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お昼だよな。
しおりを挟む「みんなそろそろ終わりにしてね。お昼になるから。騎士様も。」
手に籠を持ったシスターとサインコラー様、ベヒィンシュリッツ様が近付いてきた。
使っていた道具を片付ける子ども達を手伝っていると子ども達の顔色が悪くなっていた。
「そうそう、連帯責任忘れちゃ駄目よ。」
「シスター、まさか私達もですか?」
サインコラー様が苦笑いして尋ねる。
まだ、私は意味がわかっていないが、ベヒィンシュリッツ様の顔も強張っていることから辛いものだと思う。
「勿論。連帯責任ですから。まったく、相変わらず苦手なのかしら?」
シスターは笑うが、周りは全く笑っていない。
シスターの方がまだ若く見えるが、口振りからするとシスターの方が年上みたいだ。
「ダン聞きたいがある。何をやらされるんだ。」
「やるんじゃなくて飲むんだよ。行こう騎士様。」
ダンの顔色も悪い。
食堂に着くとやはり皆顔色が悪い。
動きも朝に比べてゆっくりしている。
「あら、騎士様。ずいぶん変な顔をしてるわね。」
メリは、他の子より平気そうだった。
「メリ、何を飲まされるんだ?」
「量は少ないんだけど、シスター特製栄養ドリンクよ。クソまずいのに見た目も真っ黒でドロリとしていて、飲むのに勇気が、飲んだら悶絶が待っているわ。慣れれば平気だから。」
メリは手を動かしながら軽く答えるが、聞いている周りの子どもが涙目になってる。
「あら、皆速いわね。じゃぁ、早速準備するわね。」
シスターがサインコラー様達を連れて来た。
一度食堂を出て戻ってきたシスターの手には黒い瓶が2本あった。
「あー。今日来なきゃ良かった。」
「久々ですね。体にはいいんですが匂いが…」
「我慢ですね。」
「嫌なら一気に飲みなさい。」
食器を手前ではなく奥に異動させる子達がいた。
食事の挨拶と共に全員が一気飲みをしていた。
そして、ほぼ全員が苦しみだした。
机に突っ伏し額を机に叩くものや椅子から落ち悶えているもの。
無事なのはまだ飲んでいない私とシスター、メリだけだ。
「ほら、騎士様もぐぐーっと。」
メリが飲むしぐさをして促してくる。
小さなコップに入った黒い液体。
鼻を近づけて嗅ぐとなんとも言えないにおいがした。
だが、これは私が食器を鳴らしたためだ。
一気に口に含むとものすごい味がした。
苦味酸味にエグい味が鼻まで通る。
臭い。
「…シスター。これは?」
なんとか声をだし質問をする。シスターもメリも驚いているが。
「初見でこれのんで喋った人がいるなんて。」
「特製の栄養剤ですよー。味を犠牲にしたぶん、とても体にいいのです。」
シスターは子ども達に食事を再開させる。
「その答えはもう聞いた。何が入っているんだ。」
答える度に、鼻から臭いが漏れる。
「秘密です。さ、騎士様もお食事しましょう。」
促され、目の前にあるものを食べるが、味がわからない。むしろ不味く感じる。
周りを見ると涙目で食事をする子が何人かいた。
味覚が一気におかしくなった。
「ねー。シスター飯ー。」
ルインベルツ団長が頭を擦りながら入ってきた。
惨状を見て踵をかえそうとするが、シスターに捕まってしまう。
「ルインベルツ、はいあーん。」
シスターには抗えないのかそれとも馬鹿だったのか、おとなしく口を開きシスターに飲まされる団長はすぐに崩れ落ちた。
周りを見ると昼食時の姿ではない。
悶え苦しみ、のたうっている子を見るとお昼だと思えなくなってしまった。
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