風魔術は最強でした! ~転生したらもふもふ猫だったので、風魔法で無双しつつ魔女のペットとして暮らしていきます~

子子

文字の大きさ
13 / 24
1章

12.魔の森へ 「テトが星獣だってばれたら、お父様に取り上げられるかもしれない」

しおりを挟む
『本当のことを言ったらいいんじゃないか? 庭を破壊したことは、俺も一緒に謝るからさ』

「……」
 アセリアは不満そうに、ぎゅっとテトを抱き締める。

「……テトが星獣だってばれたら、お父様に取り上げられるかもしれない……」

『あー。なるほど』

 星獣がどういうものなのか、テト自身まだよく知らない。アセリアから教えてもらう意外に知るすべがないからだ。

(けどまあ、この王宮で育った子がそう言うんだ。用心するに越したことはないか)

『それなら、俺のことは隠して君が覚醒したことにするのはどうだ?』

「え……でも……」

『突然魔力量が増えるって言うのはおかしなことか? 前例ない? そもそも魔力量ってどうやって測ってるんだ? 計器とかあるの?』

 立て続けに問いかけたテトに、アセリアは少し目を白黒とさせる。

「計器とかは、ないよ。魔術の発動の具合で、判断するの。だからたまに思ってたより多かった、みたいな話は聞いたことがある」

『よし、じゃあ、君が本来の力に目覚めたことにしよう! 大丈夫。俺が何とかフォローするから』

「……」

 テトはまだ迷っている様子のアセリアの目を見つめた。

『それにさ、これで君の評価が少しでも良くなれば、お母さんの待遇も良くなるんじゃないかと思うんだけど……』

 その言葉は劇薬のように効果的だった。

「わかった」

 アセリアは迷いながらも頷き、先生に向き直った。

「……実は先生。私、覚醒しました」

「え? 覚醒……ですか?」

「はい。今まで体の内側に眠っていた魔力が突然目覚めたんです」

「!?」

 きりり。そう音がしそうなほどに凛々しい顔て告げたアセリアに、ミント先生は目を向いて絶句した。



++++



 結局あのあと、アセリアは先生に魔術を見せ納得させた。先生は慌てて報告に行くといい、その日の授業は終わりになった。

 しかしそれから数日。

 待てど暮らせど、アセリアの暮らしに変わりはなかった。

『うーん、先生が報告してくれたんだよな?』

「したって言ってたよ。でも、別に私に魔力があったからって、どうでもいいのかも」

『世知辛いな……』

(うーん、この手は使いたくなかったが、こうなったら仕方ない)

『よし、じゃあこの件は忘れよう! それよりも強い魔術が使えるようになったからには、やることがある』

「やること?」

『ああ、それは――』




 午後。
 テトとアセリアは王宮の裏にある抜け穴から、こっそりと魔の森へと向かった。

 目的は先日アセリアが持ち帰った薬草――『ラディカ』というその薬草を見つけることだ。

 この薬草を煎じて飲むと、アセリアの母の病気である、魔力不全症の症状を和らげる効果があるらしい。

 実際、薬草を飲んだアセリアの母リシア様は、目に見えて体調が良くなり、以前よりも起きていられる時間が長くなった。

 おかげてアセリアもご機嫌で、父(仮)テトとしても、嬉しい限りである。

 ただし、この薬は定期的に摂取しなくてはいけない上、完治は望めないらしい。

 その上、ラディカは庶民が10年は暮らしていけるような値段がすることから、アセリアの母は放置をくらっていたらしかった。

「ラディカは魔力が濃いところに生えているから、森の奥を探せば見つかるはず」

『森の奥か。俺が生まれたところとか?』

「そうだね」

 アセリアは、そうだ!と手を合わせた。

「テトが生まれた所にまだはえてると思う。あのときは、色々あって探せなかったし」

『あー、そうか。その可能性は高そうだな』

 早くも見つけた気でいるのか、アセリアはご機嫌だ。

『焦らずに地道に探していこう。薬の在庫はまだあるんだろう? 無理は厳禁だからな』

「うん」

『あとは、魔術の実験もちゃんと兼ねるんだぞ』

「わかってる。楽しみ。色々考えた」

 魔力を手にれたアセリアは、ここ数日寝る間も惜しんで魔術の研究に没頭していた。

 今までのように机に向かっての勉強だけでなく、訓練場での実験に次ぐ実験を繰り返し、ミント先生を「あわわわ」とどん引きさせまくっている。 

「でも、やっぱり風魔術は効率が悪い。これだけの魔力があれば、他の属性ならもっとすごい魔術が放てるのに」

 今でも十分だと思うが、アセリアはまだ不満があるらしい。

 どうすればもっと強い魔術を放てるのかと、必死になって試行錯誤を繰り返していた。

 ちなみに、魔術語のまの字もしらないド素人は、魔術書を読むところから初めている。

 家庭教師にやってきたのに、生徒に魔術の威力をあっさり抜かれたあげく、持て余した時間で猫相手に授業させられている先生は、そろそろ泣いていいと思う。

(先生には申し訳なかったけど、おかげで大分魔術のことも分かってきた)

 未だ猫の喉では魔術語を上手く詠唱できない。

 けれど魔術を体内にとどめて置くことで身体を強化する――いわゆる身体強化のような技を発動することは出来るようになった。

 身体強化は魔術師にとっていわば基礎練のようなものらしく、少なくとも魔術師を名乗る人間は、皆十二分に扱えるそうだ。

(アセリアが子供の身体で森の中をさまよい歩けたのも、この身体強化のおかげだったんだな)

 魔術の便利さにしみじみとしていると、アセリアがふと足を止めた。

「テト、この辺りからは森番の管理外だよ」

『おっ。つまり、森の深いところに来たってことか?』

 いつの間にやら、そんなところにまで来ていたらしい。

 見ると、アセリアが立つ木の傍らに、背の低い外灯のようなものが突き刺さっている。

『これは?』

「魔除けの魔法具。ここから先は魔物が出てくる」

『じゃあ、気合い入れていかないといけないな』

 気合いも新たに、森に足を踏み入れる。
 そこは薄暗く、人の気配がまるでなかった。

(どうか強い魔物、出ませんように……!)
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

処理中です...