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何故だ。
しおりを挟むいつもと違う天井をぼんやり眺め、いつもより上質なシーツの感触を肌で感じながらベッドから抜け出せない私。
「今日休みだ…。」
ふかふかのベッドに埋もれたまま目を閉じた。
「騎士様、朝だよー!朝は皆一緒に食べなきゃ!」
ダンが衣服を持って部屋に入ってきた。
「一般的な服のサイズはこれ。着れなかったら、他の女子に言えばサイズはすぐ直してもらえるし、こだわりたかったら相談して作ってもらって。」
「まだ五つの鐘が鳴ったばかりだか。朝早くないか?」
ベッドから上半身を起き上げ、ダンを見ると机に衣服を並べている。
「いや、遅いくらいだよ。早いやつは3の鐘や4の鐘で起きて準備や訓練してるし、内職をしてるやつもいる。騎士様一応お客様だから起こさなかったけど時間迫ってるし、女は着替えに時間かかるだろ?騎士様スカートとドレス、ズボンどれがいい?」
「服は私たちがやるし、あんた男なんだから外に出てなさい‼」
メリが女子を3人連れて入ってきた。
ダンに蹴りを入れて追い出すピンクの髪の少女。
「私、騎士様の髪いじりたいです。はじめまして、私はフリーと申します。」
シンプルだが上質とわかる生地のワンピースをきたピンクの髪の少女が綺麗なカーテンシーをした。
「騎士様~。私は肌のお手入れさせていただきます~。一応女なのだから適当なのは、ダメですよー。」
おっとりした三編みの少女が化粧道具を抱えていた。
「じゃ、私は服ね。ほら騎士様立って、立って。速くしないと朝食間に合わなくなちゃう。」
メジャーを持ち私の身体に当て採寸を始めたメリに、タオルで私の顔を拭いてある三編み少女と髪飾りを出し始めたフリー。
全員素早く動いているため、口を挟む暇がない。
「…支度は私もできるが、」
ようやく言えた時には、ほとんど終わっている状態とは、服の手直しと基礎化粧に髪もほとんど終了している。
「何言ってんの。落ちぶれたとは言え、元伯爵令嬢が時間無いのにこんなにはやく出来るわけ?大人しくしてて。騎士様。」
メリの言葉に思わず固まってしまった。
すでに私の家のことなど知っているのは、王族とかだけだ。昨日初めて会ったはずなのになぜそこまで詳しいのか?
「はい、終了~。」
「こっちも終わったよ。」
「じゃ、終わりね。騎士様、食堂に案内するわ。ほら、はやく。」
私の支度を終えた少女達が次々と部屋を出ていく。
急いでメリの後を追うが、頭の中は疑問だらけになった。
昨日は小さい子ども達が怯えるから1人で食べたのになぜとか、元伯爵令嬢と何で知っている?とかがあるが一番気になるのは、私、いつの間に着替えた?だ。
メリの後を追って食堂に入るとどこにいたと、言うぐらい沢山の子どもがいた。
「騎士様おはようございます。良く眠れましたか?」
シスターに声をかけられたが、声を掛けられるまで気配を感じなかった。
「…おはようございます。シスター、朝食私がご一緒しても大丈夫ですか?」
少し不思議な感じはするが、1つの疑問を聞いてみた。
「大丈夫ですよ。もう皆慣れたはずです。それより騎士様、本日はお仕事お休みだとか。もしよろしければ、この子達に剣術を教えていただけませんか?騎士希望の子も結構いるのです。」
「構わないが、なぜ私の休みを知って。」
シスターは笑みを浮かべると、一礼して、子ども達と接し始めた。
「騎士様の、席ここだよ。」
気の弱そうなフリンに袖を引かれて着いていくと、小さな子が机にスープを並べていた。
「何か私にも手伝えることはあるだろうか?」
フリンに聞くと小さく首を横に降られた
。
「座って?シスターきっと後で騎士様に無茶を言うから、今のうちにゆっくりしといた方がいいよ。」
無茶ではないがすでに剣術指導をする事を了承したと伝えると、フリンに手を合わせられた。
周りの子も変な顔をしている。
…なんだと言うのだ。
「シスターの挨拶が始まるから静かに。」
13くらいの子が声を出すと静かになった。
「みんなおはようございます。今日、仕事に行く人、内職する人もいるかもしれませんが、今日は特別に剣術指導してくださるかたが増えます。中庭でやるので、是非参加してね。勉強は5の部屋、礼儀作法は7の部屋でやるのでお願いします。じゃ、いただきます。」
挨拶が終わり、朝食となるが、違和感が凄い。
まず、食器が陶磁器だ。一部の貴族しか使われていないものが何故ここにあるのか。ナイフとフォークもシルバーだ。パンも通常は黒パンなのに、白のパンが置いてある。
そして一番はここの子ども達が食器を使いこなせていることだ。
普通孤児は使えないはずなのに、音もたてずに、上手く使っている。
食べてるときに喋らないのもおかしい。
子どもは食事時騒ぐはずだ。それが赤ちゃんは別だがそれ以外使えている。
カチャっと音が私の食器からした。
何故か全員シスターを見た。
「連帯責任。」
周りが静かなため、良く聞こえたが、凄く聞きたくない言葉を聞いた気がする。
フリンが私の手のひらに文字を書いた。『後で教えるから静かに。』
何故だ。
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