騎士と孤児院

マヤ

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戦場だ。

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私には夢があった。
騎士となってからの夢だが、団長のように強くなりたい。近衛騎士のように王城を守りたいと。
憧れた。凄く尊敬もした。


だが今、孤児達と戯れている人達を見て、意識が遠くなりかけたのは仕方がないと思う。

紺を基調とした制服に胸元に沢山の勲章を着けたルインベルツ第三騎士団長。


白の光沢が輝く制服に緑の2本線が入った服をきた近衛副隊長サインコラー様。

そして、年若い貴族の令嬢に騒がれているメガネが素敵な宰相補佐、ベヒィンシュリッツ様。

「なに、この顔ぶれ。」

「ねぇ、騎士様。この3人の出身知ってる?」

「あぁ、勿論。シテールだろ?有名な人達はだいたいシテールの人が多い。だがそんな国は地図にも乗ってない。」

「シテールは、隠語だもん。ここがシテールだよ。騎士様。」
フリンは私の隣に座りこんだ。

「なんだ、アリーシャ!シスターは今ここにはいないんだ。ガキどもをいたぶれるぞ!」
団長が剣を構え子ども達に降りかかった。

「団長!子ども達が危険で…す?」
軽々と避け、反撃をする子どもを見て、語尾が疑問になってしまった。

「ルインなんかに殺られるかよ。」

「おにぃ、手加減不要。」

鋭い金属がぶつかる音が聴こえるが、速くうまく見えない。

「ちょっとフリン!あんたも参加しなさいよ!」
メリが叫ぶが、フリンは軽く笑うだけだ。

「いかなくていいのか?」

「僕がいったらすぐに終わっちゃうから。弱くて。」
頭を軽く掻きながら言うフリンに私の仕事を思い出した。

「なら、私が基礎を教えよう。まず、剣を構えるところから。」

教えようとすると団長から声がかかった。

「今更、そいつを教えても意味ないぞ!シスターの代わりだ。こい!」
周りにいた子ども達が一斉に離れていきフリンを見た。

「…しょうがないか。行くよ。ルイン。」

いつ武器を持ちいつの間にか団長の方まで行き、重たい斬激が聞こえ始まった。

「始まったか、これじゃ近づけないな。メリが呼ぶからだよ。騎士様代わりになんか教えて。」

「仕方ないじゃない。負けそうだったんだもん。年取って少しは遅くなったかと思ったのにー!騎士様基礎はここにいる孤児はだいたいできるから大丈夫。」

「じゃ、僕は終わったから図書室に行ってくる。ルイン誰か運んどいて。」

フリンが会話に混ざってくるがあまりにも速い。後ろを向くと土の上に倒れている団長がいた。そして子ども3人くらいで団長が運ばれている。

「相変わらずフリンは速いな。騎士試験受ければいいのに。シスターに私は用事があるから失礼するよ。後で遊んでやる。」
子どもの頭を軽く叩きながら、ゆっくり去っていくサインコラー様。

ベヒィンシュリッツ様はすでにここにはいない。

「騎士様遊ぼうよ。」
子ども達が近づいて来るが正直に言うと怖い。ゆっくりと近づいて来る子ども達の手には武器が。笑顔なのに目が笑っていない、足音が全く聞こえないほどの静かに。

なるほど、私に合掌した子どもが全くここにはいないことに速く気づければよかった。


…ここは戦場だ。
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