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お仕事の時間ですよ 2
俺なんか 13 黒い獣
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「あ…」
両手で抱き込んだ黒い獣が寝ぼけて俺の腕を甘噛みしている。
「んん、くすぐったい……」
時折しっぽが揺れて俺のフトモモを刺激しる。さわさわ……肌触りのいい艶々な毛並みを撫でる至福の時間はサクラの一声で終わりを告げた。
「ファイブ、フォー、起きてる?」
最近はずっと心配して仕事帰りに様子を見に来てくれていた。
「あれ、サクラ…」
「ん…」
フォーはまだ目が覚めていない様で、ベッドのシーツを掻きふごふご口を動かしていた。
「昨日は来れなくて、ごめんね~朝ごはん持ってきたよ~」
フォーが心配して夜は泊まりに来るようになってから、俺はぬいぐるみを抱くように、フォーに抱きついて眠る。呼吸するたび、上下する胸に後ろから手を回し、背中に顔をくっつけて温もりを感じながら眠りにつくと、悪い夢を見ないんだ。
泊まりの初日の風呂上がりに腰タオル姿で俺が、抱きついていい?って聞くと、お前は気持ちいいだろうが裸の男に抱き締められる俺の複雑な気持ちを考えてくれよ、と言われた。それでも、気持ちのいい毛並みを堪能したいので、下着一枚では?と聞くとやっぱり、ダメと言われ、Tシャツ短パン姿に落ち着いた。
「そろそろ……仕事、復帰できそう?」
サクラに聞かれた。俺、そんなに不調に見えた?心配かけたみたいだね。ごめんサクラ。
「仕事休んでてごめん。もう大丈夫だと思う。」
サクラは鞄から資料を出しながら話を続けた。
「王宮騎士物語、続ける事になったよ。台本は近日中にあがる予定よ。」
「大幅な変更はありそう?」
手元の資料をめくり、新しい進行表を示した。
「全体に半年ずれ込む感じかな。結末はやっぱり変更ね、王女のシーンをカットして、代役はないそうよ。昨日は原作者と脚本家と会議に参加してきたのね。そうしたらエリーの設定から……クロードの………でね…この…」
話続けるサクラの言葉が理解できない、頭に入らない。どうしたのかな俺。
ずっと怖くてニュースも見てないから、セリーヌの様子を聞きたいけど、きっかけをつかめない。何て言えばいいのかな…聞いちゃだめなのかな……サクラはマネージャーだから、仕事の話がしたいのだろうけど、この話…いつまで続く?……俺はだんだん胸が重く苦しくなってきた。
目の前を黒い影が通りすぎた。
「サクラ、ストップ。」
急に予想外の角度から飛んで来たフォーに体当たりされたサクラはソファーに仰向けに押し倒されていた。耳にかじりつき、何か一言呟いた。
「!?」
「サクラ!話長い、腹減った!」
サクラの目がこちらを見た。瞬間、目を見開き、顔色が変わった。
俺、どんな顔していたのかな…
「あ、朝食…用意するね。」
サクラはフォーの下から抜け出すとキッチンに向かう。
「今日は俺と一緒に出掛けるか?」
急に明るい声でフォーが言った。出掛けるってどこへ?
「……フォーは仕事はないの?」
「次の舞台の 練習に付き合え。あと、収録があるが…まあ、大丈夫だろう。」
両手で抱き込んだ黒い獣が寝ぼけて俺の腕を甘噛みしている。
「んん、くすぐったい……」
時折しっぽが揺れて俺のフトモモを刺激しる。さわさわ……肌触りのいい艶々な毛並みを撫でる至福の時間はサクラの一声で終わりを告げた。
「ファイブ、フォー、起きてる?」
最近はずっと心配して仕事帰りに様子を見に来てくれていた。
「あれ、サクラ…」
「ん…」
フォーはまだ目が覚めていない様で、ベッドのシーツを掻きふごふご口を動かしていた。
「昨日は来れなくて、ごめんね~朝ごはん持ってきたよ~」
フォーが心配して夜は泊まりに来るようになってから、俺はぬいぐるみを抱くように、フォーに抱きついて眠る。呼吸するたび、上下する胸に後ろから手を回し、背中に顔をくっつけて温もりを感じながら眠りにつくと、悪い夢を見ないんだ。
泊まりの初日の風呂上がりに腰タオル姿で俺が、抱きついていい?って聞くと、お前は気持ちいいだろうが裸の男に抱き締められる俺の複雑な気持ちを考えてくれよ、と言われた。それでも、気持ちのいい毛並みを堪能したいので、下着一枚では?と聞くとやっぱり、ダメと言われ、Tシャツ短パン姿に落ち着いた。
「そろそろ……仕事、復帰できそう?」
サクラに聞かれた。俺、そんなに不調に見えた?心配かけたみたいだね。ごめんサクラ。
「仕事休んでてごめん。もう大丈夫だと思う。」
サクラは鞄から資料を出しながら話を続けた。
「王宮騎士物語、続ける事になったよ。台本は近日中にあがる予定よ。」
「大幅な変更はありそう?」
手元の資料をめくり、新しい進行表を示した。
「全体に半年ずれ込む感じかな。結末はやっぱり変更ね、王女のシーンをカットして、代役はないそうよ。昨日は原作者と脚本家と会議に参加してきたのね。そうしたらエリーの設定から……クロードの………でね…この…」
話続けるサクラの言葉が理解できない、頭に入らない。どうしたのかな俺。
ずっと怖くてニュースも見てないから、セリーヌの様子を聞きたいけど、きっかけをつかめない。何て言えばいいのかな…聞いちゃだめなのかな……サクラはマネージャーだから、仕事の話がしたいのだろうけど、この話…いつまで続く?……俺はだんだん胸が重く苦しくなってきた。
目の前を黒い影が通りすぎた。
「サクラ、ストップ。」
急に予想外の角度から飛んで来たフォーに体当たりされたサクラはソファーに仰向けに押し倒されていた。耳にかじりつき、何か一言呟いた。
「!?」
「サクラ!話長い、腹減った!」
サクラの目がこちらを見た。瞬間、目を見開き、顔色が変わった。
俺、どんな顔していたのかな…
「あ、朝食…用意するね。」
サクラはフォーの下から抜け出すとキッチンに向かう。
「今日は俺と一緒に出掛けるか?」
急に明るい声でフォーが言った。出掛けるってどこへ?
「……フォーは仕事はないの?」
「次の舞台の 練習に付き合え。あと、収録があるが…まあ、大丈夫だろう。」
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