って親として歩んで欲しい。そのための場所よ。さぁ、騎士様もお疲れでしょう?本日はこちらでお休みになられたらいかが?」
「いや、私はこれで失礼する。」
立ち上がると、ダンとフリンがすがりついてきた。
「休んで行けよ。騎士様。急ぎじゃないだろ?」
「客室も有るよ?」
演技かもしれないが、
うるうるとした目に負けた。
「本日、お世話になります。」
客室に案内されてベッドに腰掛けふと、気がついた。
「…名前を聴かれた意味はなんだっんだ?」
一度も名前を呼ばれなかった。騎士様一点張りだ。
「おーい、騎士様、飯。ここにおいておくかんな。
騎士様。まだチビ達が慣れてないんだ。だからここで悪いけど。料理はおんなじだから。お風呂は一階の突き当たり右にある。ご不浄場所は一階に二カ所、二階に三カ所あるから。」
ダンが扉を足で蹴飛ばし、部屋に入ってきた。
「ありがとう。…風呂が有るのか。まるで貴族だな。」
「まあねぇ、シスターが綺麗好きなんだよ。1日1回はお風呂にってな。じゃあまた後で。」
食べて寝よう。とりあえず。
考えるのは後にしよう。
…ベッドふかふか!
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